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【ヘンリーダーガー】引きこもりの大芸術家!60年以上誰にも知られず孤独に書き続けた「非現実の王国で」とは何か?心底愛する表現者の人生に迫る!

投稿日:2023年7月13日 更新日:

ヘンリーダーガー,漫画,非現実の王国で,絵

今回はマンガアート芸術家カスカワが最も愛するクリエーターの一人、ヘンリー・ダーガーを紹介します!



ヘンリーダーガーが作った「非現実の王国で」とは何なのか?




まずは漫画から行ってみましょう!


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ヘンリーダーガーを愛する表現者が彼の人生に迫る!

僕はヘンリーダーガー(1892年~1973年)の作品が大好きなんです!


ヘンリーダーガーの生きざまもインパクトがありますよね。



ほとんど誰とも関わらず病院の清掃員をしながら、アパートで60年以上かけて一人作品を作り続けた男。



仕事場の病院と教会のミサへ行く以外は、アパートにこもっていたそうです。




女性経験もなく生涯童貞だったといわれています。




まさに引きこもりの大芸術家!


生前はヘンリーダーガーが創作活動をしていたなんて、誰も知らなかったそうです。



若くして両親を亡くし身寄りもないので、生涯孤独でした。


20代中頃に親友と出会っていますが、それ以外の親密な人との関りをほぼもたなかったようです。





周囲の人はヘンリーダーガーをみすぼらしい服を着たホームレスみたいに感じていた人もいたそうです。


壊れたメガネを絆創膏でとめて、くるぶしまで届く汚れた軍用コートをいつも着ていました。

ゴミ捨て場をあさる姿もたびたび目撃されています。

ヘンリーダーガーの部屋から独り言が聞こえてくるので、気味悪く感じた住人が追い出してくれるよう大家にいったこともあるようです。


大家がもしヘンリーダーガーの作品を捨てていたら、彼の作品は世に出ていません。



大家がヘンリーダーガーの部屋を掃除をしている時に見つけたのが「非現実の王国で」です。




大家のネイサン・ラーナーはバウハウス派の写真家で工業デザイナ―でもあった表現者なんですね。


だからヘンリーダーガーの作品の価値に気がついたのだと思います。




ヘンリーダーガー自身も、作品を世に出そうとは思ってなかったのでしょう。





ヘンリーダーガーは病院で清掃員として働き始めた19歳の時に 「非現実の王国で」を書きだしました。


「非現実の王国で」なんて、タイトルが最高に素晴らしいですよ!

夢や幻想を感じさせるじゃないですか。



僕はこの現実こそが「非現実の王国」だと思っているのです!



「非現実の王国で」の正式タイトルは「非現実の王国として知られる地におけるヴィヴィアン・ガールズの物語
子供奴隷の反乱に起因するグランデコ・アンジェリニアン戦争の嵐の物語」
となります。


長いですね。




悪い大人達が子供を奴隷にしたけど、ヴィヴィアンガールズたちが反乱を起こし、戦争につながる展開なんです。




「非現実の王国で」 は初め文章のみの作品でしたが、やがて物語を説明する挿絵も描き始めました。




ヘンリーダーガーは絵を描くのに苦手意識があったようです。



なのでゴミ捨て場からひろってきた雑誌、新聞などを切り抜き、コラージュやトレースをして少女などを描きました。




ヘンリーは低賃金の仕事でお金がなかったため、高価な絵の道具は買えず、子供用の絵具セットで描いたといいます。





ヘンリーダーガーは1892年4月12日にアメリカシカゴに生まれました。



4才の時に妹を生んだ母が亡くなります。


妹はそのまま養子に出されました。




ヘンリーダーガーは幼くして生き別れになった妹や亡くなった母が心に残り、ヴィヴィアンガールズに象徴させたという見解もあるようです。




幼いヘンリーダーガーは父と2人で過ごしました。


父の影響で6才ころから文字の読み書きができたり、新聞を読むような子供だったようです。




ヘンリーは7歳の時に学校に入るのですが読み書きができるので、一気に3年生に飛び級しています。


頭が良かったんですね。




8才の時、父が体を壊して働けなくなったので、ヘンリーダーガーはカトリックの孤児院に入れられます。



父は救貧院に入ることになり、これ以上ヘンリーダーガーを育てられなくなったのです。





ヘンリーダーガーは孤児院で周りの子供達から「クレイジー」と呼ばれていました。


孤児院に入れられたストレスから、ヘンリーダーガーは口や鼻から奇妙な音をだすクセがあったのです。




やがて問題児扱いされたヘンリーダーガーは、精神薄弱児施設へ預けられます。



ヘンリーダーガーはケンカをすると相手を見境なく攻撃する傾向があり、精神疾患を疑われてしまったのでしょう。





精神薄弱児施設では子供達が農場で強制労働をさせられており、肉体的&精神的な懲罰もあったようです。


収容されているほとんどの子供達は重度の精神障害にかかっていたとされています。


しかしそれ以外の面ではヘンリーダーガー的には満足できる場所だったもよう。



15才の時に最愛の父が亡くなりました。


ヘンリーダーガーにとって父の死はショックが大きく、後に彼の創作にも影響を与えたといわれています。




父の死が影響してか16歳の時にヘンリーダーガーは施設を脱走。


1,2回は脱走に失敗しましたが、17歳の時3回目の脱走が成功します。




施設から100キロ以上の距離を歩き、故郷のシカゴに戻りました。




その後ヘンリーダーガーは住み込みで病院の清掃員をしながら、食いつないでいきました。




病院清掃員は低賃金の仕事です。



ヘンリーダーガーはアメリカの最下層で働く青年だったのです。




25才の時に戦争で徴兵されますが、目の病気が原因で病院掃除員の仕事に戻されます。


この軍での体験は作品に影響を与えたようです。



「非現実の王国で」の激しい戦闘シーンや残虐シーンなどに体験が活かされました。



30才の時に仕事先の女性スタッフともめて、病院清掃員の仕事を退職。




別の病院で皿洗いや清掃員の仕事をしながらアパートで一人暮らしを始めます。


ヘンリーダーガーは引っ越したアパートで、40年以上暮らしながら創作をしていくことになるのです。




ヘンリーダーガーは73才で清掃員の仕事を強制的にやめさせられてからは、自伝なども書くようになりました。


ヘンリーダーガーは10代から70代にかけて、病院の清掃員などをして働いていたのです。




73才の時ヘンリーダーガーは事故にあい、アパートの階段上り下りが厳しい状況になりました。


それで老人養護施設(救貧院)へ入ることになります。




アパートから出る時、ヘンリーは大家にいらないものはみんな捨ててよいと言ったそうです。



ヘンリーダーガーの部屋にはトラック2台分くらいのゴミがあったといいます。



ゴミだらけの部屋のなかから発見されたのが、「非現実の王国で」をはじめとする作品群でした。



作品群は旅行鞄のなかに入ってました。


その中には「非現実の王国で」と書かれた15冊の大長編小説や、その世界を描いた巨大な画集、日記や自伝などがあったのです。



すべてがタイプライターで清書され、半分は製本までされた状態で入っていたといいます。





ヘンリーダーガーはアパートを出た1973年に81才で亡くなります。



ピカソと同じ1973年に亡くなってますね。





その後、大家がヘンリーダーガーの作品に価値を感じ、世に広めていきました。


ヘンリーダーガーの墓を建てたのも大家のネイサンでした。




こうして作品が認められ、今ではアウトサイダーアートの代表的存在になったのです。



今ヘンリーダーガーの作品は、少なくとも日本円で1枚200万円以上で取引されているようです。



ヘンリーダーガーは「非現実の王国で」の他に、続編となる「クレイジーハウス」や自伝も書いています。



しかし結局どの物語も完結することはありませんでした。




ヘンリーダーガーの作品を発見した大家のネイサンはこのように語っています。

「ヘンリー・ダーガーの人生の最後になってようやく私は知ったのだ。足を引きずって歩くこの老人が、本当は何者であったのかを」。

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ヘンリーダーガーの作品や人生に対する感想や「非現実の王国で」について

誰に知られることもなく、一人作品を書き続けたヘンリーダーガーに、僕は感銘を受けました!


偶然大家に作品を発見されて、それが縁で死後に有名になるあたりも、劇的ですね。



僕はヘンリーダーガーの存在をはじめて知った時から、その人生や人柄、作品のインパクトに心から魅了されていたのです!



ヘンリーダーガーの作品には「不思議の国のアリス」や「オズの魔法使い」などに通じる、子供的な幻想性があります。


僕はヘンリーダーガーの子供らしい無邪気な世界観が大好きなのです!




「非現実の王国で」は、アメリカの南北戦争をイメージした戦争物語。


時には残酷なシーンもあります。



そんななか男性器の生えた少女達が、苦難を乗り越えて敵と戦う物語が書かれます。




「非現実の王国で」は、軍事国家グランデリニア(子供奴隷制)とカトリック国家アビエニアが戦う物語です。



アビエニアに所属する7人の少女戦士や、そこに含まれるヴィヴィアン姉妹が主人公。





ヘンリーダーガーは子供の頃、いじめっ子たちから少女を守った体験がありました。




それ以降、ヘンリーダーガーは子供などの「弱き者を救いたい」という思いがわくようになったようです。



本人も「幼い少年少女を守るためならなんでもする」と書き残しているほど。



ヘンリーダーガーの創作テーマともいえる「弱い者を守りたい」や「大人になりたくない」思いが、「非現実の王国で」に込められています。




ヘンリーダーガー自身が将軍となって作中に登場し、少女達を守ることによってそれを表現しているのです。


また作中では少女達は年をとらない設定になっており、こちらもテーマを表していますね。





作中にはヘンリーダーガーの親友らしきキャラも登場します。


ヘンリーダーガーが孤児院にいた時に嫌っていた、農場での強制労働が出てきたりもします。



ヴィヴィアンガールズたちが、やむなく厳しい農場の強制労働を受けさせられることになるのです。



このようにヘンリーダーガーは自分が体験したことを作品に昇華させて創作をしました。





たった一人で15000ページ以上の文章から物語を生み出し、今では世界一長い小説といわれています(2003年)。




絵や小説の書き方教育を受けていない男が、独学であみだした表現が「非現実の王国で」だったのです。


やがてヘンリーダーガーの作ったアートは、アウトサイダーアートの代表格となりました。




正規の美術教育を受けていない者が作るアートを、異端児が作るアートとして「アウトサイダーアート」と呼びます。




今ならブログやユーチューブなどを使い作品発表ができるでしょうが、ヘンリーダーガーの時代はそれがありません。



いや、そもそも誰かに見てもらおうと思ってなかったのかもしれません。


ただ自分自身のために、ひたすら書き続けたのでしょう。



僕はそんなヘンリーダーガーの姿に、表現者としての偉大さを感じずにいられません!



僕はヘンリーダーガーの作品や存在を思い出すたびに、内なる表現欲求を刺激されるのです!




誰にも知られることなく、60年以上一人で書き続けてきた夢幻の創作世界!


それが偶然発見されて、不滅のアートとなったヘンリーダーガーの生きざまに、最大の輝きを感じてしまうのです!!




あなたも機会があったらヘンリーダーガーの作品を検索してみてみてください。



独特な幻想感覚で描かれる少女達の戦記物語は、人類史上に残るアート作品だと思います!



ありがとうヘンリーダーガー!


最後までお読みいただきありがとうございました!

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