美術の世界で言われるドローイングとは何か?って思われたあなた!
ドローイングは簡単に描けて、それ自体が表現作品になる便利なものです。
この記事ではドローイングとは何かを解説するとともに、筆者が考えるドローイングの概念についても語ります!
2021年10月28日追記
「ドローイングとは?」のネタで描いた4コマ漫画アートがありますので、まずはそちらをご覧ください♪
前後のエッセイ漫画は以下リンクに♪
ドローイングとは?
ドローイングとは英語のdrawingが言葉の発生もとで、線画のことです。
鉛筆や木炭などで、線をメインに描く絵のことをドローイングといいます。
一方、絵の具を使って描く絵をペインティング( painting)といいます。
英語のdrawingにはデッサンの意味もありますので、言葉としてはデッサンとドローイングは同じもの。
でもデッサンとドローイングは、微妙に違う意味で使うことがあると思います。
デッサンでは対象の形態や明暗などを、平面に描きますね。
例えば木炭や鉛筆を使って、対象を写実的に描くのはデッサンです。
一方僕の考えるドローイングとは、シンプルな線で対象をざっくりと描きます。
単純な線画で対象物を描いていたら、それはドローイングという考え方です。
デッサンがじっくり時間をかけて対象を描くなら、ドローイングは即興で描くものと、ぼくはとらえています。
以下の画像では色を使って、筆者が考えるドローイングを描いてみました。
ぼくはドローイングとは、モノクロだけでなく色彩ありの絵も含まれると考えています。
鉛筆でも絵具でも、線画として即興的に描かれたものをドローイングととらえています。
ドローイングとは絵画の原点
ドローイングとは、絵画の原点だとぼくは考えています。
ドローイングの魅力は、単純な線画を即興で描けるところにあります。
僕はドローイングを絵の練習ではなく、あくまで表現として捉えて欲しいと思います。
絵というと正確に描かれたデッサンやタブローをイメージしがちです。
しかし写実的な絵は、一つの描き方でしかありません。
絵は、まず大前提として表現なのです。
自分らしい表現を生み出す過程として、デッサンなどの基礎練習をするのは大切。
しかし、写実的に描きこまれた絵だけが作品なのではありません。
人類の歴史を見ても、古代の人が残した絵はシンプルな壁画でした。
アルタミラとかラスコーの壁画などがそうです。
これらの壁画は、単純な線で描かれています。
古代人が描いた壁画に絵画の原点があると思います。
ぼくは古代人が描いた壁画に、ドローイングの要素を感じました。
絵画の出発点は線で対象を描くことだったのです。
歴史が進むにつれて絵画は発展し、ダ・ヴィンチやレンブラントのような絵画表現も生まれました。
ダ・ヴィンチやレンブラントにしても、一時代を画した絵画様式でしかありません。
ダ・ヴィンチのモナリザが絵画の答えではないのです。
絵画の描き方は時代によって、人によって変わります。
様々な描き方があるので、自分ならどのように描こうかと迷ってしまうかもしれません。
混乱して何だか分からなくなったとき、僕はいつも原点に回帰します。
その物事が起こった源流にさかのぼることで、本当の意味が分かるからです。
絵画が対象を正確に描きだすようになったのは、ルネサンスの時代からです。
遠近法を取り入れ、実際に対象物があるかのように描く画家たちがあらわれました。
それまではデフォルメをするなど、対象を正確に写すよりは、理想像を描くような絵でした。
正確に対象を描写するのは、約600年ほど前から流行った描き方ともいえます。
人類全体の歴史で見たとき、写実的な絵は割と最近の描き方なのです。
対象を正確に描くのは、一つの表現でしかありません。
なので単純な線で描かれたドローイングと写実的に描いたデッサンと、どちらが上という話にはならない。
絵を描く人の多くは、画力を上げたいと思うのではないでしょうか。
画力を上げるにはデッサンの練習をするのがいいでしょう。
しかし、画力は単に対象を正確に描き写すことだけを言うのではありません。
ドローイングのような単純な線で描く絵にも、画力の価値はあるのです!
対象を正確に描く練習をすると同時に、感性で一気に描くドローイングもすることで、絵画の違った魅力が見えてくると思います。
絵は対象を正確に写すだけでなく、奔放な感覚の発露として描くやり方もあるのです。
ドローイングとは人生の軌跡そのもの
ドローイングは、目の前にある対象をシンプルな線で描くところから始まります。
頭の中にあるイメージを描くとか、抽象的な図像を描くのだってドローイングです。
描くものはなんだって良いのです。
心のおもむくままに描きましょう!
ただ意識として、ドローイングとはあなたの作品だということを覚えておいてください。
あなたが描く絵は、全てが作品です。
ドローイングは完成した絵じゃないから、作品と呼べないって思う人もいるでしょう。
しかし
あなたが生まれてからこれまで全ての歩みが人生であるように、絵も全ての歩みが作品です。
未熟でつたない絵でも、その時点でのあなたの作品なのです。
作品とは完成されたものだけでなく、人生をかけて描いた歩み全体をいうのです。
例えば高校時代が一番楽しかった人がいるとしましょう。
この人にとっての人生は、高校時代だけといえるでしょうか?
高校時代を含め、あなたが歩んだ全軌跡が人生です。
それと同じように、絵もあなたが描いた全ての軌跡が作品です。
なのでちょっとしたドローイングも、大切に保存しておいて下さい。
初めて描いた絵から死の直前に描いた最後の絵まで、全体が表現者の作品なのです。
表現者が歩んできた軌跡全体に、価値があるのです。
作品は自らの軌跡である。
この発想を心のどこかに忍ばせておきましょう。
単純な線画のドローイングだって、十分作品といえるのです。
ドローイングとは自己表現
なぜドローイングが自己表現になるのでしょうか?
ドローイングは即興的に自分の思いを絵に反映できるから、自己表現になるのです。
ドローイングのような即興的な描き方は、その瞬間に自分が感じたことを描くのに向いています。
その瞬間の感覚をダイレクトに表せるのが、ドローイングです。
その瞬間に感じた思いをすぐ絵に反映できるので、ドローイングは自己表現手段になるのです。
僕は漫画とアートを組み合わせた創作活動をしています。
その際ドローイングは、表現手段として役立ちます。
ドローイングはその瞬間の気分や思いを反映できるので、自己表現手段として使いやすいのです。
例えば僕は、以下画像のようなドローイングを描きます。
これは「大地より生えたる者」という、筆者のアートキャラクター。
簡単な走り描きの絵ですが、こんな絵だって自己表現手段にはなります。
ドローイングは自己表現です。
こんなもの落書きにすぎないなんて言葉も聞こえてきそうですが…
それで良いのです!
落書きは、アートにとても近い所にあります。
感覚に任せて即興で描くのが落書きならば、それ自体すでにアートなのです。
表現の仕方は百人百様。
あなたに最も適した手段を選んでください。
そして今からドローイングを始めてみましょう!
絵が描けないという人は、落書きから始めてみればよいのです!
落書きだって立派なドローイングなのです!