「油絵の下塗りってどうしてするの?」
こんな疑問を持ってる方がいることでしょう。
油絵は、キャンバスに絵を描く前に下塗りをします。
果たして、なぜ油絵では下塗りをするのか?
筆者はこの記事を書いているとき、油彩の肖像画を描いてました。
F8号のキャンバスに下塗りをする機会があったので、実際にぼくがしていた下塗りの工程と一緒に、下塗りに関する記事を書くことにしました。
ここでは油絵の下塗りをする意味や効果、下塗りのやり方について見ていきます!
「油絵の下塗りをする意味」をネタに描いた四コマ漫画を描いたので、まずはそちらをご覧ください♪
前後のブログ漫画「もっとがんばれ!バカオくん」は以下リンクに♪
さあ、油絵の下塗りについて見ていくぞ~!
Contents
油絵の下塗りとは?
油絵の下塗りは絵具で絵を描く前に、あらかじめキャンバスに色を塗っておくことを言います。
必ず下塗りをしなければいけないわけではなく、下塗りをしないでいきなり描きだす人もいます。
下塗りをすることで絵の具のノリが良くなったり、発色が深みを増すのです。
下塗りをしておくと上に絵の具が乗りやすくなり、下の層の絵の具に浸透していき、発色も良くなります。
油絵で下塗りをする意味
なぜ油絵では下塗りを行う必要があるのか?
それは絵具の重ね塗りの効果を得るためです。
油絵は、上にどんどん色を重ねて描いていくのが特徴の絵の具です。
下塗りをしておくと上の層の色が下の層の色の見え方に影響を与えて、油絵独特の発色を出せるのです。
色が透けて見えたときに意外な発色の効果を表わすことがあります。
油絵の色調には深みがありますが、それは重ね塗りによる色同士の効果の表れなのです。
下塗りをしないでキャンバスに塗り残し部分があると、まわりの色に比較して白のキャンバス地が目立ってしまいます。
でも下塗りをしておけば白地キャンバスほど目立たず、以外に周りと調和する色に見えたりすることもあります。
油絵の下塗りは上に塗る色の見え方に影響するので、重要な工程でもあるのです。
スポンサードリンク
油彩画は失敗しても描き直しがきく
油彩画の特徴は、何度失敗しても書き直しがきく点にあります。
透明水彩絵の具は薄い色を徐々に重ねていくことで色の深みを増していくため、一発勝負で描かなければいけない難しさがあります。
透明水彩絵具は一度乾くと修正がききませんが、油絵はどんなに間違えても上から絵の具を載せれば修正することができます。
油絵は絵の具を重ねていく描き方なので、色を塗るというより彫刻を作る感じにも似ています。
油絵を描くとき必ずしも下塗りを行う必要はないでしょう。
しかしこれから描く絵の色調を活かす下塗りをすると、後の作業で下塗りの効果が出て絵の完成度を高めてくれます。
下塗りを行う時に必要な揮発性油!
油絵の下塗りを行うときに必要なものは揮発性油です。
油絵を描く時は、基本的に乾性油と揮発性油を使用します(二つが混ざったペインティングオイルもあり)。
●乾性油⇒空気とに触れることで酸化して外膜が固くなる油
●揮発性油⇒絵の具の練り具合や濃度の調整が行える油
揮発性油は空気中に気化する性質を持つので、乾燥しても外膜が固くならず、全て蒸発します。
主な揮発性油に
●ぺトロール
があります。
僕は揮発性油は、ぺトロールを使用しています。
テレピンとぺトロールの大きな違いは絵の具の溶解度と匂いで、テレピンの方がより絵の具を溶かす力が強いですね。
ぺトロールは石油から蒸留、精製しているので石油臭さがあります。
匂いが弱く、絵の具を溶かす力が強いのはテレピンです。
また乾性油に比べて、揮発性油は乾くのが非常に速いです。
油絵の下塗りではこの揮発性油のみを使い、塗っていきます。
スポンサードリンク
下塗りを行う時のポイント
●これから描こうとしている対象をイメージさせる色を塗る
●茶色やイエローオーカーなど温かみのある暖色がオールマイティに使いやすい
以上が、下塗りを行う時のポイントです。
下塗りに使う色は、これから何を描くかによって変わります。
描こうとする対象をイメージさせる色を塗ると、そのモチーフの色味を引き出すことが出来ます。
例えば青が絵の主調色になるなら、寒色系の下塗りにするとか。
茶色やイエローオーカーのような絵の具は、下塗りをするのに向いています。
暖かみがあり他の色と張り合う強い色でないので、下塗りとして使いやすいのです。
基本的に下塗りは何色を塗ろうと自由なので様々な絵の具を使って、上に載せる絵具がどう変化して見えるのか試してみると良いでしょう。
揮発性油で絵具を薄く溶いて下塗りを行う
上の写真は、揮発性油などを入れておくための油壺です。
油絵の下塗りを行うときは揮発性油(テレピンやぺトロール)で、絵の具を水くらい薄くなるまで溶いて塗ります。
これを「おつゆ描き」といいます。
必ずしも塗る物は筆でなくても良くて、使い古しの布を使う人もいます。
実際に僕が下塗りをしている動画を用意したのでご覧下さい。
下描きはどの段階で行うのか?
下描きをするときは、下塗りを行う前に鉛筆や木炭などで先に絵を描いておくと良いですね。
下描きをしたらフィキサチーフをかけて黒鉛を画面に定着させておくと、下塗りの際にキャンバスが汚れなくて済みます。
僕の場合は下描きは絵の具で行うことが多いので、初めに下塗りを塗ります。
以下は僕が描いている結婚記念写真の肖像画を絵の具による下描きで描いたものです。
僕はこのように、色でデッサンをすることが多いです。
下塗りで塗った濃い茶色が下描きの隙間が空いた時などに顔を出し、下描きの絵がまわりの色から目立っていないのが分かります。
下塗りをしない場合白地のキャンバスが目立ち、下描きがまわりの色と調和しなくなります。
下塗りを行うことで、色による下描きを行う時にも役に立つのです。
油絵の具は上から何度でも描き足せますから、必ずしも下描きを木炭などで行う必要はありません。
スポンサードリンク
効率的な下塗りのやり方
僕のやり方で、効率的な下塗りのやり方をご紹介します。
下塗りはテレピンやぺトロールという揮発性油を使うので、水の様にいくらでも好きなだけ使えるわけではありません。
だから僕の場合、描くキャンバスを用意したら、すべてのキャンバスにまとめて下塗りを行います。
僕は下塗りの絵の具はイエローオーカーやバーントシェンナ(黄土色や茶色)を使っています。
油絵の制作後パレットに絵の具が余っている場合、それを捨てるのはもったいないので、下塗りとして使用することもあります。
あらかじめどんな絵を描くかが決まっていればそれに近い色を使いますし、決まっていなければ余り物の絵の具で塗ることもあります。
まとめてキャンバスの下塗りを行うメリットは、揮発性油をムダに使わないことにあります。
ぺトロールなどの揮発性油はすぐに蒸発するので、一つづつキャンバスを下塗りするより、まとめて塗った方がムダなく使えます。
そして、乾いたものから順番に絵を描くのです。
僕は常時何枚かの絵を同時進行で描くようにしています。
というのも油絵は乾くのに時間がかかるので、一方を乾かす間に別の絵を進める事が出来るからです。
下塗りをまとめて行うことで揮発性油をムダなく使うことが出来、たくさんのキャンバスを効率的に下塗りすることができます。
油絵の下塗りの最後に
ここまで油絵の下塗りをする意味や、やり方について見てきました。
油絵は下塗りを行うことで、上に載せる絵の具の定着を良くし、色の発色を良くするという効果があります。
下塗りに使う色によって上に載せる色がどう反応していくかを、毎回実験してみるのも良いでしょう。
大量の揮発性油で溶いて下塗りをする場合、イーゼルにかけながら下塗りをすると絵の具がしたたり落ちてくるので、キャンバスを平らな状態にして行うと良いでしょう。
油絵の特徴的な要素「深い色合い」は、制作前に行う下塗りの効果にも支えられているのです。
油絵における下塗りは、深い色調を生み出す効果に役立っているのです。
油絵の下塗りをするときには揮発性油が必要です。
揮発性油は消耗品なので、たくさん入っているものを用意しておきたいもの。
そんなことから筆者はクサカベのテレピン1000mlを購入して、使い心地をレビューしてみました。
油絵の下塗り用クサカベテレピン1000mlのレビュー記事は以下のリンクからどうぞ!