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芸術とは

フランスの象徴主義画家カリエールが教えてくれる自分の作風の見つけ方とは

投稿日:2016年11月20日 更新日:

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僕は2016年11月19日土曜日 損保ジャパン興亜ビル42階にてカリエール展を見てきた。

 

今日はカリエール絵画を生で見て感じたことを書いていこう。

 

19世紀フランスを代表する象徴主義画家 カリエール


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ウジェーヌ・カリエール(1849年1月16日~1906年3月27日)フランスの画家。

19世紀後半、印象派がパリを席巻していた頃それを乗り越えようとする芸術運動が起きた。

 

それが象徴主義。

絵画における象徴主義に属する画家がカリエール。

象徴主義絵画と言えばその先駆となったゴーギャンがいる。

 

彼らは現実に存在するものをそのまま描くことをせず、より内的な観念的なものを対象として絵を描いている。

 

よって対象物は作家の内的観念によって変形されたり誇張されたりしてより強く自己表現的色彩を帯びるようになる。

 

カリエールという画家は初め印象派的な絵を描いていたが、やがて色彩は力をなくしモノクローム…画面はセピア色で支配されるようになる。

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しかもカリエールという画家の特徴はもう一つある。

 

描く対象物を徹底的にかすませる…つまり霧がかって描くのだ。

 

もう輪郭線なんてものはないと言っていい。

全てが霧に包まれたように淡く描かれる。

 

僕の創作のテーマは「幻想と自然」であるが、まさにカリエールの絵画は徹底した幻想性を持って描かれている。

 

霞みかかったような淡い光景というのは幻想性を人に感じさせるようだ。

それだけで何かワクワクさせるものがある。

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生絵画を見るとよく分かるが、カリエールは絵具を油の溶液で相当強く溶いて描いている。

いわゆる厚塗りの絵画ではない。

 

油でたっぷり溶いたセピア調の絵具を薄く何層も重ねながら、しかし輪郭線は捉えないように描いている。

 

これまで淡く幻想的に描かれた絵画は見たことがあるが、カリエールのそれは徹底している。

 

自分は霞がかかった対象しか描かない!とでも言わんばかりの勢いで淡くボカして描く。

 

淡くボカシすぎることによってかえって現実離れした象徴派の絵画になっている感じだ。

 

僕はいつも思うのだが個性というのは

「徹底した行き過ぎ」から生まれる。

 

ボカすといっても中途半端なボカしだとそれほど印象に残らない。

 

例えば僕はマンガ家で赤塚不二夫氏が大好きなのだが、氏のマンガは徹底している。

中途半端なギャグではない。

ギャグというジャンルをぶち壊し、本人自身がギャグと言えるまさに人生そのものをギャグとして芸術化した革命的な漫画家である。

 

だからこそ漫画史を変えることが出来たのであり、永遠な漫画家となっている。

 

カリエールのボカシによる幻想性はこれに似ている。

 

ここまでやるか!と思わせる程に霞がかった絵が展開されるのだ。

僕も幻想をテーマとしているのだから見習おうと思った。

 

 

カリエールの主題とは


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カリエールという画家は農民や農村、とりわけ自分の妻、友達など親しい人を対象にした肖像画に力を発揮する。

 

妻の肖像画はたくさんあるし、子供と母の触れ合いなど人間性に主題を当てて描いている。

 

自分の作風を確立してからは色彩をほとんど廃し、濃淡によるセピア調で表現される。

しかしこのセピアによる描写によってかえって純粋な、素朴な人間性の表現に成功している。

 

派手な色彩で描かれるよりも、地味すぎるくらい濃厚な

セピアで母子像などを描くことによって、確かな人間愛に説得力を持たせている。

 

カリエールは風景画も描くけど、本領発揮の場は人物画だろう。

特に身近な妻や子供などを描かせると、その表現力の深さは尋常じゃない。

 

正直僕はこの展覧会を見るまでカリエールという画家を知らなかったけど、今回拝見して素晴らしい芸術家だと思った。

 

 

カリエールのルーツはどこか?


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そんなカリエールの芸術を構成するルーツはどこかと探ってみた。

あなたも好きな芸術家がいたらその人のルーツとなった作家は誰かを探ると面白い。

 

誰でも影響を受けた人物がおり、その要素を吸収しつつ自分の独自性を付与して作風を作っている。

 

カリエールはというとイギリスを代表する画家ターナーにその起源があった。

 

ターナーの絵

ターナーの絵

 

そう言われると納得がいく。

ターナーと言えばイギリス生まれの風景画家で霞がかった独自の風景画で美術の歴史に残る存在である。

 

印象派を予見させるような革新性と独自の解釈でこれまでにない風景画を生み出したターナー。

 

ターナーの霞がかった幻想性を吸収して、人物画に取り入れたのがカリエールなんだなと感じた。

 

しかもカリエールはフランスのジャン・フランソワ・ミレーなどバルビゾン派の影響も受けており、素朴な農民を主題に使うなどしている。

 

 

このようにある作家のルーツをたどると、明らかに影響を受けた人物がいる。

影響を受けた作家の要素をそれぞれどのくらいの割合で、どのような形で吸収し、かつ自分の個性をどう付与しているかを見ていくとどうなるか?

 

いかにして自分の作風、個性を作品に反映させればいいかが分かってくるのだ。

 

先人がいかにして個性を作ったかが分かればあなたもそれに倣って自分の個性を配合していったらいい。

 

僕もたくさんの先人の影響を受けている。

 

ゴッホやピカソにモーツァルト、ジョンレノンやローリングストーンズ、赤塚不二夫にピーターラビットなど数え上げたらきりがない。

 

あなたが大好きな作家の良い所だけを吸収して、配合し、そこに自分独自の解釈や個性を付け加えればオリジナルの個性は出来上がる。

 

今日から好きな作家のルーツをさかのぼることによって、いかにしてその人が自分の作風を作ったかを研究していくと面白いだろう。

 

まとめ


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カリエールは僕たちに徹底した個性を身に付けろ、ということを教えてくれている。

 

好きなターナーから淡くぼかす幻想性を吸収して、自分独自の解釈を加えて表現することで生まれたカリエールの画風。

ミレーなど農民を素朴に描く画家の要素を取り入れて、身近な人物を深い人間性をもって描いたカリエール。

 

いかにしてカリエールが独自の世界を築いていったかが分かる。

 

中途半端な幻想性ではなく、徹底して対象をボカした絵。

いたずらに色彩を使わず、あえてセピアによって素朴な人間性を描いた感性。

 

個性とはこういった「徹底した行き過ぎ」から生まれるということがカリエール展を見て強く感じた。

 

自分が誰かを知ることが唯一無二の個性を発揮する原点となるのである。

 

 

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粕川裕康/漫画アート芸術家。漫画描きと油絵描きをしており、二つ合わせて漫画アート芸術家!/漫画とアートを組み合わせた創作活動をしています。

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