どうも漫画アート芸術家の粕川です!
ここではセリフのない四コマ漫画の掲載と、セリフの無い漫画が詩的表現を持ちうることについて書いています。
まずは漫画をご覧ください!
セリフの無い漫画は詩になる
僕は今回セリフのない四コマ漫画を描いてみました。
漫画は絵の他にセリフや擬音など文字を使って表現できる媒体です。
しかしあえてセリフを使わない漫画があってもいいのではと思いました。
漫画にセリフを入れないことで、セリフのある漫画とは微妙に違う雰囲気をだすことができるのです。
セリフのない漫画を描いていて思ったのが、まるで詩や俳句を描いているような感じ!ということでした。
僕は詩や俳句に抒情性を感じるのですが、セリフの無い漫画は抒情を出すのに向いていると思います。
1967年、石ノ森章太郎氏は「ジュン」という、ほとんどセリフの無い、絵とコマだけで見せていく画期的な漫画作品を発表しました。
石ノ森氏の「ジュン」はまさに抒情性に溢れており、漫画で詩を読んでいるような感じなのです!
漫画は使い方次第で詩や俳句のような効果を出せるんだなと思いました。
石ノ森氏の「ジュン」が漫画による詩作なら、セリフの無い四コマ漫画は漫画による俳句表現だと感じています。
俳句と言えば五・七・五の17音から構成される日本の定型詩のことです。
作者の思いを短く言い表せる俳句は、セリフの無い四コマ漫画に近いのではと思ったのです。
俳句を作る人は、俳句にその作家の思いを込めますよね。
セリフの無い四コマ漫画を描くときにも、そこには作者の思いやネタがあります。
僕はセリフのない漫画を描こうと思ったとき、心の中の鬱屈した言葉にならない思いを表わしたいと思いました。
心の中にある鬱屈した思いや希望を、セリフのある読み切り漫画にすることは出来ます。
しかしあえてセリフのない漫画を描くことで、心の中の思いを象徴させたかったのです。
セリフを使った漫画なら、言葉が入るのでその漫画が何を表わしているのかが分かります。
しかしセリフのない漫画だと、その作品が何を言いたいのかがわかりづらくなる。
言葉で漫画の意味を示さないから、なんとなくの「象徴」だけが残るのです。
この漠然とした「象徴」を表わす漫画に、僕は抒情性を感じます。
漫画の意味を言葉で明確にしない方がよいネタというのがあるのです。
詩や俳句の魅力は作家の独特な感性を言葉で象徴的に示すところにあります。
これと同じように、セリフのない漫画を描くことで作者の思いを象徴的に表わすことも出来るのです。
セリフの無い漫画は、作者の言葉にならない思いを詩や俳句のように、象徴的に表すのに向いた表現だと思いました。
今回掲載したセリフのない漫画は、僕の心の痛みであると同時に希望でもあります。
心の痛みや希望のような、抽象的な概念を描けるところも漫画表現の素晴らしさなのです!
漫画はセリフを使えばテーマやメッセージを明確に打ち出せます。
しかし時にはあえてセリフを使わず、心の思いを象徴的に表すことも出来るのです!
メッセージをぼかして、絵やコマの流れで作者の思いを象徴的に伝える漫画。
石ノ森章太郎氏の「ジュン」は詩情漫画の傑作ですが、この作品から学ぶことは大いにあります。
それがセリフのない四コマ漫画による俳句的表現法だったのです。
最後までブログをお読みいただきありがとうございました!