ここには1話完結の読み切りSF漫画「惑星カナンに死す」(2010年制作)が載っています!
漫画の後には「惑星カナンに死す」を作るきっかけになった、名作小説についても解説しています。
それでは1話で完結するSF漫画を、どうぞご覧ください♪
惑星カナンに死す~2010年制作
1話完結のSF漫画「惑星カナンに死す」について
ここに掲載した1話完結のSF漫画は、2010年に描きました。
漫画原稿用紙に、つけペンや墨汁を使い、完全手描きで仕上げています。
筆者は昔からSFが好きで、ジュールベルヌやH.GウェルズなどのSF小説をたくさん読んできました。
さらに2010年当時、ぼくはドイツの作家トーマス・マン(1875年6月6日~1955年8月12日)の小説にはまっていました。
トーマス・マンはSF作家ではなく、純文学作家です
トーマス・マンの代表作で、映画化もされた作品に「ヴェニスに死す」(1912年発表)があります。
1話完結のSF漫画「惑星カナンに死す」は、「ヴェニスに死す」に感銘を受けて描きました。
「ヴェニスに死す」の素晴らしさとは?
ここでざっくりと、トーマス・マン作「ヴェニスに死す」のあらすじを書いてみます。
「ヴェニスに死す」は、50代の有名な男性小説家グスタフ・フォン・アッシェンバッハが主人公の物語。
グスタフが1人旅でヴェネツィアに来たとき、地位の高いポーランド人一家と出会います。
ポーランド人一家には、10代の美しい青年がいました。
50歳の老人グスタフは、若いポーランド人の青年に恋をしてしまいます。
グスタフには妻子がいましたが、妻は先に亡くなり、娘は嫁にでています。
グスタフはひとりぼっちだったのか
「ヴェニスに死す」は、有名で地位もある作家が美青年に恋をして、禁断の葛藤を描く物語です。
この当時、ヴェネツィアでは感染病のコレラが流行っていました。
コレラの感染を恐れた旅行客は、みんなヴェネツィアを去ります。
しかしグスタフは、美青年に対する思いからヴェネツィアを去ることができません。
ポーランド人一家がいよいよ、ヴェネツィアを去る日がきました。
その時グスタフは、コレラにかかり死んでしまうのです。
ぼくはトーマス・マンの中編小説「ヴェニスに死す」を読んだとき、すばらしい!と思いました。
●権威ある有名な男性作家が、若い美青年に恋をする意外性
●ダメとは思いつつ、青年への思いが捨てきれない老人作家の内的な葛藤
●美青年に恋をしたがゆえに、コレラが流行るヴェネツィアを去れなかったグスタフのやるせなさ
「ヴェニスに死す」の、これら要素が非常に面白いと思いました!
物語は主人公の葛藤が大きいほど、注目させられます。
「主人公は葛藤の末にどうなってしまうのか?」という好奇心が、先を読みたくさせるのです。
「ヴェニスに死す」は、1971年イタリアの映画監督ルキノ・ヴィスコンティによって映画化されています。
ぼくは映画「ベニスに死す」も大好きです!
映画「ベニスに死す」では、クラシック作曲家グスタフ・マーラーの交響曲第5番4楽章アダージェットが印象的に使われており、物語の情感を非常に高めている。
そこにトーマス・マンの「ヴェニスに死す」の物語が重なるものだから、たまりません!
ぼくの中で人生最高の映画ベスト10があったら、間違いなく入るのが「ベニスに死す」です!
そんなトーマス・マンの「ヴェニスに死す」に感銘を受けたことから、「惑星カナンに死す」を描きました。
「惑星カナンに死す」では、主人公が欲望に溺れ、欲望によって死ぬ様を描きたいと思いました。
人間の、欲望や葛藤を描きたかったのです。
●「ヴェニスに死す」では、美青年に恋する老人作家の葛藤
●「惑星カナンに死す」では、発見した金塊を渡すのが惜しくなって、仲間を殺した主人公の葛藤
欲望は、どんな人間にもあるものです。
欲望は、人間を成長させます。
しかし欲望によって、人間の目がくらむこともあるのです。
そんな「人間の欲望」は、ぼくが生涯をかけて漫画アートで描きたいと思うテーマなのです。
ここに掲載した漫画「惑星カナンに死す」を、リメイクしてブログで連載することになりました!
物語は「惑星カナンに死す」を元に、連載web漫画としてあたらしく描き直しています。
「惑星カナンに死す」のリメイク版web漫画「惑星カナン」の第1話は、以下のリンクに載っています♪
筆者が描いた1話完結のSF漫画は他にもあるので、以下のリンクからご覧ください。
このブログで連載している月を舞台にしたSF漫画「変身!ドクロイド~月世界大戦争編」は、以下のリンクに載っています♪
最後まで漫画をお読みいただきありがとうございます!