「自分が描く漫画の絵柄は古い」って思ったことはありませんか?
君の絵はもう古いよって言われて「どうしよ~、時代に追いつけてねぇ~!」って感じたことのある漫画描きは、少なくないと思います。
実を言うと僕も「絵柄が古いよ」と言われたことがあります。
漫画の世界は時代のトレンドが存在あるので、絵柄の流行に対応出来るかどうかも大切かもしれません。
一方で、自分らしいスタイルを一貫する姿勢もすばらしいですね。
僕は現在流行を追うことをしてませんが、流行の漫画の絵柄を取り入れる練習は行い、けっこう役に立った経験があります。
では絵が古いと言われた時に、流行のタッチを自分の絵に取り込みたいと思った人は、どんな練習をしたらいいのか?
もしくは好きな漫画家のように絵を描けるようになりたい人は、どういう練習をしたらいいのか?
忙しい合間を塗って漫画を描く人が、流行の漫画の絵を自分の作品に取り組むための練習法と、作家として流行の漫画に対しどう向き合えばいいのか?について書いていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
ということでまずは「絵柄が古い」のネタで描いた4コマ漫画を添付いてみます!
前後の「もっとがんばれ!バカオくん」は以下リンクに載ってます!
Contents
君の漫画の絵柄は古いよの衝撃!
まず初めに、僕が漫画の絵柄は古いよと指摘されたエピソードから書いていきたいと思います。
僕は2010年頃からいくつかの某有名出版社に、漫画の持ち込みを行い、意見を頂いた経験があります。
その時に真っ先に来る言葉が「絵が古い。今の漫画のタッチを勉強した方が良い」ということでした。
商業漫画は漫画作品でビジネスを行っており、その漫画が雑誌に掲載されるには、大きなお金が動きます。
なので商業漫画家は何としても自分の漫画に人気をつけ、利益を生み出さねばなりません。
そのとき大切になるのが、言うまでもなく以下の点です。
●漫画の面白さ
●漫画の絵の魅力
この二点が重要だということは、漫画読者であれば分かると思います。
面白くない、絵にも魅力が感じられない漫画を、読者はお金を出して読もうとは思わないでしょう。
だから雑誌に漫画を載せたいと思うなら最低ラインとして、その雑誌に載っている絵柄のクオリティと並ぶ絵を描く必要があるという話しを聞きました。
また話しを聞くなかで流行の絵のタッチを大切にする出版社と、流行よりもその人らしいタッチを出してほしい出版社が存在することに気づきました。
「絵の古い新しい」というのは作家のセンスによる所があり、一度絵柄が固定すると直すのはなかなか難しいという話も聞きました。
これらの学びを通して僕は、自分の昭和を感じさせる絵柄から脱皮したいと願い、流行の絵柄のタッチを取り入れる練習を始めました。
以下より流行の漫画の絵柄を自作に取り入れるために、僕が行った練習方法を書いていきます。
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流行の漫画の絵柄を取り入れる練習方法
これから解説する練習法は流行の漫画の絵柄だけでなく、好きな漫画家の絵柄を習得したい人にも活用できます。
1:この人のように描きたいと思う漫画家の漫画を完全コピーする
これは某有名出版社にて持ち込みを行った際に、教えて頂いた方法です。
まず自分が取り入れたいと思う漫画家の作品が載った単行本か、漫画雑誌を用意して下さい。
漫画雑誌や単行本の練習したいページを、漫画家が本来描いているB4の大きさに拡大コピーを行い、それを基に完全コピーで原稿用紙に模写を行うのです。
トレースを行うのではありません。
パースも含めてゼロから漫画家が描いた原稿を自分で再現することにより、プロが描いた漫画のクオリティを体感するのです。
漫画家は原稿を描くとき一般的にB4サイズ(257㎜×394㎜、仕上がり線310㎜×220㎜、内枠270㎜×180㎜)に描いています。
しかし漫画雑誌や単行本に印刷される時は、本来描いてる原稿サイズよりも小さくなっています。
大きく描いた絵を小さく縮小すると、絵が上手く見えるからです。
B4の原稿用紙に描いた漫画は、ジャンプなどの雑誌サイズB5判(257×182mm)に掲載される時、約83%の比率で縮小されます。
ジャンプコミックスの大きさが新書版(113㎜×176㎜)なので、元の原稿用紙よりもだいぶ小さく印刷されていることになります。
漫画のページを完全コピーする効果
小さく縮小されてる漫画を実際に漫画家が描いたサイズに拡大コピーし、そのまま模写する効能は何か?
この練習を行うと、プロの漫画家がどのようなクオリティで一本一本の線を引き、絵を描いているかを体感し、身につけることができます。
漫画の1ページを完全コピーして描くことで~
●プロ漫画家の絵の質の高さに気づき、それを体得する練習になる
●その作家が持つ絵の特徴を取りこむことが出来る
●今流行の漫画のページ構成や擬音、効果や絵の細部をどう処理しているかが分かる
などのメリットが得られます。
練習するコツは、細かい背景や効果線まで、よく観察して描くことです。
プロの漫画家がいかに線の1本1本まで、神経を込めて描いているかが分かります。
ペンの入り抜きの力加減や、人物と背景の線の太さの違いなど、学べることは沢山あります。
ちなみに漫画雑誌や単行本を拡大コピーする時は、コンビニなどへ行き以下の比率で拡大を行って下さい。
●B5(少年ジャンプなどの漫画雑誌のサイズ)⇒B4(漫画家が描く原稿サイズ)=141%に拡大
●B6(ヤングジャンプなど青年漫画の単行本サイズ)⇒B4(漫画家が描く原稿サイズ)=200%に拡大
今はB5からB4のように大きさのボタンを押すだけで拡大コピーできるコピー機もあるので、状況に応じて対応して下さい。
ジャンプコミックスなどの単行本は新書版と呼ばれており、サイズは113㎜×176㎜です。
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2:流行の漫画雑誌を持参し、空き時間に模写する
ここからお伝えするのは、僕が実際に行っていた流行の絵柄を取り入れる練習法です。
僕は以前アルバイトをしながら創作活動をしていたので、少ない時間をやりくりして漫画絵の練習をしていました。
外出する時はいつも取り入れたい絵柄の描かれた漫画本と、スケッチブックを持参してください。
流行の漫画の絵柄を吸収したい時は、現在トレンドの漫画雑誌を購入して、それを持参して下さい。
雑誌を携帯するのが面倒な時は、模写したいページだけを破って、持ち歩きます。
そして時間が空いた隙に、どんどん模写するのです。
雑誌から模写する場合は、雑誌内にある漫画の中から自分のタッチに近い作風の漫画、将来的にこんな風に描きたいと思う漫画家の絵柄を模写します。
僕の場合、漫画雑誌や単行本を携帯するのはかさばるので、取り入れたい漫画家の漫画が載った雑誌を買い、その人の漫画が載ってるページを全部破り取りました。
破り取ったページをポケットやファイルなどに持参して外出し、空き時間に描くのです。
僕は常に小さいサイズのスケッチブックとボールペンを携帯してますから、時間があればすぐに描き出すことが出来ます。
描くものはボールペンか、濃い芯の入ったシャーペンがおススメです。
鉛筆だと芯が丸くなり描きづらくなるので、ボールペンか芯を沢山入れたシャーペンなら、途中から描けなくなる事態を防げます。
漫画雑誌の漫画ページを破るのは、ポケットに入れられてすぐに取り出せるからです。
漫画の単行本や雑誌を携帯出来るなら、それを使用して下さい。
とにかく外出している時の空き時間を利用して、即描き出すことが大切です。
これにより忙しい合間もムダな時間を作らず、与えられた時間を画力向上の練習に当てることが出来ます。
絵が描けるかどうかは、どれだけ絵を描いたか?が、大きく関わってます。
絵の上達の速さや上限には、人それぞれ違いがあります。
デッサンしたり絵の描き方の本を読んだり、絵の先生に教わるなどすれば、絵を上達することができるでしょう。
しかし画力を向上させるために絶対的に必要な「常に絵を描き、絵を描くことに慣れる」訓練は、本人の意思がないと行えません。
少ない空き時間に、プロ漫画家の絵を模写するのは難しいかもしれない。
しかしここで大切なのは「完璧に模写できたか」ではなく、プロ漫画家の絵の特徴をつかみ、自分なりに再現する訓練です。
だからラフに模写するだけでも、発見することはあります。
またプロ漫画家が1ページをどう構成し、どのようなクオリティで絵を描き込んでるかを知ることで、漫画力の向上につながります。
この練習を積み重ねることで、徐々に流行の漫画の絵柄を取りこむことができるでしょう。
人はある事に取り組めば取り組むほど、その行為に慣れてきて自然に行えるようになります。
自転車に乗れるようになるのが良い例です。
多くの人にとって、初めて自転車に乗るのは難しかったでしょう。
しかし自転車に乗ることに慣れると、自転車に乗るのが以前より楽になります。
絵を描く行為も、これに似ています。
絵は、自然と描けるような状態に持っていくのが上達のコツです。
そのためにも日常生活の中で、暇さえあれば絵を描く習慣を取り入れて、絵を描くことに慣れるのです。
その上で絵の技法書など、上達するための知識を学ぶようにします。
僕はアルバイトをしていた頃、休み時間や通勤の電車に乗っている時など、常に絵を描く練習をしてました。
当時僕は「ジョジョの奇妙な冒険」のような絵を描けるようになりたいと思ったので、時間があると即ジョジョの絵を練習しました。
毎日の生活の空き時間に流行の漫画の絵の練習をする習慣を持つと、徐々にあなたの絵柄に新たな風が舞いこむでしょう。
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絶対に覚えておくべき漫画描きの心得
僕は流行の漫画家の絵柄を描けるようになる練習方法を書きました。
しかしここで一つ、漫画を描く作家が絶対に忘れてはいけない事について書きましょう。
漫画描きの最終目標は、唯一無二な自分独自の漫画を生み出すことによって、読者を楽しませることにあります。
漫画を描くことを生業とする時、絵でも漫画の内容でも、自分らしい個性を、強烈に身につける必要があるのです。
作家として大切なことは、誰かのモノマネが出来ることではありません。
誰かのモノマネは、作家として何の意味も持たないということを覚えておいて下さい。
最終的に大切なのはこの宇宙でただ一人、あなただけの作風を持つことです。
あなただけの漫画の特徴を持つための通過点として、流行の漫画や、好きな漫画家のコピーをする練習は役に立ちます。
しかし人の漫画のコピーが出来たから凄いわけではないのです。
素晴らしいと思う漫画家の要素を吸収して、その上であなたは何を生み出すのか?という事を常に考えてください。
僕も今これらの実践し続けている途上にあります。
もっとも僕の経験上、人のモノマネをしても絵のクセが出て、自分らしさはあらわれます。
プロ漫画家の絵を模写して出てしまうあなただけの絵や線の特徴、これを大切です!
人のマネをしているのに自然と出てきてしまう特徴こそ、あなたの個性です!
その違和感を捨てるのではなく長所として伸ばし、あなたの絵の個性に変えるのです。
自分の個性は、自分では気づきづらいもの。
しかし意識せずとも出る絵の違和感は、あなたと他の人の絵を区別する要素なので、育てるようにして下さい。
絵において大切な事は「上手く描けているか」以上に「あなたにしか描けない作風」を生み出せているか?ということにあります。