漫画のキャラクターはどうやって作ったらいいんだろう?
とお考えのあなたに本日は、短編漫画のキャラクター6つのパターンについて解説していきます!
僕はこれまで漫画の描き方系の本を沢山読んできました。
その中でも特に役立ったなと思う本があります。
それが「キャラクターを動かす!マンガストーリー講座」(著・田中裕久/SESHOEISHA)!
この本は、漫画キャラクターの作り方についても書いてあります。
キャラクターは6つのパターンに分けて考えると、作りやすいとあるのです。
漫画のキャラクターをパターン化することで、キャラクター創作がしやすくなる。
それなら漫画キャラクターのパターンを知っておくと役立つでしょう。
この記事では「キャラクターを動かす!マンガストーリー講座」(著・田中裕久/SESHOEISHA)を参考に、漫画のキャラクター6つのパターンについて解説していくので「漫画のキャラクター作りたいぜー!」って方はどうぞご覧ください♪
Contents
漫画キャラクターの8割はパターンで作れる?
漫画の歴史上大ヒットした作品には、オリジナリティあるキャラクターが存在します。
この本では漫画のキャラクターは「8割のパターンと2割のオリジナリティ(作者独自の感性)で出来ている」と書かれています。
魅力的なキャラクターは、個性が強いものです。
しかしどんな漫画でも、パターンの組み合わせによってキャラクターが作られてる部分があるようなのです。
8割がキャラクターパターンの要素。
そこに2割の作者独自な個性をまぜることで、魅力的なキャラクターが作られると書かれています。
以下にキャラクターのパターン6種類を挙げてみます。
1:少年漫画の王道キャラクター
2:コミュニケーション能力の高い普通なキャラクター
3:コミュニケーション能力の低い普通なキャラクター
4:変人キャラクター
5:天才キャラクター
6:繊細なキャラクター
以上6パターンの内、1~3が主人公に適したタイプ。
4~6がサブキャラクターに適したタイプです。
漫画のキャラクターを作りたい人は、はじめに上記6パターンのキャラクターを理解し、完全にコピーすることが大切だと書かれています。
作者独自の個性を盛りこむのは、6パターンのコピーが出来てからという流れですね。
ちなみに僕は漫画のキャラクターを作る時、パターンは考えてません。
その漫画で必要となるキャラクターを一人ずつ考え、必要な場所に配置します。
しかしキャラの性質をパターン化してそこに個性を盛りこむ創作法は、キャラクター創作がしやすくなるでしょう。
まずはキャラクター作りをする上で、一番大切なことについて書いていきます。
パターンを使って漫画キャラクターを作るときに大切なこと
漫画のキャラクターを作るときに大切なことは「感情移入」出来るキャラクターを作ることだと言われています。
読者はキャラクターの生き方や言動に共感することで親近感を感じ、その漫画が好きになっていくものです。
読者がキャラクターに感情移入できなければ、作品のファンになってもらうことは難しいでしょう。
以下のとき、読者はキャラクターに感情移入すると思います。
●キャラクターに自分との共通点を感じた
●キャラクターに自分の願望を感じた
自分と同じ共通点があったり、感情移入できる対象には特別な感情が生まれ、好きになるものです。
キャラクターを読者に共感してもらうには、読者のことを分かっていないと始まりません。
ターゲットとする読者が誰かを想定し、その人に共感されるようなキャラクターを作ることで、感情移入されやすくなるでしょう。
なのでキャラクターを作る時は、どんな読者に向けて漫画を描くのかを、始めに決める必要があります。
キャラクターの過去エピソードを描くことでも、今に至るキャラの背景が分かり、共感されやすくなるでしょう。
そのキャラクターの個性が作られるに至った過去の出来事や人間関係、人生などをエピソードとして描くのです。
またキャラクターが読者の叶えたい願望をもっていた場合も、親近感を感じると思います。
ターゲット読者が共感するような要素を、漫画キャラクターにいれることで、感情移入がはじまります。
漫画のキャラクター6パターンを知る大前提として、キャラクターには「感情移入のできる要素が必要」なのです!
漫画のキャラクター6パターンとは?
それではここから漫画のキャラクター6パターンについて、1つずつ解説していきます。
まずは主人公キャラに適している、3つのキャラクターパターンについて書いていきます。
ここで紹介するキャラクターのパターンは、短編漫画を描く時に役に立つパターンであることをご承知ください。
長編漫画ではキャラクターを描くページ数の幅が広がるので、キャラクターの見せ方も変わってくるからです。
しかしキャラクター創作の基本として、6つのパターンを覚えておくと、役に立つでしょう。
スポンサードリンク
1:少年漫画の王道キャラクター
主人公に適した漫画キャラクターのパターンその1は、少年漫画の王道キャラクターです。
王道キャラクターとは華がある、カッコいい、ついていきたくなる、強い…そんな主人公のこと。
例えばドラゴンボールの悟空やONEPIECEのルフィ、北斗の拳のケンシロウのようなキャラクターです。
普通の人には出来ないことをしたり、強い信念を持っていたり、強力な必殺技を持ってたりします。
王道のキャラクターパターンは、少年漫画にでてくるようなキャラクターですね。
現実離れした要素をもっていることが多く、読者から憧れられるような存在感があります。
キャラクターはギャップを取り入れることで、魅力が増すと言われています。
短編漫画の場合限られたページ数で主人公に感情移入してもらう必要があるので、ギャップを作ると読者を引きつけやすくなります。
コミカルで面白いときと真面目なときとで、性格にギャップがあるような
普段はおとなしいけどタブー行為をされると怒るみたいなギャップね
キャラクターパターンの性格にギャップを取り入れることで、キャラクターに意外性が生まれます。
そこに共感した読者は、キャラクターに惹かれていくでしょう。
僕は「ジョジョの奇妙な冒険」第4部の、東方仗助のギャップが面白いと思います。
仗助は普段は善良な青年だけど、髪型をけなされると怒り狂う設定があるのです。
キャラクターのギャップはセリフで説明するのではなく、エピソードを通して読者に伝えましょう。
サザエさんは、あわてものな性格をしています。
なのでサザエさんはお魚くわえたドラ猫を、はだしで追いかけてしまうことがあるのです(笑)
このように、キャラクターの性格パターンは、エピソードを通して描きましょう。
特殊な少年漫画
「キャラクターを動かす!マンガストーリー講座」には、少年漫画は他のジャンルの漫画に比べて特殊だと書かれています。
少年漫画はキャラクターの感情の流れが、現実をベースとした因果律とは違う法則で成り立っているのです。
本には以下のように書いてあります。
●少年漫画は作者の圧倒的な熱量を主人公に込めて、それを物語を通して読者と共有するジャンル
●少年漫画の主人公に圧倒的な熱量をこめるには、作者が自分の人生で感じた喜怒哀楽の感情を、デフォルメして読者に伝えることが大切
「キャラクターを動かす!マンガストーリー講座」(著・田中裕久/SESHOEISHA)から引用
主人公に自分の生きてきた信念を込めて物語を通して表現するとは、まさに漫画における自己表現であると僕は感じます!
スポンサードリンク
2:コミュニケーション能力の高い普通なキャラクター
主人公に適した漫画キャラクターパターンの2は、いかにも普通でコミュ力の高いキャラです。
●特殊能力がない
●どこにでもいる普通な人
●コミュニケーション能力は高い
この3点が、特徴のキャラクターパターンです。
自分の周りにも必ず一人はいそうな、お調子者やフットワークの軽い人ですね。
このタイプは普通の人間なので、読者と価値観が近く、感情移入しやすいキャラクターです。
またコミュニケーション能力が高いので、色々なキャラクターと絡ませて喜怒哀楽を描けるでしょう。
物語上動かしやすいキャラクターと言えます。
このタイプのキャラクターを作るとき大切なのは、コミュニケーション能力を作者が把握し、作品を通して一定の基準に保つことです。
キャラクターのコミュ力を作者がつかんでないと、キャラのブレに繋がってしまうからです。
コミュニケーション能力の水準が作品でまちまちだと、リアリティがありません。
努力などをして能力を磨くなどしないのなら、一定した能力の水準を維持することが大切なんですね。
コミュ力の高さは「友達が多い」みたいな見せ方だけではないでしょう。
お互い信頼しあう者同士なら、言葉を介さずとも意思疎通できることはあります。
例えば銭湯で背中を流し合ったり、喧嘩をすることでお互いの気持ちを確認し合うようなコミュニケーションもあるでしょう。
人間の感情は複雑なので、気持ちの伝え方はキャラクターによって変わります。
SNSの流行りをみてもわかるように、人の関心はコミュニケーションに向けられています。
読者のなかには、コミュ力に不満を持つ人もいることでしょう。
そういう読者にとってコミュニケーション能力の高いキャラクターは、憧れに似た感覚を持つと、本には書かれています。
スポンサードリンク
3:コミュニケーション能力の低い普通なキャラクター
主人公に適した漫画キャラクターパターンの3が、コミュ力は低い普通の人です。
●不器用
●引っ込み思案
●人付き合いが苦手
などの特徴を持つキャラクターです。
このタイプのキャラクターは、読者が最も感情移入をしやすい主人公です。
なぜなら不器用さは、世の多くの人がどこかしら持つ要素だから。
そんな主人公との共通点によって感情移入が入り、好きになってもらえるかもしれません。
共感している不器用な主人公が努力し、苦労の末に目的を達成すると、読者は自分のことのように嬉しく感じるのではないでしょうか。
このタイプのキャラクターを作るとき注意するのは「キャラクターのレベルを低くし過ぎないこと」と書かれています。
自分よりレベルの低い主人公の成長物語には、読者はそこまで共感しないのでしょう。
漫画の主人公なので、なにかすごい要素をもっていてほしいのかもしれません。
例えば「友達が一人もいない主人公が頑張って友達を一人作る」というような物語です。
上の内容は漫画作品としてありだと思いますが、多くの読者にとって友人は1人くらいいるものです。
読者が主人公に対してリアリティを感じられないと、共感が生まれづらくなります。
そのため、想定読者にとって現実感のある設定が良いということです。
「自然に読者が自分を投影できるキャラクター」
上を意識するのが、このキャラクターパターンの主人公を作るコツです。
スポンサードリンク
サブキャラクターに適した3パターン
ここからサブキャラクターに適した、キャラクターパターンの3つを解説していきます。
短編漫画では、サブキャラクターに感情移入してもらう必要はないでしょう。
しかし変人&天才キャラクターは、短いエピソードでキャラを立たせ、読者の興味を引くことが出来るので、短編漫画を描く時に便利なキャラです。
漫画の冒頭から中盤にかけて変人&天才キャラクターに暴れてもらい、読者を楽しませている内に、普通型の主人公キャラクターに感情移入してもらう。
というのが短編漫画の見せ方として、オーソドックスな手法だと本では解説されています。
4:変人キャラクター
サブキャラクターに適したキャラクターパターンの1つめが、変人キャラクターです。
世の中の多くの人とは、価値観や発想がズレたキャラクターのことです。
一般的に大切だとされる価値観とは違った考え方をするので、周りからは変人だと見られてしまうキャラクターですね。
変人キャラクターにとっての常識は、周りから見ると非常識です。
でも本人は自分が変わっているとは考えていないことが多いですね。
変人キャラクターは奇妙な言動をするので、物語の展開を進ませる起爆剤的な役割を担うのに向いてます。
特に短編漫画の場合、物語前半で突拍子もない変人キャラクターのエピソードを入れることでキャラが立ち、読者の興味を引けるでしょう。
変人キャラクターを主人公にからませることで、いろんなエピソードが浮かんできそうです。
変人キャラクターの代表例は、主人公格だけど「天才バカボン」のパパです。
バカボンパパの性格は、ナンセンスの極致をいくような変わりものです。
変わりすぎてるので、何をしてもネタになるようなキャラクターですね。
変人キャラクターを作る際は、なぜ変わった性質を持つに至ったのか?という背景エピソードを描くことで、キャラクターの説得力を増すことができるでしょう。
スポンサードリンク
5:天才キャラクター
サブキャラクターに適したキャラクターパターンの2は、天才キャラクターです。
変人キャラクターに似てますが、ある特定の能力がずば抜けて高いキャラクターを指します。
天才型キャラクターも普通な人とは価値感が違うことが多く、常人では考えられないような発想をしたり、偉大な何かを生み出したりします。
天才型キャラクターは、読者の憧れの対象になりやすいキャラクターと言えます。
「バクマン」にでてくる新妻エイジは、分かりやすい天才キャラクターですね。
天才キャラクターは、普通型のキャラクターと絡ませると良いです。
普通な主人公の不自然な所を天才キャラに突っ込ませることで、キャラ同士の個性を浮きぼりにできるでしょう。
本当の天才はデコボコが激しい
天才型キャラクターと聞くと、何か壮大なものをやすやすと作ってしまう凄い人の様に感じるかと思います。
僕が天才と呼ばれる人の本を読んで分かったことは、本当の天才は思い切りデコボコの激しい人です。
ある一つの能力にとことん秀でるというのは、別のどこかの部分が激しくへこんでいるものなのです。
例えば画家のゴッホは、時代を塗りかえるような絵画を描きました。
それはゴッホに、人とは違う強烈な個性があったからです。
強烈な個性は、一般社会では目立ってしまい逆効果に働くことがあります。
例えばゴッホは画家になる以前、牧師として活動しましたが、うまくいかずクビになっています。
ゴッホが熱狂的になりすぎて、自分の持ち物まで貧しい人に与える行為が、牧師協会から疑問を持たれたのです。
ゴッホは夢中になりすぎてしまう性質があり、それが逆効果になった例ですね。
しかしゴッホの熱狂的な性質が、絵画の世界ではプラスに働き、革新的な作品を生み出すことになりました。
このように真の天才はある能力が突き抜けてますが、別の部分で激しいマイナス面があるのです。
全体の能力がバランスの良い天才も、なかにはいます。
歴史に残る多くの天才達は「過剰な性質を持つ」ために、デコボコの激しい性質の人が多いのです。
例えば
●素晴らしい名曲を生み出したモーツァルトが、実は子供っぽい人だった
●絵画の世界でバロック様式を生み出したカラヴァッジョが、殺人を犯していた
●千円札にのった夏目漱石が、神経衰弱で弱っていた
●ゴッホは発狂して自分の耳をカミソリで切り取った。切った耳をなじみの娼婦に渡している
などのように、すごい能力の一方で、マイナス面も激しい。
能力がズバ抜けて突出するということは、別のどこかにゆがみが生じているのです。
これが「過剰さ」ということ。
この過剰さが原動力となり「その世界を革新するような仕事」に繋がっているのです。
ぼくは天才に共通する過剰さやデコボコを描いていない表面的な天才キャラクターには、リアリティを感じません。
漫画は性格もデフォルメしたほうが、分かりやすいので良いこともあります。
でも真の天才の裏には、上のような過剰さが存在するのも事実なのです。
天才型キャラクターを作る時は、突出した能力の裏の影を描くことで、説得力のある存在になると思います。
スポンサードリンク
6:繊細なキャラクター
サブキャラクターに向くキャラクターパターンの3が、繊細でおセンチな性格。
線が細く、センチメンタルで、触れれば壊れるくらい繊細なキャラクターです。
このタイプのキャラクターを作るには、作者の詩的感性が要求されるでしょう。
繊細なキャラクターは、少女漫画や女性漫画によく登場しますね。
繊細なキャラクターは、青年誌系の題材にも相性が良いと書かれています。
時に人は、センチメンタルな気持ちになるものです。
日常生活で何かに反応し、詩や歌を作りたくなることがあるかもしれません。
そんな読者の感覚をキャラクターに投影させて描くことで、共感されるキャラクターになるでしょう。
例えばバイオレンス系漫画に登場する残虐なキャラクターの別側面として、繊細な一面を描くと、ギャップでキャラクターが立ちます。
キャラクターの残虐性が強いほど、繊細さが際立ちます。
ナイーブであればあるほど、残虐な行動を取らざるを得ないシーン目立つ、という見せ方もあるのです。
暴力的なキャラクターは繊細さを対比させることで、個性が際立つのです。
そのためヤンキーものやバイオレンス系漫画でも、繊細なキャラクターはおおいに役立つでしょう。
キャラクターの繊細さは、主にモノローグを使って表現します。
モノローグとは心の中や、一人のときに言われるセリフのこと。
繊細系キャラクターは、モノローグで個性を出す練習をすると良いようです。
漫画キャラクター6つのパターンの最期に
以上「キャラクターを動かす!マンガストーリー講座」(著・田中裕久/SESHOEISHA)を参考に、キャラクターの6パターンについて解説してきました。
●漫画のキャラクターは大きく6パターンに分けられる
●主人公キャラクターには特に感情移入が必要
●サブキャラクターは物語を展開させるための起爆剤になる
漫画キャラクターのパターン6つは以下です。
1:少年漫画の王道キャラクター
2:コミュニケーション能力の高い普通なキャラクター
3:コミュニケーション能力の低い普通なキャラクター
4:変人キャラクター
5:天才キャラクター
6:繊細なキャラクター
漫画キャラクターの6パターンを参考に、自分で考えたキャラクターを当てはめて作ってみましょう。
自分が好きな漫画のキャラクターが、どのパターンかを考えると面白いかもしれません。
「キャラクターを動かす!マンガストーリー講座」(著・田中裕久/SESHOEISHA)はキャラクターの作り方だけでなく、漫画を作るために必要なことがバランスよく書かれています。
漫画をこれから描きたい人や、ある程度描ける人にとっても勉強になる内容です。