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ベートーベンのピアノソナタ第14番「月光」を漫画で表現した方法

投稿日:2017年5月8日 更新日:

ベートーベン

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーベンの「月光」という曲をご存じだろうか?

ベートーベンと言えばJ.Sバッハやモーツァルトと並び、西洋音楽史上最も重要な作曲家の一人であり、クラシック音楽の流れを転換させた革命的表現者でもある。

かくいう僕もベートーベンは大好きでカラヤン指揮&ベルリンフィルハーモニーのベートーベン交響曲全集を持っており、良く聴いている。

そのベートーベンの生み出した曲に「月光」というピアノソナタがある。

恐らく耳にすれば誰もが知っているだろう、繊細さと激情を合わせもった名曲だ。

 

実は僕はこのベートーベンの作曲した「月光」を基に読み切りで漫画を描いた事がある。

「月光」の持つあまりの美しさに感銘を受けて、音楽を漫画に転化したのだ。

 

僕は漫画とアートを融合して絵を描く活動をしている粕川…かちゅ…かわ…ひ、ろ…や…ちゅ…

モプッモプッ、モプーーーーーーーーーーーー‼

 

 

モプゥ 粕川

粕川博康と言います!

さっきベートーベンの魂のようなものが見えて、思わず「モプゥ!」と叫んでしまいました。

 

ということで

ベートーベンが生み出した月光をいかにして漫画に下のついて描いていこうと思う。

僕は聴いた音楽を絵にしたり、漫画することがある。

 

素晴らしい音楽を聴いていると明確なヴィジョンが生まれることはないだろうか?

月光をいかに漫画に転化したのか?

そしてベートーベンの月光について書いていきたいと思う。

それ~集まれ~ピロロロロロロロ~。

 

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ベートーベンこそ芸術家

ベートーベン

 

このブログに集まってくださる方々は漫画が描きたい人や絵画、芸術が好きな人が多いので、僕はこう言いたい。

芸術家とは誰かといった時、真っ先に浮かぶのが今日ご紹介するベートーベン(1770年12月16日~1827年3月26日)だと。

 

何しろベートーベンという人は芸術家気質全開だった。

例えば

  • 気難しく、繊細さと激情を合わせ持っている所(ミケランジェロやファン・ゴッホにも当てはまる)
  • 風変わりで人と違う行動をしていた
  • 初めは貴族のために音楽を書いていたけど、やがて自分の内的な創作衝動に焦点を当てて作曲をしだす
  • 当時流行りの作曲をするんのではなく、独自の創作法を発明している
  • 耳が聞こえなくなったのにあくまで音楽制作をする情熱
  • 運命の恋人との熱烈な恋愛と破局

 

エピソード満載なベートーベンを象徴する話としてこんなものがある。

ある日ベートーベンはゲーテ(当時大成功していたドイツの詩人)と道を散歩していると向かいからお偉い貴族の馬車がやってくる。

 

政界にも足を踏み入れているゲーテは道端によけて敬礼するのだが、ベートーベンは何事もなかったかのように通り過ぎ、逆に大公からの挨拶を受けたという。

 

恐らく階級による人の上下に疑問を持っており、自分は誇り高い芸術家だという考えがあったのかもしれない。

後年ゲーテはベートーベンを評してこう語る。

「その才能は驚くほかないが、残念なことに不羈奔放な人柄だ」と。

奔放不羈→何物にも拘束されず、自由にふるまう事。

 

ベートーベンの強靭な音楽表現

ピアノ

エピソード満点な人柄だけではない。

ベートーベンの作品にはインパクトがある!

例えば

  • 交響曲第五番「運命」による「ダダダダーン」の冒頭。
  • 交響曲第六番田園による風景描写を音楽に転化させるところ
  • 交響曲第九番「合唱」では交響曲内にシラー作詞の言葉を入れ、合唱パートを混ぜ込むという革新性。

 

ベートーベンの生み出す音楽には音を越えた何かがある。

激情、情熱、執念、魂、力強さ…

ベートーベンは音楽に自らを託したのだ。

それまで貴族のために楽しみとして作られていた音楽を、自己の強烈な表現へと進化させた。

これは素晴らしいことである!

 

あのモーツァルトでさえ貴族の為の音楽を人生の終了間際まで作っていたのに、

ベートーベンは自らを音楽職人ではなく芸術家と捉え、表現した。

 

この点で僕はベートーベンを心より崇拝している。

 

「月光」はどんな時に聴くのか?

 

ベートーベンは1801年ピアノソナタ第14番嬰ハ短調作品27-2「月光」として作曲をした。

 

聞いた方は分かるように、第一楽章は静かなピアノが抒情的に入ってくる。

それはまるで深い森の湖に映る月光のように可弱い。

やや深刻な面持ちの曲調だけど、心を澄まして聞くとなぜか胸に染み入る。

 

僕は絵でも漫画でも何かを表現する人ならば傑作と呼ばれる作品はジャンルを問わず触れておくべきだと思う。

例えジャンルが違っても、自分の行う表現に取り入れる余地があり、人を感動させる何かが潜んでいるからだ。

特に「月光」は静寂な抒情性、イメージを呼び起こす空気感をもっているので発想源になりやすい。

 

「月光」は人通りの多い街路をiPodで聴くような音楽ではない。

一人静かな場所で、内部へと深く沈みこむような時に効くとイマジネーションが広がる。

これから創作をしようと思っていて、何か感傷的な要素を取り入れたいと思った時などは是非「月光」を聴いてみよう。

 

ベートーベンの「月光」の特徴

月光

ベートーベンの音楽、「月光」の特徴に

静寂さと激しさの対比というのがある。

実はこれ、表現者にとってとても重要な要素。

 

作品はメリハリがあると生きる。

例えば絵にしても同じ色調の色だけで塗りこめていると単調な印象を持つが、そこに激しく対比する色彩を置くことでインパクトが生まれる。

黒沢明氏という映画監督はこんなことを言っている。

 

「天使のように繊細に、悪魔のように大胆に」

 

ベートーベンの音楽には明確にこれがあるのだ。

繊細さが支配していたと思うと突然激情的なフレーズがほとばしる。

このメリハリは名作と呼ばれる作品群に結構共通している。

例えばアメリカのロックバンド「ニルヴァーナ」の音楽にも繊細さと激情性の混合が見られるし、彫刻家ミケランジェロはその最もたる例だろう。

力強く大胆な作りの陰に見える、恐るべき繊細さの光る彫刻群。

 

この繊細さと激情を「月光」は合わせもっているのだ。

 

月光の制作背景

恋人

月光は伯爵令嬢のジュリエッタ・グィッチャルディという女性に譲られた。

当時ベートーベンはこの14歳年下女性のピアノ教師をしており、彼女に夢中になってしまったようだ。

しかし二人の間には身分の違いという大きな壁があった。

 

ベートーベンは彼女のことを愛していたが、やがて彼女はベートーベンのもとを去り別の男性と結婚してしまう。

 

ピアノソナタ14番「月光」は彼女へ向けて作られた曲である。

 

確かに聴いてみると、失恋の痛みによる諦念、悲しみがちらちらと見える。

でも感情に流されることなく音楽芸術として至高の高みに達している。

感傷的な第一楽章からラストの第三楽章に進むにつれて力を取り戻し、疾走する激情に変わる。

この変化の様が感動的。

 

ベートーベンの月光なら僕はこのCDをおススメしている。

ベートーベンの月光をいかに漫画に翻訳したか?

月光01

では僕がいかにベートーベンの月光を漫画に翻訳したのかについて書いていこう。

音楽を漫画にする際に大切なのは「集中できる環境で音楽を聴くこと」にある。

音楽はどんな場面でも聴けるけど、人通りが多い場所では中々集中できないだろう。

特に月光は繊細な音楽なので、一音もろとも聞き逃さず聴ける状態を作りたい。

部屋の中でヘッドホンをつけて暗くして聴くのがいいかもしれない。

視界を遮ることでイメージに集中することが出来る。

そして音楽に思いを馳せながら聴くのだ。

僕の場合これを行ったとき明確なヴィジョンが見えた。

月光第一楽章の静寂なピアノの音色から現れたのは

「深い森の中で一人グランドピアノを弾くベートーベン」という映像だった。

月光部分

周りは深い森におおわれている。

空は闇、静かに月が浮かんでいる。

近くの湖には月光の光がゆらゆらと漂う。

僕はこの映像が頭から離れなくなったので、漫画に描くことに決めた。

頭に巣食うイメージを作品という形で表すのが表現者である。

この時一つの事を意識した。

「ベートーベンが月光を作曲した背景を物語として知っておくこと」

これを知ることで、漫画にする際作りやすくなる。

この記事で述べた14歳年下の女性のピアノ教師をやっていて恋をしたという事なので、そのエピソードを漫画に取り入れたのだ。

  • 曲から浮かぶイメージと
  • その曲が作られた背景が分かると

音楽を漫画で表現しやすくなる。

一人ピアノを弾くベートーベンを幻想の森に配置した

僕は曲のイメージである「深い森の中で一人ピアノを弾くベートーベン」を「幻想の森」に置き換えてみた。

幻想の森とは僕が漫画や絵画で連作をしているモチーフである。

油彩 「幻想の森」

僕は「幻想の森」というモチーフで共通させることにより、漫画とアートを繋げた創作をしているのだ。

なので漫画ではベートーベンは幻想の森の中でピアノを弾いている。

漫画「月光」の展開部は?

幻想の森の中でピアノを弾くベートーベンに回想シーンを交えることで展開させた。

ただピアノを弾いているだけだと単調なので、エピソードである女生徒との恋愛、破局、つらさを回想を交えて描いてみた。

その中に僕の芸術に対する思いも込めている。

また僕はこの漫画の中でアートの要素をちりばめている。

漫画の絵というのは説明としての絵といえる。

例えば背景で街路を描くとして、わけの分からない絵では読者が街路と認識できないだろう。

しかし僕は漫画の中で描く絵を少しずつ説明から解放しようと試みている。

漫画の絵を説明から解放し、それ自体で何かしらの表現力を持つものにしたいと思うから。

この月光という漫画で上の実験を取り入れている。

僕の解釈も含めて、2011年頃ベートーベンの月光をテーマに描いた全15ページの漫画を最後にご紹介いたします。

下の画像をクリック頂くと漫画閲覧画面へ移ります。

月光01

すず
今日もブログをお読み頂きありがとうございました!

 

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粕川裕康/漫画アート芸術家。漫画描きと油絵描きをしており、二つ合わせて漫画アート芸術家!/漫画とアートを組み合わせた創作活動をしています。

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