この記事では、自分の絵のスタイルを築こうと奮闘していた筆者の体験記を書いている。
絵のスタイルとは何か?
作品を見たときに誰が描いたかがはっきりわかる、明確な特徴のある絵のことだ。
筆者は2016年11月、以下のような絵のスタイルを作ろうと奮闘していた。
なんだこれは!何の生物なんだ~!
上は「大地より生えたる者」という、筆者が2016年ころに描いていた絵のシリーズの一つ。
以前から筆者は連作という形で絵や漫画を制作することがあった。
連作とはテーマを決めて、そのテーマに沿った絵を描くこと。
はっきり言って、この時点の筆者に絵のスタイルといえるほど明確な特徴があるわけでない。
しかし当時の筆者が絵のスタイルを作ろうと奮闘していたことを書けば、何かの役に立つかもしれない。
ということでこの記事では2016年に描いた絵を参考に、自分スタイルの絵を作るために筆者が行ったことを書いていこう。
Contents
絵のスタイルを作りたいともがいていた頃の油絵
2016年、なぜこのタイミングで「大地より生えたる者」の油絵シリーズを始めたのか?
「これが自分様式だ」という絵のスタイルを、作りたかったからである。
筆者は絵を描く表現者なので、誰が見てもあの人だ!と分かるようなスタイルを築きたいと思った。
例えばムンクやピカソは、一目見てすぐに誰が描いた絵かが分かる。
それは絵の描き方だったり絵肌、色の特徴に、画家の個性があらわれているからだろう。
ピカソやムンクは、絵のスタイルがはっきりしているのだ。
このスタイルを築くことが、絵を描く表現者にとって重要だ。
僕も今まで色々な絵を描いてきたけど、そろそろ分かりやすい自分タッチの絵を固めていきたいと感じたのだ。
それなら筆者の根源的テーマである「幻想と自然」を描きたいと思った。
こうして絵のスタイルを探す、「大地よりはえたる者」シリーズの制作が始まった。
絵のスタイルを築くためにキャラクターを作る
筆者は漫画アート芸術家なので絵のスタイル確立のために、キャラクターを使おうと考えた。
それならばと思い、この奇妙なキャラクターを描いたのだ。
この生物は、大地から生えてきた生命体である。
その名も「大地よりはえたる者」!
ぼくの絵のスタイルには、キャラクターが必要だと気がついたのであ~る
「大地よりはえたる者」は、母なる大地から生まれてきた謎の生命体。
「大地よりはえたる者」は、いつも前を向いている。
「大地よりはえたる者」の眼が青く輝いているのは、いつも未来を見ているからだ。
彼はどんな時も、自分の運命を切り開く意思を持っている。
筆者は絵のスタイルを作るとき、キャラクターを取り入れることにしたのだ。
こちらは、大地より生えたる者のドローイングの画像。
大地より生えたる者は、いつも自然の中にいる。
彼は、都会では生活ができない。
大地より生えたる者は文明社会から離れた場所のほうが生きやすいのだ。
だから大地より生えたる者の後ろには、樹木や山や海など自然がある。
油絵では「大地より生えたる者」や後ろの自然を、淡くぼかして描いた。
形は明確に描かなくていいのだ。
空も大地も樹木も生命体も、一つに溶けそうなほどぼかされる。
これは最終的に全ては一つであるという僕の思いの表れである。
と同時に、淡く霧がかった絵のスタイルは、幻想を表している。
●大地より生えたる者というキャラクター
●自然が舞台の絵
●全てが淡くぼかされる絵
この3点が、筆者が考える絵のスタイルとなった。
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絵のスタイルは幻想を描くこと
僕はシンプルな絵が好きだ。
そのため、対象を細かいところまで描きこまないことが多い。
なぜなら対象の立体感を描いているわけではないからだ。
僕は自分の感じた「幻想」を描いている。
絵で描かれる木や山は、幻想を構成する要素だ。
この幻想的なイメージを、絵で描くことが僕の目的。
木を描いてはいるが、それは木ではない。
山が描いてあっても、それが山に見えなくてもかまわない。
実際の所、海でも山でもどちらでもいい。
大切なのは、幻想としてのヴィジョンなのだ。
筆者は、そのような絵のスタイルが良いと思った。
僕は幻想を描いているのだ。
対象物(木や山や海など)は、絵を描くときのキッカケでしかない。
キッカケを得たら、そこから広がっていくものを描くのだ。
それも限りなくシンプルな描き方で。
複雑な要素は必要ない。
ムダを省き、本当に必要なものだけで絵を構成する。
僕にとって絵のスタイルとは、自分が見た幻想のヴィジョンである。
そこには完成も未完成もない。
その時、その瞬間、そこに置かれた色や形で完結する。
どこまでが完成でどこまでが未完成という区分けが、存在しないのである。
人間に完全な人がいないように、絵もその時に描かれた状態が全てだ。
絵は、絵を描く人の人生の一部であり、その瞬間の表現を切り取ったものである。
この絵は18cm×14cmの小さいキャンバスボードに描いた。
画材は油絵の具。
僕は色調を統一したい傾向があるので、空の青にもいくぶん緑を含ませている。
緑に対する補色として、赤系統の肌色と木肌を描いた。
赤と緑という組み合わせは、お互いを引き立てあう補色の関係。
大地よりはえたる者と一緒に自然を描き、幻想のヴィジョンを作る。
これが2016年時点での、筆者の絵のスタイルだったのだ。
絵のスタイルを作るきっかけになったドローイング
今回の絵を描くきっかけになったドローイングが、上の画像。
筆者は絵を描くとき、別紙に完成図のラフ画を描くことが多い。
その中から良さそうな絵を選び、油彩などで描く。
僕は常にスケッチブックを携帯しており、ヒマがあると上のようなドローイングを描く。
これらは簡単にできる、自己表現の絵のスタイルだ。
その時の感覚を、大地よりはえたる者を使って描き残しておく。
悲しければ悲しいタッチで、うれしい時は喜び一杯の大地よりはえたる者を描く。
スケッチブックを携帯して、時々の感覚を絵に描きとめる習慣は、絵で自己表現をする能力を鍛えてくれる。
スケッチブックに描いた絵の中から、気に入った一枚を見つけて制作に入る。
僕は一つの絵を描くのに、あまり時間をかけない。
たくさん絵を描きながら、描き方などを探り、自身を表現していきたいと思っている。
筆者の絵は、短時間で完成するものが多いのだ。
その点筆者が描く絵は、インスタントアートといえるかもしれない 笑
カップラーメンか!
絵のスタイルを築こうと奮闘していた体験記の最後に
絵を描く表現者にとって、自分スタイルの絵を築くのは大切である。
筆者が2016年当時に、絵のスタイルを作るためにしたことは以下。
●自分の中の表現テーマである「幻想と自然」を描いた
●対象をシンプルに描いた
●大地よりはえたる者というキャラクターを作った
●絵の対象をぼかして、自分のなかの幻想を描いた
ただ絵のスタイルを作ろうと思うと、漠然として迷ってしまうかもしれない。
そんな時は、自分が絵を描くときのこだわりは何かと考えてみよう。
自身が持つ絵の要素を掛けあわせていくと、絵のスタイルを見つけるときの役に立つかもししれない。
一度絵のスタイルを築いたら、何度も何度もその手法で描こう。
あれもこれもと手を広げるより、一つ絶対的に自分らしい絵のスタイルを見つけて、それを描き続けるのだ。
これが自分という絵のスタイルをブランドにする第一歩だと感じた。
以下の記事では自分の表現テーマを見つける筆者なりの方法を書いているので、興味のある方はどうぞ♪