「漫画を描きたいけど、なかなか発想が浮かばない」
そんな悩みがあるかもしれません。
ここでは、今より少しだけ漫画の発想が浮かぶようになる3つの秘儀を紹介しましょう。
ここで解説する方法は誰でもすぐにできる簡単なことで、漫画アート芸術家の筆者も日常的に行ってます。
漫画のアイデアは、日常のなかに落ちているのです。
それでは、今より少しだけ漫画の発想が浮かぶようになる3つの秘儀を見ていきましょう!
1:好奇心のアンテナをはる
今より漫画の発想が浮かぶようになる秘儀の1つ目は、好奇心のアンテナをはること。
毎日の生活のなかで、面白そうなことに注意深くなりましょう。
世の中で起こるニュース、体験した出来事、人から聞いた話など、入ってくる情報で面白そうなことはないかと意識しておきます。
少しでも面白いと感じたことがあれば、それをネタに4コマ漫画を描いてみるのもよいでしょう。
または気になったことがきっかけで、ページ漫画に発展するかもしれません。
例えば外を歩いていて、目の前で犬が電柱におしっこをかけたとします。
普通なら目をそらして、何でもないことのように通り過ぎてしまうはず。
でも、漫画の発想を生み出すために好奇心のアンテナを張っている筆者はこう考えます。
「犬におしっこをかけられた電柱にもし意識があったら、何て言うだろうか?」
電柱「こんにゃろー、何かけとんじゃい!臭っさいやろがこのくされ犬がぁ!」
電柱は電線を振りおろし、犬に攻撃をします。
犬がジャンプしてよけると、そのままドッグフライングキックを電柱に叩き込む。
このような感じで、「電柱と犬が戦いだす漫画」の発想が浮かびます。
ものすごくナンセンスな発想ですが、このように空想をすることもできますよね。
「外を歩いてたら、犬が電柱におしっこをひっかけた」という状況をみただけでも、上のような漫画の発想をだすことはできるわけです。
好奇心のアンテナをはっておけば、何気ないことからでも漫画の発想を生み出せるのです。
もう一つ例を出しましょう。
老人が外でくしゃみをしました。
筆者はこれを見たとき、以下のように発想を広げます。
「おじいさんがくしゃみをすると、口から入れ歯が飛び出て猫の口にはさまった!」
老人の入れ歯がはさまった猫は、突然しゃべりだします。
猫「これから猫の惑星からオレ達の仲間がやってくる!地球で飼いならされた仲間の猫を助けるためにゃ~!」
なんて言い出して、不思議なSF漫画に展開!
という発想も考えられます。
何かの事象を見てそこからどんな発想をするかは、人の数だけあります。
起こったことに対してユニークな解釈を加え、漫画の発想に転化する。
好奇心のアンテナを張っていると、このような発想がでてきます。
好奇心のアンテナを張るためには、何事に対しても面白いと思って観察することです。
なんでも、面白がる。
起こったことに対して、なにか面白い部分はないかなと考えてみる。
このように発想することで、何気ない出来事からでも漫画の発想につなげることができるでしょう。
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2:物語好きになる
今より少し漫画の発想を浮かびやすくするための2つ目の秘儀は、「物語好き」になることです。
毎日のなかで、物語に触れる機会を多くしましょう。
例えば小説を読む、ドラマや映画を見る、落語の音声を聴く、漫画を読む、アニメや特撮作品を見る…などいろいろ方法はあります。
物語の中にはキャラクターがいて、世界観があり、エピソードがあります。
この事例をたくさん知ることです。
物語にはだいたいのパターンがあります。
例えば~
●お姫様を勇者が救い出す冒険物語タイプ
●男性が女性と出会って物語が広がるボーイミーツガールタイプ
●助けた亀に連れられて竜宮城へ行った浦島太郎タイプ
●いたずら猿にカニがいじめられて、カニの仲間たちが仕返しをするサルカニ合戦タイプ
など、物語は大まかな型に分類することができます。
物語のいろんな型を知ることで、漫画の発想をするときに役に立ちます。
●物語の面白かったところや、つまらなかったところはどこだろう?
●キャラクターの魅力的な部分はどこだったのか?
●自分ならその物語をどう展開させただろうか?
などと考えてみるのです。
みた物語に対して、自分ならこうするというシチェーションを考えることで、漫画の発想を作るときの練習になります。
例えばキカイダー01を見たとしましょう。
キカイダー01では、アキラ少年をめぐってダーク一味(敵)とキカイダー01が戦います。
アキラ少年は重要な謎をにぎる存在なので、敵から狙われているのです。
これは、「重要な秘密を持つ少年を守るために、ヒーローが敵と戦う」という物語の要素に分解できます。
上の物語の要素を自作に応用するとしたら、例えば以下のようなアレンジができます。
●舞台⇒西部開拓時代のアメリカ
●物語⇒重要な秘密をにぎる少女が悪の集団に狙われている。
賞金稼ぎのガンマンは、少女を守る使命を与えられた。
ガンマンは謎を握る少女を助けるために、悪の集団と戦う。
この場合の少女が持つ「重要な秘密」の中身は漫画のテーマにあわせて、どんな発想でも持ってこれます。
例えば~
少女はお金持ちの娘なので、お金目当てで狙われていた。
娘の父親は、かつて悪の集団を裏切って逃走した男だった。
少女の父親は悪の集団の秘密情報を持っているので、命を狙われている
少女の父親は賞金稼ぎのガンマンを雇って、悪の集団を倒そうとした。
のような物語が思いつきます。
ほかにもいろいろなアイデアが出せるでしょう。
触れた物語を要素に分解して、そこに自分の発想を加えて漫画のアイデアにするのです。
この場合、いろいろな物語のタイプを知っていると、応用がききます。
だから物語好きになって、たくさんストーリーの型を知っておいたほうが良いのです。
筆者はアニメや特撮ヒーロー作品を、Youtube動画などで見ることがあります。
これらの作品を見ることで、物語やキャラクター、演出の仕方が頭に入ってきます。
物語好きになればたくさんの物語に触れるので、そのぶん物語やキャラクター、演出のストックがたまっていく。
こういったものが、漫画の発想を考えるときや絵を描くときなどに活きてくるのです。
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3:一流の芸術作品にふれる
今より少しだけ漫画の発想が浮かびやすくなる秘儀の3つ目は、一流の芸術作品にふれて、そこから吸収した要素を自作に反映させること。
まだ漫画家志望者だった赤塚不二夫氏たちに対して、手塚治虫氏は以下のようなアドバイスをしたことがあります。
「漫画は漫画だけから学んでいてはいけないよ。一流の芝居、映画、小説、音楽に触れてごらん。そこから自分の世界を見つけるんだ」。
つまり漫画の発想を得たいなら、漫画だけを読んでいてはいけないと。
一流の芸術作品に触れて、そこから吸収した発想を漫画に応用していくんだよと、手塚治虫氏は言われているのです。
漫画から漫画の発想を得るのも大切です。
しかし漫画しか読んでいないと、漫画以外の表現世界が分からなくなってしまいます。
つまり、作る作品が似たり寄ったりの漫画になってしまう危険性があるのです。
例えばどこかで見たような絵だったり、物語だったりというような感じで。
漫画を描くのであれば漫画は参考にしつつも、もっと広い創作分野からも発想を吸収した方が良いよ、ということを手塚治虫氏は語っているのでしょう。
手塚治虫氏はクラシック音楽を聴いたり、世界の名作文学などを好んで読むような人でした。
手塚氏はドストエフスキーの「罪と罰」や、ゲーテの「ファウスト」などを漫画で描いています。
また漫画「バンパイヤ」の発想元は、シェイクスピアの「マクベス」だとコメントしています。
手塚氏は、画家のポール・ゴーギャンをモデルにした漫画を描いたこともありました。
漫画家は、発想を全部オリジナルで出しているわけではないのです。
クラシックな古典などから、発想のネタを吸収している人もいるのです。
クラシックな古典は時間の試練に耐えてきた作品なので、それだけ人にアピールする魅力を持っています。
クラシックな作品は、いまどき古いと感じるかもしれません。
しかし一流の作品は長い時間の試練を経てもなお、人々に感銘を与える魅力を持っています。
もちろん最近の作品にも、素晴らしいものはあるでしょう。
しかしいま流行っている作品が、100年後も同じように流行っているかといえば、そういうのはほんの一握りです。
クラシックな作品のなにが人に感動を与えているのか?どんなキャラクターが魅力的なのか?
時代を超えて愛される作品を研究して、その要素を吸収するのです。
もちろん吸収した要素は、今の時代感にあわせて漫画の発想に変えていきます。
一流の芸術作品から、漫画の発想を吸収する。
これは筆者も昔からやってきたことでした。
なぜかというと歴史の中で生き抜いてきた傑作と呼ばれる作品には、永遠性をもった魅力があるからです。
そうでなければ、作品は現代まで残っていません。
時の試練というシビアな評価をこえて生き続ける作品には、他と違った何かがあります。
これを吸収することで、永遠性を持った作品を作れる可能性を自分に取り込むことができる。
一流の芸術作品は絵画や文学、クラシック音楽など高尚なものだけをいうのではありません。
漫才、コント、デザイン、絵本、Youtube動画、エッセイ、料理など…
表現されたものなら何でもいいのです。
人の心を魅了する作品なら、そこには何らかのヒントがある。
これらを研究することで、面白い漫画の発想が生まれてくるのだと思います。
手塚治虫氏が漫画「ジャングル大帝」の最終回を描いているとき、藤子不二雄Ⓐさんがアシスタントに入って制作を手伝っていたといいます。
このとき、部屋のなかにはチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」が流れていました。
ジャングル大帝の最終回は、感動的な話。
同じくチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」も、すさまじく感動的な音楽です!
ジャングル大帝の最終回を描く場所で、チャイコフスキーの交響曲「悲愴」を流すものだから、描いてる方も真に迫ってきます。
耳に入る感動的な音楽が、感動的な漫画の最終回の絵にまで反映されたことでしょう。
一流の芸術作品に触れ続けていれば、それだけ感性を磨く体験にもなるのです。
今より少し漫画の発想が浮かぶ3つの秘儀を紹介のまとめ
今よりも少しだけ漫画の発想が浮かぶ3つの秘儀をまとめると以下となります。
1.好奇心のアンテナをはる
2.物語好きになる
3.一流の芸術作品に触れつづける
この3点を習慣的に行うことで、今より少しだけ漫画の発想が浮かんでくるようになるでしょう。
あなたが発見した面白いことやアイデアに、自分なりのひねりを加える。
一流の芸術作品などから吸収したものに、自分らしい発想を交える。
漫画の発想のネタは日常のなかに落ちているので、注意深く観察してみましょう!