僕は14歳の頃に音楽に目覚めた。
キッカケは当時流行っていた日本のヴィジュアル系ロックバンド。
まもなくエレキギターを購入すると日夜練習に励むようになった。
しかし僕は18歳でアートと出会うころまで本当の音楽の魅力を知っていたとは言えない。
しかしアートと出会った頃、本当に素晴らしい音楽を知ったのである。
あなたは音楽が絵や漫画に生かせることを知っているだろうか?
音楽は目に見えない、手につかむことのできない芸術だ。
しかし音楽の感動を絵に変換することは出来る。
実際に僕は大好きな音楽の要素を、漫画アートに反映させている。
大好きな音楽とは、ブルースのこと。
ここでは筆者が大好きなバンドのことと、ブルースを漫画アートの創作に取り入れて創作を行っていることについて書いていこう。
Contents
父がたくさんの洋楽CDコレクションを持っていた
18歳ころ僕の音楽意識を変えた存在、それがビートルズだった。
僕の部屋には父が集めたCDコレクションがあり、これがきっかけで洋楽の有名アーティストを知ることになった。
僕はそれまで日本のポップスやロックしか聴いたことがなかった。
しかしアメリカやイギリスの本場のロックは全然違っていた。
ビートルズは1960年代に活躍した20世紀を代表するイギリスのロックバンドである。
これだけ年月が経っているにもかかわらず作品の素晴らしさ!
これは本当にすごいと思った。
僕はビートルズの中でもとりわけジョン・レノンが好きだ。
ジョン・レノン語録なる本も当時読みだしており、彼の思想、人生、人間性、作品を知って大きな感動を受けた。
ビートルズの音楽は主にポール・マッカートニーとジョン・レノンの合作で作られている。
でもその大半はどちらか一方がメインで作詞作曲したものに他方が手を加える形で作られている。
ポールとジョンが作った曲には明確に個性の違いが出ている。
それを知ったうえで聴いてもやはり僕はジョン・レノンがメインで作曲したものが好きだ。
レットイットビーやヘイジュード、イエスタデイ、など誰でも知ってる名曲はポールメインの作曲であることが多い。
ジョン・レノンの書く曲は内照的で辛辣、詩的なものが多い。
そして独特の空気感がある。
僕はレノンがメインで作曲した曲ではノルウェーの森、ガール、アクロスザユニバース、ストロベリーフィールズフォーエバー、ヤーブルース、ルーシースカイウィズダイアモンズ、ディグアポニーなどが好きだ。
ジョン・レノンはミュージシャンであると同時に芸術家的な要素を持っており、それが音楽に反映されているからより好きになったのだろうと思う。
しかしもう一つビートルズ以上に好きなグループが存在する。
それはTHE ROLLING STONESだった。
THE ROLLING STONESの魅力
父のコレクションしたCDの中にはザ・ローリングストーンズもあった。
初め僕はこのグループの事を全く知らなくて、何の情報もないままCDだけを聴いていた。
ある音楽アーティストを好きになる時、テレビやヴィジュアルなどなんらかの情報がきっかけでファンになることも多いだろう。
しかし僕はローリングストーンズの場合、完全に音楽だけで好きになった。
今でも僕にとって史上最高のロックバンドはローリングストーンズをおいて他にない。
ではローリングストーンズの何がそんなに素晴らしいのか?
その答えは「ブルース」にある。
僕は色々な洋楽を聴く中で自分が好きになるものにはある共通点があることに気づいた。
それが「ブルースフィーリング」なのである。
ブルースとはアメリカ黒人の民族音楽の一種でJAZZの基盤となったとも言われている。
アメリカでエルヴィス・プレスリーによりもたらされたロックンロールは白人のカントリー・ウエスタンと黒人のリズム&ブルースの融合から生まれている。
ロックンロールの片翼を担うブルースは19世紀後半にアメリカ南部で黒人霊歌、労働歌などから派生したという。
黒人奴隷として働かされていた人々の心の慰めというか、癒しともいえる哀愁が漂う音楽。
僕はそんなブルースという音楽表現にものすごく感銘を受けた。
そして何を隠そうザ・ローリング・ストーンズこそブルースを基盤として展開されるロックなのである!
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キャッチーなブルースロックが魅力!
ブルースロックと言えばストーンズの他にもレッド・ツェッペリンやジミ・ヘンドリクス、エリック・クラプトン、ディープ・パープルなどが存在しており僕も大好きだ!
しかし彼らを差し置いてなぜローリングストーンズなのか?
ローリングストーンズにはキャッチーな分かりやすさがある。
例えばストーンズの代表曲を見てみよう。
ジャンピンジャックフラッシュ、ブラウンシュガー、サティスファクション、ホンキートンクウィメン、スタートミーアップ…
ブルージーでいてキャッチー!
ブルースロックでありながら分かりやすい曲としてのカッコ良さがある。
ローリングストーンズと言えばダレたリズムでブルージーで、荒々しくて、ストレートで、シンプルなロックンロール。
セクシーな服を着て、厚い唇とデカい口で、厚かましく歌うミックジャガーが死ぬほどカッコいい!
煙草をふかしながら不良っぽいキザな雰囲気でギターをかき鳴らすキースリチャーズが死ぬほどカッコいい!!!
そんな彼らがキャッチーな感覚のブルースロックをやるものだから僕は最高の感動に達したのである。
ストーンズを特徴付けるダレたリズム
これが良い!
ダレた感覚がまさにブルース!
例えばミッドナイトランブラーなんてダレたリズムの典型である。
他の音楽アーティストと比べると、どちらかというとヘタウマの部類に入るローリングストーンズ。
しかしそこが魅力なのだ!
ヘタウマな感じが逆にブルースを彷彿とさせる。
これは戦略としての表現とも見て取れる。
天才バカボンがナンセンスギャグを徹底するために意図的に絵のテキトーさを出していたように。
もしもストーンズが機械のように正確な演奏をしていたら彼らの魅力は半減するだろう。
ミスタッチも含めた人間らしいいびつさ。
これこそが芸術における最大の魅力である!
僕が絵における安易な上手さはくだらないと言うのは、このバックボーンがあるからだ。
人間らしいいびつさを体現している芸術家に、ファンゴッホがいる。
ゴッホの絵画は揺らぐ線が幾重にも重ねられて表現される。
対象はぶっきらぼうな線で区切られ、色による対比で表現される絵画。
シンプルであり、同時に作家の魂を反映させた絵。
そこにはまぎれもない人間の生命感がある。
機械やコンピューターでは決して出せない線、色。
これが芸術の魅力なのだ。
音楽から学んだアドリブ感を絵に反映させる
ブルースやJAZZの魅力であるアドリブ感。
その場の空気を反映させ、その瞬間だけに生まれる演奏をするアドリブ。
このアドリブ感が最高に素晴らしい。
JAZZのチャーリー・パーカーを聴いてほしい。
マイルス・デイヴィスを聴いてほしい。
ジミ・ヘンドリクスやレッドツェッペリンのライブ音源を聴いてほしい!
そこにはまぎれもない人間からしか生まれえないアドリブ感がある。
僕は音楽から学んだこれらアドリブ感覚を絵画や漫画に転用している。
僕の絵画や漫画は、大好きな音楽から生まれたと言っても過言ではない。
僕は大好きなブルースを絵画や漫画に取り入れるにはどうしたら良いかと考えた。
その答えが「意図的ないびつさ」という表現である。
僕は絵の中でブルースを表現するために出来る限りスッキリした綺麗な線を引かないようにしている。
クネクネした、いびつな、不格好な、粘っこい、ダレた線や色を使うようにした。
絵もわざと下描きの線を消さなかったり、描きっぱなし感を残したりもする。
例えば僕は漫画で背景の木を描くとき、こんな風に描くときがある。
これなんかも自分なりにブルースフィーリングを取り入れた表現としての木を描こうとした。
僕は混沌とした情念的な何かを表現したいと思う。
ラフで荒く一見ヘタウマに見えるけど、根源的な部分でソウルフルな演奏をするローリングストーンズが大好きだし、そういうものを作りたいと思う。
そう、ヘタウマというのは戦略であり、表現なのだ。
こうすることでより深く自分という人間を表現できるから行う。
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ブルースの哀愁を絵や漫画に変換する
ブルースと言えば哀愁を感じる音楽だ。
音楽にはメジャーキーとマイナーキーが存在する。
メジャーキーは明るい感じのする曲調。
マイナーキーは暗い、哀愁を感じる曲調。
僕は漫画を作る時このメジャーキーとマイナーキーを意識して制作している。
例えばメジャーキーで漫画を描こうと思えば「猫のチッティ」のような明るいギャグ調の漫画を描く。
しかしブルースを意識した哀愁漂う、どことない寂しさを感じる漫画が描きたいと思えばこんな作品を描く。
僕はメジャーキーとマイナーキーを意識した漫画や絵画を描くことで、明るさと暗さの両面を表現したいと思っている。
それはつまり人間を描くという事。
人間の喜怒哀楽や人生の栄枯盛衰…
これらを作り出したい。
音楽は自分が生み出す作品と密接に結びついている。
人生を変えた音楽が自分の作品のバックボーンとなっている。
あなたは好きな音楽があるだろうか?
もしあるのならそれをただ聴くだけにとどめず、自らの作品に深く浸透させていこう。