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ラブクラフトは天才と狂気の間でホラーを革命した!人生や魅力も紹介

投稿日:2016年12月14日 更新日:

ラブクラフト,天才

ラブクラフトは天才と狂気のはざまで恐るべきホラーを書いた作家だと、僕は認識している。

ラブクラフトを天才と狂気と称するのはなぜか?

ラブクラフトの家系には、天才に共通するものがあったのだ!

ハワード・フィリップス・ラブクラフト(1890年8月20日~1937年3月15日)。

ラブクラフトは20世紀初頭のアメリカで生きた小説家。

ラブクラフトは徹底してホラーだけを書きつづけた。

そしてこれまで存在しなかった新しいホラー様式を打ち立てた!

はたしてラブクラフトが生み出した革新的なホラーの概念とは何か?

そしてラブクラフトが生み出したといわれるクトゥルフ神話とは?

クトゥルフ神話は現代でも、いろんなクリエーターに影響を与え続けている。

僕もラブクラフトに出会って最大の影響を受けた一人だ!

ラブクラフトとの出会いでホラーの認識が変わるほど、衝撃的な存在だった!

ラブクラフトは天才と狂気のはざまでホラーを書いた伝説の男である!

ラブクラフトと天才という言葉に興味があるあなたに、ラブクラフトの人生や天才の理由、彼の魅力について漫画アート芸術家が書いていこう!

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天才ラブクラフトの人生

ラブクラフト,天才
H.Pラブクラフト

ハワード・フィリップス・ラブクラフトは1890年8月20日、アメリカのロードアイランド州プロヴィデンスに宝石商の子として生まれる。

父は商才豊かな人物で社会的成功をおさめたが、ラブクラフトが幼いときに神経症をわずらっていた。

ラブクラフトの父はその5年後、精神病院で亡くなっている。

ラブクラフトは幼いころから祖父の影響で本を読むようになり、6歳のころには自分で物語を書いていた。

ラブクラフトは7歳のときに神話に関心を示し、詩も書いていたという。

また少年のころは天文学や科学にも関心があり、知的好奇心が旺盛だった。

科学が好きなラブクラフトだが、人の生殖器に関する文章を読んだとき、「わたしの興味を殺した!」と言ったという。

このエピソードは、ラブクラフトの深層心理にあった、なんらかの障壁を感じさせる。

ラブクラフトにひそむ精神的疾患?

ラブクラフトは幼いころから悪夢を見る習慣があった。

ラブクラフトには、父と同じような精神的疾患があったのだ。

ラブクラフトの母も後年、神経障害が原因で亡くなっている。

ここで注目すべき興味深い事実がある。

歴史に残るような天才表現者には、精神的疾患を持つ人が非常に多いということだ。

ぼくは18歳ころ「天才と狂気」に関する本をたくさん読んでいて気がついた。

アリストテレスの時代から天才と狂気は関連づけて考えられていたのだ。

革新的な創造性と狂気というのは、なんらかの関係があるのかもしれない。

歴史上にのこる有名な人物にも精神的疾患の症状をあらわした、またはその兆候があった人物は多い。

例えばゲーテ、バルザック、ドストエフスキー、ポー、ゴッホ、ミケランジェロ、ベートーベン、ランボー、ジャン・ジャック・ルソー、ヘルダーリン、ボードレール、夏目漱石、芥川龍之介…etcは、天才と狂気の本でよくとり上げられる人達である。

そしてラブクラフト。

やはりH.P.ラブクラフトも精神的疾患を抱えていたという事実が興味深いのだ。

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暗い青年期を生きたラブクラフトの人生

ラブクラフトは後年科学に関心を持つようになってから悪夢は見なくなったという。

その後ラブクラフトはブラウン大学に入るため勉強に打ち込むのだが、神経症は悪化を続けていき学校を欠席しはじめる。

唯一の理解者であった祖父が亡くなると、ラブクラフトは経済的にも精神的にも追いつめられて、結局ハイスクールを退学してしまう。

けっきょくラブクラフトは大学進学をすることもなかった。

ラブクラフトは18歳のときに趣味の小説執筆をやめて、隠者のように世間から隠れて暮らすようになる。

ラブクラフトの神経症の症状は30歳くらいまで続いていたようだ。

そのため大学進学を諦めたり、小説を書くことをやめたりなど、多くの挫折を体験することになる。

ラブクラフトにとって神経症の影響下にあった青年期は、彼の人生のなかで一番暗い日々だったようだ。

何かぼくはこのラブクラフトの人生を思うとき、痛く共感できるところがある。

ラブクラフトは24歳のころ、アマチュア文芸交流組織に入ることになった。

この体験がラブクラフトに小説との繋がりをとりもどさせた。

27歳ころラブクラフトは小説の執筆を再開し、同人誌に作品をのせ始める。

文章添削でわずかな収入を得つつ、「ウィアード・テイルズ」というホラー雑誌に作品を発表していたラブクラフト。

しかしラブクラフトは作品を量産する人ではなかった。

またラブクラフトの原稿料も文章添削料も安かったため、生活は常に貧しかったという。

ラブクラフトは生まれ故郷のロードアイランド州プロヴィデンスで、生涯のほとんどの時間を過ごしている。

お金に余裕があるときは、古い時代の建物や資料を研究するために軽い旅行をしていたというラブクラフト。

ラブクラフトは古い建築物に興味のある人だった。

しかしたえず病気につきまとわれていたラブクラフトは、ほとんど世捨て人に近い生涯を送っていたのである。

ラブクラフトは大勢の作家や読者との文通に時間を費やした。

ラブクラフトは自分が小説を書いているパルプマガジンの作家や読者たちとたくさん文通をしている。

手紙のやり取りはラブクラフトのように隠遁生活を送る人にとって、心の癒しだったのかもしれない。

またいろんな人との文通をするなかで、クトルゥフ神話のネタが醸成されていったともいわれている。

ラブクラフトは文通を通して、後輩に文章指導をしていた面もある。

ラブクラフトに恩を感じるダーレスなどの作家が多いのは、このためだった。

ラブクラフトが文章添削をしたことがきっかけで、後年クトゥルフ神話を書くことになった作家もいるようだ(ヘイゼル・ヒールドやゼリア・ビショップなど)。

ラブクラフトの結婚

ラブクラフトは1921年7月ころ、アマチュアの作家が集まる会合でソニア・グリーンという女性と出会う。

ソニアとラブクラフトは、1924年3月3日に結婚した。

二人は結婚後、ニューヨークのブルックリンにあるアパートに引っ越している。

ソニアはラブクラフトより10歳以上年上で連れ子もいた、働く女性だった。

ソニアとラブクラフトの結婚生活では、経済面を支えているソニアの方が立場的に強かったようだ。

やがてラブクラフトの妻が失業すると、家計をささえるためにラブクラフトも働きだすことになった。

しかしラブクラフトは30代中ころまでろくに仕事をした経験がなかった。

そのためラブクラフトがする仕事は長くつづかなかったようである。

仕方なくソニアは就職先をもとめてクリーブランドのシンシナティに移り住むが、ラブクラフトはついていかなかった。

こうしてラブクラフトは妻からの仕送りで生活をまかなっていた。

1926年になると、ラブクラフトはプロヴィデンスに戻ってきた。

ここから続く10年の間でラブクラフトのクトゥルフ神話に関わる傑作が生み出されていく。

といってもラブクラフトは1年に1作品書けば良いほうで、生活の収入源はあくまで他作家の文章添削にあった。

仕事がうまくいっていたソニアはまたラブクラフトと暮らそうと考える。

しかしソニアはラブクラフト側の親族と関係がかみあわず、結局二人は離婚することになる。

ラブクラフトの貧しい生涯の最後

ラブクラフトが作品を発表していた「ウィアード・テイルズ」には彼のファンがいて、一応は人気作家だった。

しかし作品の生産量が少ないうえに原稿料も少なく、文章添削料も低いため生涯貧しい生活を送っていたラブクラフト。

ラブクラフトは小説の原稿料の値上げを要求することもなかった。

しかし貧乏のおかげで後年ラブクラフトは、望んでいた古い住居に住むことできた。

1935年になるとラブクラフトはギリシア語を話せるようになる。

翌1936年にはラブクラフトに小腸ガンがあることが発覚。

このため栄養失調に陥ったラブクラフトは、1937年46歳のときに亡くなってしまう。

ラブクラフトは幼いころに興味を持った科学の影響から、生涯日記を書いていた人だった。

ラブクラフトの生涯は精神疾患の影につきまとわれて、どことなく彼の作品を思わせる不気味な色合いを帯びているような印象を感じた。

しかしラブクラフトが生きた独特な人生が、不滅なホラー作品を生み出すために必要だったんだと感じる。

表現者は自らが生きた人生からインスピレーションを受けるからだ!

そして表現者自身の人生が、その人に何を作るべきかを教えるのだ!

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人種的偏見をもっていたラブクラフト

ラブクラフトは人種差別的偏見をもっていたとされている。

実際にラブクラフトの作品には人種的偏見を感じさせる要素が入っているものもある。

ユダヤ人迫害をしたことで有名なアドルフ・ヒトラーの「我が闘争」を読んで、ラブクラフトは大絶賛したという逸話もあるほど。

またラブクラフトは幻想的なホラー作品を描いている割には、神や迷信、不思議な事象について一切信じない無神論者でもあった。

ラブクラフトが敬愛し、影響を受けた作家には以下のような人たちがいる。

エドガー・アラン・ポーやダンセイニ卿、バルザックやフローベール、モーパッサン、ゾラやプルーストなど、リアリズム文学系の小説家を好んでいたようだ。

ラブクラフトが本業だと思っていた文章添削の仕事

ラブクラフト,天才

ラブクラフトは文章添削の仕事で主な経済面をまかなっており、これが自分の本業だと思っていた。

ラブクラフトにとってホラー小説の執筆は、趣味にちかいものだったという。

ラブクラフトはホラーを革新するような傑作の数々を生み出している。

しかしラブクラフトは自分が書く文章にあまり自信がなかったようで、文章添削の仕事をしながら文章力を磨いていたふしがある。

ラブクラフトがしていた文章添削の仕事は、無料で書いていたり、報酬はあってもとても安かった。

またラブクラフトの行う文章添削は、原文にオリジナルアイデアを加えたり、原作の跡がのこらないくらい書き直すこともあったという。

ラブクラフトとしては文章添削の仕事で、自分の表現を少しでも出したかったのではないかと思われる。

1922年ころにはラブクラフトの作品が雑誌にのるようになっていたけど、作家としての自信はそれほどなかったようだ。

ラブクラフト的に自分の作品は、来るべき時が来たら書くという認識だったという。

このように作家活動にプロ意識が薄かったので、それほど作品を書こうとはしなかった。

不採用になるのが怖くて出版社に送らなかった傑作

ラブクラフトの傑作に「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」という傑作小説がある。

しかしラブクラフトは書いた当時、この作品の出来栄えに自信が持てず、出版社に送ることさえしなかった。

ラブクラフトは自分の作品が採用されないと、とてもヘコむ性格だったという。

そのため「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」のような作品でも気軽に出版社に送れなかったのだろう。

ラブクラフトは生前、1冊だけしか自作の本を出版していない。

ラブクラフトが残した唯一の本が、代表作「インスマウスの影(原題:The Shadow Over Innsmouth)」である。

唯一出版した「インスマウスの影」にしても、ラブクラフトの崇拝者が個人的に出版した本だといわれていて、印刷もひどいものだったという。

天才ラブクラフトの評価とは?

ラブクラフト,天才

ラブクラフトは生前から、文学的にも評価は低かった。

「ラブクラフトはあくまで学問的な研究所では触れられない大衆小説化であって、文学者としては”独りよがりの三流のポー”に過ぎず”愛読者はセンスに問題がある」

などと批評されている。

天才に多い要素として生前にあまり評価されず、死後になってその価値が認められることがある。

ゴッホや、宮沢賢治、モディリアーニなどが典型だが、ラブクラフトもそのようなタイプの一人だったと言いる。

本当にすごい傑作というのは逆に発表当時は評価されずらいのかもしれない。

僕も大好きなTHE ROLLING STONESの最高傑作「メインストリートのならず者」も、発表当時は批評家たちからさんざん叩かれていたというのだから。

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エドガーアランポーの影響を受けていたラブクラフト

僕はラブクラフトがすごいと思うところに、「徹底してホラーを書き続けた」ところがある。

現代で有名なホラー作家スティーブン・キング氏もホラーを書くけど、他のジャンルの作品にも手をだして成功している。

しかしラブクラフトはホラーまっしぐらだった。

より明確にいうとラブクラフトの書くホラーは「怪奇と幻想」に近い。

自分にはこれしかないと言わんばかりにラブクラフトは独自のホラーを開拓していった。

ラブクラフトは、僕も大好きなエドガー・アラン・ポーに大きな影響を受けている。

たしかにラブクラフトの作品にはエドガー・アラン・ポーを感じさせる作品がある。

ラブクラフトの書いた「墓」(1922年)は、とくにポーの文章構成の影響を受けている作品だという。

また僕的にはラブクラフトの「アウトサイダー」も、ポー作品の香りが感じられる。

僕はラブクラフトの「アウトサイダー」が大好きで、寝るときにオーディオブックで毎晩聴いていたことがあった。

家系にあった遺伝的狂気にたいする恐怖

ラブクラフト,天才

やがてラブクラフトは独自のホラー様式を確立していく。

ラブクラフトの書く作品に共通するもの、それは恐怖。

恐怖を読者に感じさせることは、ホラーの目的といえるだろう。

ラブクラフトが書いた恐怖は、ラブクラフト自身が感じていた恐怖感に由来している。

ラブクラフトの作品には、彼の家系にあった遺伝的狂気への恐怖があるという。

ラブクラフト自身が、自らの狂気を感じていたということだ。

まさに天才と狂気ではないか!

日本の小説家芥川龍之介も、自らの家系にやどる精神疾患に恐れを抱いていたといわれている。

ラブクラフトは幼いころから悪夢を見ていた。

ラブクラフトは自分が見た悪夢の恐怖を、小説に書いている。

これはまさに自己表現である。

ラブクラフトは自らの恐怖体験を自己表現することで、独特なホラーの世界を作っていったのだ。

ラブクラフトの概念「宇宙的恐怖」(コズミックホラー)とは?

ラブクラフトは自らの作風を「宇宙的恐怖」(コズミックホラー)と呼んでいる。

「宇宙的恐怖」(コズミックホラー)。

なんと独自なホラーの解釈だろうか!

この概念はかなり独特。

ラブクラフトがいう「宇宙的恐怖」(コズミックホラー)の概要を書いてみよう。

「広大な宇宙においては人類の価値観や希望には何の価値もない。

意思疎通や理解も拒まれる絶対的他者の恐怖にさらされている。

これら不安、孤独感をホラー小説に持ちこんだ。

吸血鬼や幽霊など人間の情念に基づいた恐怖を描いたのではない。

宇宙空間や多次元にかつて存在していた古の生物による恐怖を描いた。」

ホラーと言えばジェイソンやフレディ、幽霊やヴァンパイアなどが思い浮かぶ。

しかしラブクラフトが書きたかったホラーは、そういうホラーではない。

宇宙や多次元に存在していたという、太古の生物による恐怖を書きたかったのだ!

僕はこのラブクラフトの発想をみたとき、すさまじい感銘をうけた!

なんという独特なホラーの発想だろうか?

ラブクラフトのホラーの概念は、ホラージャンルの画期的発明だったように思う。

ずばりラブクラフトの恐怖テーマはこうだ。

「太古に地球を支配していた怪物たち。

現在は地上から姿を消しているが、強大な力をもつ異形の者ども。

そんな恐るべき生物が、現代によみがえる恐怖!」

ラブクラフトはこのようなテーマをもとに恐怖小説を生み出した。

ポーでさえ思いつかなかった独自な恐怖世界を!

これが天才ラブクラフトの魅力である!

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天才ラブクラフトが生み出した「クトゥルフ神話」とは?

ラブクラフトの作品には共通する物語の展開がある。

僕はラブクラフトの物語に現れる独特なストーリーパターンを、ラブクラフト節と呼ぼう。

ラブクラフトの物語には以下のようなパターンがある。

・好事家やもの好きな旅行者などの主人公が出てくる。

・かれらは偶然から、旧支配者にまつわる伝承や遺物にせまっていく。

・興味をひかれて謎を探求するうちに、真理を探りあてる主人公。

・しかし主人公は悲劇的な最期をむかえる。

・それを本人(手記などで)あるいは友人が語る。

ラブクラフトの作品には、特定の地名や神の名前、魔術書などのアイテムが物語のいたるところにちりばめられている。

ラブクラフトは物語のなかで、共通したアイテムやキャラクターを登場させているのだ。

これはどういうことなのか?

ラブクラフトは自分の作品に共通したアイテムやキャラクターを登場させることで、物語同士をつなげている。

バルザックが「人間喜劇」でしていたような表現だ。

バルザックは自分が書いたそれぞれの作品ごとに、同じキャラクターを登場させて作品同士をリンクさせている。

漫画家の手塚治虫氏も、異なるタイトルの漫画でキャラクターを使いまわして登場させる、スターシステムという手法をとっている。

ラブクラフトがやっていることは、これに近いのだ。

作品はそれぞれ独立したものとして作られることが多い。

しかしラブクラフトは神名や地名などを、異なるタイトルの物語に登場させることで作品どうしをつなげている。

ラブクラフトはこうして、自らの作品を神話体系のように構築していった。

ここが、ラブクラフトの革命的に新しい点だった!

なんというクリエイティブな創作手段だろうか!

しかしクトゥルフ神話は、ラブクラフト自身があみだしたわけではない。

ラブクラフトはクトルゥフ神話という名目で物語を体系化する意思があったかどうかは分からない。

クトゥルフ神話」はラブクラフトが死後、彼の友人やファンたちによって体系化され、まとめられたものである。

ラブクラフトの独特なホラー物語を、彼の周りの人達がクトゥルフ神話にまとめあげていったような感じ。

クトルゥフ神話は後の作家たちに影響を与えた。

ラブクラフトの書くクトゥルフ神話の世界を、彼の友人作家たちも書きだしたのだ。

ラブクラフト作品で登場したアイテムや地名、神名などを他の作家も使って物語を書くことで、クトゥルフ神話をともに形成していった。

最終的にこれら全体を神話としてまとめたものが「クトゥルフ神話」となった。

ラブクラフトの死後1939年、文通友達だったオーガスト・ダーレスとドナルド・ウォンドレイはラブクラフトの作品を出版するための会社「アーカム・ハウス出版社」をたちあげることになる。

天才ラブクラフトの最後に

天才と狂気を象徴するという視点から、ラブクラフトの人生や作品の魅力をみてきた。

ラブクラフトが生み出したクトルゥフ神話は、いまや映画や小説、ゲームや漫画など多様な分野で使われている。

「クトゥルフ神話」の創始者となったラブクラフト。

ラブクラフトはおさないころに見ていた悪夢の恐怖を、自分の物語で書いていた。

それだけではない。

自分の家系にあった精神的疾患にたいする不安、恐れなどの感情も作品のなかに閉じ込めていたのだ。

ラブクラフトの書くホラーは、人間の情念による恐怖ではない。

大宇宙を舞台にした、いにしえの怪物による恐怖をラブクラフトは書いた。

宇宙的恐怖(コズミックホラー)はまさに、ラブクラフトの人生から生み出された独自のホラー世界だったのだ!

さらにラブクラフトは自作品にアイテムや地名、神名を登場させることで、作品同士を関連づけた。

こうしてラブクラフトはクトゥルフ神話を創成している。

後の作家はラブクラフトの創造した「クトゥルフ神話」の型を借りて創作し、その世界観は今に受け継がれている。

ホラーの世界を革命したラブクラフト。

自らの家系的遺伝への恐れ、幼いころから悪夢を見ていたラブクラフトの恐怖が、作品のメインモチーフとなっていたのだ。

ラブクラフトは、まさに天才と狂気をあわせもつ作家である。

ラブクラフトはホラーで自己表現をしたのだ。

天才と狂気の間で、革新的な恐るべきホラーを書き続けた男。

これがH.Pラブクラフトである!

 

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