こちらは学校(高校)で肝試しをする少年を描いたホラー漫画「臆病者」。
臆病者でしょうがない主人公の弱木が、高校1年になった祝いに男になるための試練を受ける漫画です。
男になるための試練とは「臆病者」を克服すること!
臆病なことがコンプレックの主人公は友達に駆り立てられて、深夜の学校(高校)に潜入して肝試しをすることになります。
果たして主人公は学校肝試しを無事生き延びて、臆病者な自分を乗り越えることが出来るのか?
ここではホラー漫画「臆病者」の制作背景、短いページで漫画をまとめるコツ、僕が感じる独特なホラージャンルの魅力について書いていきます!
Contents
学校(高校)肝試しのホラー漫画をなぜ描いた?
学校(高校)が舞台の肝試しホラー漫画「臆病者」を描いた理由は、第3回GUNMAマンガアニメフェスタに出品するためです。
2015年ころ、第3回GUNMAマンガアニメフェスタというイベントがあったので、そこにひとつ漫画でも出してみようと思いました。
僕はホラージャンルが好きだったので読み切りのホラー漫画を描くことに決めたのです。
僕はホラー系作品を作るとき、現実感のあるシチュエーションが必要だと感じてます。
そのため学校を舞台にして、真夜中の高校で肝試しをするという展開を考えました。
こうして出来たのが真夜中の学校で肝試しをするホラー漫画「臆病者」でした。
学校で肝試しがネタのホラー漫画を読み切りでまとめたコツ
第3回GUNMAマンガアニメフェスタでは漫画の規定ページ数があったので、16ページ(表紙を含めないで)で漫画をまとめる必要がありました。
短いページ数で読み切り漫画をまとめる場合のコツがあります。
主人公のある瞬間の出来事をエピソードにするのです。
例えば16ページ制限の中で、壮大な漫画を描こうとしたら内容がぎゅうぎゅう詰めになってしまう。
あらかじめページ数が短いと分かっているなら、主人公の短い瞬間のエピソードにフォーカスして物語を作るのです。
僕は「臆病者」で以下のようなエピソードの切り取りをしました。
「主人公の高校生は臆病な自分を克服するために、真夜中の学校で開かずの部屋に入って戻ってくる」
この内容なら主人公が開かずの部屋に入って戻ってくる場面を描くだけで物語が作れます。
学校の開かずの部屋で主人公に何が起こったかが見せ場(クライマックス)となり、結果として主人公の高校生はどうなったのか?という部分を描けば短いページ数で漫画をまとめられると思ったのです。
例えばこれを主人公の生い立ちから入って小学校から高校までの成長を描き、臆病者の主人公が学校肝試しをすることになる一部始終をすべて描いたら、17ページではキツキツです。
でも臆病者の主人公が学校の開かずの部屋に入って、戻ってくるなんて時間的にほんの5分くらい。
この5分を短いページで描く感じです。
場合によったら主人公の一瞬の気持ちの変化を数ページでまとめるということも出来るだろうし、やり方は無数にあるでしょう。
もちろん主人公が行動を行うにいたった理由、背景などは、漫画に入れる必要があります。
主人公の印象的な体験に注目して、そこを印象的に描くように構成すると短いページで漫画をまとめやすくなるのです。
実際短いページ数でどう漫画をまとめるかは作る人次第なので、答えはありません。
しかし一つの方法として短く漫画をまとめたいときは、主人公のエピソードを短くきりとって漫画にするという手段が役に立ちます。
ちなみに漫画「臆病者」は第3回GUNMAマンガアニメフェスタにて入選となり、会期中(2016年2月26日~2月28日)展示されました。
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学校舞台の肝試し漫画を描いた人が考えるホラーの魅力とは?
僕はホラー(恐怖)というジャンルに強い関心があり、ホラーに特化した漫画を今後も描き続けていきたいと思っています。
ここでは学校肝試しネタで漫画を描いた人の、独特なホラーの考え方や魅力について書いていきます。
僕にとってホラー(恐怖)は幻想です。
昔から洋画のホラー映画が好きで、「13日の金曜日」「オーメン」「エルム街の悪夢」など幾多の名作を観てきました。
ほかにもホラー小説で「フランケンシュタイン」や「狼男」「ドラキュラ伯爵」、H.Pラブクラフトなども読んできました。
これらの作品に、僕は強い幻想性を感じるのです。
洋物ホラーではジェイソンやフレディなどの怪物的ホラーキャラクターが登場することが多い。
また洋物ホラーは作品の舞台が幻想的な場所なことが多々あります。
13日の金曜日で言えば山深い真夜中のキャンプ場、ドラキュラなら森深い東欧にある古城の舞台、オーメンなら悪魔の子供という非現実感、H.Pラブクラフトならクトゥルフ神話が醸し出す神秘性…
洋物ホラーにまつわる淡い幻想性…僕はこれが好きで、ムードのあるホラーが素晴らしいと思うのです!
つまり現実と非現実の境目にある恐怖、そんなホラーを作り出していきたい。
もちろん日本的なホラーも好きですよ。
日本のホラーって怨念とか幽霊とか、ガチで怖い内容ですよね。
ガチ怖な日本的ホラーもいいけど、幻想性や怪奇性を含んだムードのある洋物ホラーのほうにより魅力を感じるのです。
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学校肝試し漫画を描いた人の考えるホラーの面白さ:現実感のある設定
ホラー、恐怖というのは現実感というベースがあってよりリアルに体感できると思います。
例えば真夜中人気のない山道で車を運転しているとき、ちらっと足のない白い女の人を見かけたらドキッとする。
でも猿人のスーパーマンが空を飛んでいるときに、足のない宇宙人の女性が笑っていてもあんまり怖くない。
なぜなら現実感がないから。
自分にもそれが起こりそうな現実感があると怖さが増すのです。
例えば口裂け女のホラー漫画を描くのであれば、本当に口裂け女が出てきて恐怖を感じさせるシチュエーションがほしい。
ギャグマンガに出てくるようなデフォルメされた口裂け女では怖さは出しづらいでしょう。
物語が支離滅裂でホラーなのかギャグなのか分からない作品では恐怖を感じづらい。
口裂け女で恐怖を感じてもらうためには、読者に怖さを感じさせる説得力のある展開が必要となります。
これが現実感ということです。
ひょっとしたら自分にも起こるかもしれないという現実感に基づいた恐怖が、ホラーには必要なんだと思います。
例えば以下のような状況に、僕は恐怖を感じます。
●身動きできない状態の自分に大型トラックが突っ込んでくる
●真夜中人気のない小道を歩いているとき、後ろから聞こえるヒタヒタとした謎の足音
●自分の乗っているバスがテロリストにハイジャックされて命の危機がある状況
どれも自分の身に何かしら危険な状況があって、初めて恐怖という感情が湧きおこる。
そんな危険な状況には陥りたくないですよね。
だから人はホラー系ジャンルの作品で恐怖を仮体験して楽しむのでしょう。
自分が安全な状況で楽しめる恐怖体験、それがホラーの魅力なんだと思います。
以下の記事ではホラー映画が好きな人の心理について解説しています♪
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学校肝試し漫画を描いた人の考えるホラーの面白さ:非現実感も大切
ホラーは現実感のある設定と一緒に、非現実感(幻想性)を取り入れることも大切だと思っています。
つまり現実と非現実を交錯させるのです。
13日の金曜日を例に出しましょう。
13日の金曜日は若者たちがキャンプ場で楽しむという現実感にそった物語の展開がある。
これに対してクリスタルレイクという森深い舞台が幻想性、ムードを強調しています。
ジェイソンという殺人鬼の怪物は、非現実の要素に当たります。
僕たちが生きている現実世界に、ジェイソンのような怪物はいない。
ジェイソンとは空想の産物なわけです。
若者たちが森深いキャンプ場で楽しむ(現実感)+ジェイソンという怪物(非現実感)がまじりあうことで、ホラーとしての面白さが生まれると僕は感じるのです。
例えば非現実の要素に当たるジェイソンが、現実にいそうな切り裂き通り魔だったらどうでしょう?
僕の意見でいうとそういう作品は凶悪な犯罪ニュースを見ている気分になり、ホラーとしてそこまで楽しめないと思います。
やっぱりホラーには非現実を感じさせる要素も入っていてほしい!
エルム街の悪夢ならそれはフレディだし、オーメンならエスパー能力を使うダミアンなわけです。
視聴者に恐怖を感じてもらうためには現実感のある設定も大切だけど、同時に非現実感(幻想性)も絶対必要な要素だと僕は思っています。
現実感と非現実感をうまく融合させるホラー映画監督の記事は以下のリンクに載っています♪
学校肝試しネタのホラー漫画の最後に
高校肝試しネタでホラー漫画を描いた人が考える、ホラーの魅力について書いてきました。
ホラーと言っても色々なジャンルがあります。
日本的な怨念や幽霊系のホラー、13日の金曜日のようなスプラッター系のホラー、吸血鬼ドラキュラのようなムードを感じさせるホラー、エログロナンセンスなホラーなど様々。
どんなジャンルのホラーでも人が恐怖を感じるには、現実感のある設定が大切。
と同時に、非現実感(幻想)のある要素もホラーには必要だと思っています。
現実感と幻想の融合から生まれる恐怖…これが僕にとっての魅力的なホラーです。
漫画「臆病者」は真夜中の学校で肝試しをするという現実感と、高校の開かずの部屋で主人公が体験する非現実的エピソードを組み合わせて作りました。
そんな作者が描いた高校肝試しネタのホラー漫画「臆病者」(2015年制作)は以下の画像か文字リンクをクリックすると読めますので興味のある方はどうぞ↓!