ぼくはこの記事で容赦なく、ウルトラマンエースの魅力を語ろうと思う。
僕には、それができる。
なぜなら筆者はウルトラマンエースの感動とともに、創作人生を歩んできたからだ。
もしあなたがウルトラマンエースの魅力に興味があるなら、この記事を読んでいただきたい。
生まれて初めて借りてもらったビデオが、筆者の人生を変えた。
当時僕は、5歳くらい。
母に近くのレンタルビデオショップに初めて連れて行ってもらった時、その作品と出会った。
「ウルトラマンエース」!
ウルトラマンエースは、不滅の作品だ!
ウルトラマンエースには最高の面白さと同時に、切なさがある。
切なさは、ウルトラマンエースの魅力の一つなのだ。
ウルトラマンエースの切なさって、どんな魅力なんだろう?
ウルトラシリーズがたくさんある中で、どうしてウルトラマンエースを絶賛するのか?
その大きな要因は「北斗星司と南夕子の合体変身を含めた、2人の関係性」、いや極端なことを言えば「南夕子」の魅力だ!
そんな南夕子隊員が第28話でとつぜん月へ帰り、番組から降板してしまう。
この記事ではウルトラマンエースを心から愛する筆者が、ウルトラマンエースの魅力や面白さ、北斗星司と南夕子の淡い関係性について書いていこう!
Contents
ウルトラマンエースとは?
ウルトラマンエースとは1972年4月7日~1973年3月30日にかけて、円谷プロダクション&TBSが制作した特撮テレビ番組。
毎週金曜日の19:00~19:30にかけて、放送されていた。
ウルトラマンエースは、ウルトラ5番目の兄弟。
ウルトラシリーズは第一次怪獣ブーム、第二次怪獣ブーム(変身ブーム)、第三次怪獣ブームの中で、作品が作られていった。
つまり昭和のウルトラマンには、3つの制作時期がある。
それぞれの時代に当たるのは以下の作品だ。
●第一次怪獣ブーム/第1期ウルトラシリーズ(1966~1968年)⇒ウルトラQ、初代ウルトラマン、ウルトラセブン
●第二次怪獣ブーム/第2期ウルトラシリーズ(1971年~1974年)⇒帰ってきたウルトラマン、ウルトラマンエース、ウルトラマンタロウ、ウルトラマンレオ
●第三次怪獣ブーム/第3期ウルトラシリーズ(1980~81年頃)⇒ウルトラマン80
ウルトラマンエースは「第二次怪獣ブーム/第2期ウルトラシリーズ」の2本目の作品ということになる。
ちなみに「第二次怪獣ブーム(1971年~1974年)」は「変身ブーム」とも言われている。
仮面ライダーやキカイダー、超人バロム1やイナズマンなどは、この変身ブームの時期に誕生しているのだ。
ウルトラマンエースは、変身ブームまっさかりのときに放送されたウルトラシリーズだった。
ウルトラマンエースと仮面ライダーの関連性
ウルトラマンエースと同時期の番組に「仮面ライダー」がある。
仮面ライダーの後半(2号、新1号やゲルショッカー編)とウルトラマンエースは、同時期に放映されていたことを後で知った時、驚いた。
ぼくはウルトラマンエースと同じくらい、初代仮面ライダーが好きなのだ。
当時仮面ライダーは圧倒的な人気があり、その他多くの特撮ヒーロー作品に影響を与えていた。
そんなことからウルトラマンエースでは、仮面ライダーの撮影で使用されていたトランポリンによる大ジャンプ映像がよく使われる。
仮面ライダーで敵組織ショッカー首領の声を演じていた納谷悟郎氏が、ウルトラマンエースの声を演じているのが対照的で面白い。
仮面ライダーにはショッカーという「敵組織」が存在する。
その影響を受けて、ウルトラマンエースではウルトラシリーズ初の「敵組織」が登場した。
それまでのウルトラマンは、怪獣や宇宙人が単体で襲ってくるものだった。
しかしウルトラマンエースでは「異次元人ヤプール」という敵組織がでてくる。
仮面ライダーにおけるショッカーや、ミラーマンにおけるインベーダーのような敵の軍団が、ウルトラシリーズで初めて登場した点は魅力である。
ヤプールは魚眼レンズのような影絵の姿で、奇妙な動きをする。
子供のときにヤプールをみたとき、妙に怖かったのを覚えている。
このようにウルトラマンエースは当時爆発的な人気のあった仮面ライダーと、共通点がある作品なのだ。
ウルトラマンエースの物語概要
ここでは、ウルトラマンエースのあらすじ概要を書いてみよう。
前作帰ってきたウルトラマンがウルトラの星に帰った後、異次元人ヤプールが地球にやってくる。
異次元人ヤプールは、超獣という生物兵器を使用して、地球を乗っ取るために進撃を始めた。
超獣は、怪獣よりもはるかに強い。
ウルトラマンエース第1話の冒頭で、広島県福山市に現れた超獣ベロクロンの攻撃により、街は壊滅的な被害を受けた。
この危機のなかでパンの配送員をする北斗星司は、看護婦の南夕子と出会う。
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地球防衛軍はベロクロンと戦うけど、歯が立たない。
北斗星司は無鉄砲な性格をしてるので、ベロクロンに対して、タンクローリーで突っ込みをかける 笑
北斗星司としては人々を守るためにしてる行為なんだけど、無謀を通り越してかなり面白い!
北斗星司は、タンクローリーによる神風特攻隊みたいなことをしたのだ。
人々を助けようとした北斗と南は、ベロクロンの犠牲になり倒れる。
このころウルトラマンエースは、異次元人ヤプールから地球を守るため、M78星雲からやってきていた。
ウルトラマンエースは、ヤプールを倒すためにウルトラの星から派遣された戦士だったのだ。
ウルトラマンエースは北斗の勇気に打たれ、自分の生命と能力を、北斗と南に与えた。
2人の指には、ウルトラマンエースに変身するためのリングが授けられる。
こうして一度死んだ北斗星司と南夕子は、よみがえることができたのだ。
復活した北斗と南は故郷を去り、超獣攻撃隊TAC(タック)に入隊する。
ウルトラリングは、銀河連邦の一員の証。
このウルトラリングが光る時、北斗と南はウルトラタッチによってウルトラマンエースに変身するのだ。
ウルトラマンエースの魅力:合体変身
ウルトラマンエースといえば、なんといっても北斗星司と南夕子のウルトラリングによる合体変身だ!
それまでのウルトラマンは主人公がベーターカプセルなどのアイテムを使ったり、ポーズを取ることでウルトラマンに変身した。
特撮テレビ番組の隆盛のなか、他の作品との差別化をはかるため、脚本家・市川森一氏の発案で、男女の合体変身が生まれたという。
男と女の性別を超えた存在としてのウルトラマンを見せたいという意図が、男女合体変身にはあったようだ。
性別の境をなくした中性的なエースだけど、僕はウルトラマンエースの女性的な曲線のデザインに魅力を感じる。
ウルトラマンエースのデザインをよく見ると、丸や円が多様されてるのだ。
たとえばウルトラマンエースの頭についた尾ひれや、そこに空いてる丸い穴などが、かっこいい。
デザインに関わった鈴木儀雄氏は、古代ローマ帝国の兵士をイメージしてウルトラマンエースのの外見を考えたようだ。
ウルトラマンエースと同時期に放映されていた「超人バロム1」も、少年2人が合体変身をする。
円谷プロと東映は、はからずも同時期に同じアイデアで作品を作っていたのだ。
ウルトラマンエースの変身の仕方
「ウルトラリングが光る時、大いなる力が宿るだろう」~ウルトラマンエースより
ウルトラマンエースの合体変身シーンは、この作品の魅力の一つだ。
北斗星司と南夕子はウルトラマンエースに変身するためのウルトラリング(指輪)を、右手の中指につけている。
このウルトラリングの宝石部分が光る時、お互いの名前を呼びあって走り寄り、リングをはめた右手を合わせることで変身するのだ。
北斗星司と南夕子が変身を行うシチュエーションは様々ある。
例えば~
●空高くジャンプして回転しながら「ウルトラターッチ!」の掛け声で変身
●モニターごしに、北斗と南がウルトラタッチをして変身
●タックの戦闘機から飛び降りた北斗が、高い場所で十字架にかけられている南夕子とウルトラタッチをして変身
●バイクに乗ったまま2人がジャンプして変身
北斗と南がウルトラリングをクロスできる場所にいれば、ウルトラマンエースに変身できるのだ。
第28話以降は、北斗星司が一人でウルトラマンエースに変身する。
北斗星司が両手の中指につけたウルトラリングを胸の前で合わせることで、ウルトラマンエースに変身できるようになるのだ。
しかし僕は、北斗と南が2人で変身するウルトラマンエースに、より強く魅力を感じる。
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子供受けする娯楽性が魅力のウルトラマンエース
ぼくは前作「帰ってきたウルトラマン」も、ウルトラマンエースと同じくらい好きだ!
帰ってきたウルトラマンはスポ根要素もあり、重厚な人間ドラマを強調した作風になっている。
しかしウルトラマンエースは前作とは異なり、子供向けな娯楽性が意識された作風だ。
それを象徴するのが、ウルトラマンエースの必殺技の多さ。
ウルトラマンエースは「光線技のエース」と呼ばれるように、ウルトラ兄弟の中で一番多く光線技を持っている。
エースが最も得意とするのが、後ろに大きく振りかぶって発射されるメタリウム光線だ。
他にも必殺技はウルトラギロチンやスペースQなど沢山ある。
エースはギロチン系の技が多いのが特徴だ。
娯楽性が強くなった魅力のウルトラマンエースだけど、エピソード後半では人間ドラマ要素も復活する。
ウルトラマンエースの最終回(52話)は、非常に感動的な話だ。
その裏には帰ってきたウルトラマンのような、濃厚な人間ドラマ路線への回帰があったのだ。
ウルトラマンエースの魅力:ウルトラ兄弟の登場!
前作「帰ってきたウルトラマン」でウルトラセブンが出演したエピソードが人気だったことを受け、ウルトラマンエースでは「ウルトラ兄弟」の設定が本格的に登場した。
ゾフィーを初め、初代ウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンジャック(帰ってきたウルトラマン)の他、ウルトラの父まで登場する。
ウルトラマンエースの魅力は、ウルトラの父や兄弟が登場することにもあるのだ!
ウルトラの父は頭に大きな角を2本生やしており、子供のころ観た時、とても強そうな印象を受けた。
ウルトラの父は強敵ヒッポリト星人にウルトラ5兄弟が石にされた時、助けてくれるのだ!
ちなみにゾフィーは、初代ウルトラマンの最終回(39話)に登場して以来、久々の出演であった。
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ウルトラマンエースの魅力:設定変更が多い
ウルトラマンエースは、視聴率向上のためのテコ入れが度々入っている。
1972年は特撮変身ヒーローブームだったので、ウルトラマンエースの裏番組には「変身忍者 嵐」がやっていた。
このためウルトラマンエースは視聴率の競争にまきこまれ、初めの設定が変更されることがたびたびあったのだ。
「変身忍者 嵐」もウルトラマンエースに対抗するため、番組路線の微妙な変更が行われていた。
ウルトラマンエースは、ウルトラシリーズに新しい要素を持ち込んだ画期的作品だった。
例えば~
●男女の合体変身
●敵組織の登場
●ウルトラ6番目の弟・梅津ダンの存在
●銀河連邦の設定
などの新設定がある。
しかしこれら新機軸の要素が、最後まで活かされることはなかった。
初めに決めた設定が物語進行上、邪魔になることもあったのだ。
さらに「変身忍者 嵐」との視聴率競争もあったので、ウルトラマンエースは初めに決めた設定が変更されることが多かった。
その代表的事件が、第28話の南夕子の降板だった。
これにより北斗星司は、単独でウルトラマンエースに変身するようになる。
その後、梅津ダンが登場し、北斗星司と絡む物語が中心に描かれた。
ダンはウルトラの星が見えるので、ウルトラ6番目の弟と呼ばれることになる。
ウルトラマンエースは、北斗星司の相棒が南夕子からダンに変わったといえるだろう。
しかしダンはウルトラマンエースの43話から、なぜか登場しなくなってしまう。
梅津姉弟がとつぜん物語にでなくなるので、ぼくはどうしたんだろうと不思議に思っていた。
しかしこれも、ウルトラマンエースの設定変更の一部だったのだ。
ウルトラマンエースの第1話では、宇宙連邦という新しい設定が存在した。
宇宙連邦は、円谷プロダクションが制作する他作品との関連性をもたせるためのアイデアだった。
例えば円谷制作のミラーマンなどと、ウルトラマンエースの世界観をつなげるための発想が宇宙連邦だったのだ。
しかし宇宙連邦は、ウルトラマンエース本編で使われることはなかった。
宇宙連邦はウルトラマンエースの関連商品や、副主題歌「トリプルファイター」で使用されるにとどまる。
宇宙連邦のアイデアも、設定変更の対象だったのだ。
このようにウルトラマンエースは、初めに決めた設定が活かされず、たびたび路線が変更するのが魅力といえる。
ウルトラマンエースは作品の方向性にブレがあることを考えると、ウルトラシリーズの中でも過渡期の作品という感がある。
●初代ウルトラマンとウルトラセブンは、大人も観れる質の高いSF物語が魅力
●帰ってきたウルトラマンは主人公・郷秀樹の成長を描いた人間ドラマが胸をうつ
●子供受けを狙った娯楽性を意識したけど、後半からは人間ドラマの要素も目立つウルトラマンエース
設定があっちへ行ったりこっちへいったりするブレも、ウルトラマンエースの魅力なのだ!
ウルトラマンエースの物語的な特徴
ウルトラマンエースで魅力的だと思うのが「人間の心の奥にひそむエゴイズム」を、物語に絡ませて見せる演出だ!
ヤプールは人間の心の闇につけこむので、人のエゴイズムの闇をテーマにしたエピソードが印象的。
人間の醜い欲望が物語にからむ展開は、他のウルトラシリーズよりもあきらかに多い!
人の心につけこむヤプールの不気味な存在感は、ウルトラマンエースの魅力である。
その流れからウルトラマンエースは、後半で重厚な人間ドラマの展開が復活した。
ウルトラマンエースの最終回では「子供の純真な心を利用する宇宙人」が描かれる。
宇宙人が子供に悪い心を植え付けようとする話なのだ。
人を信じようとしなくなる子供たち。
北斗は子供たちを救うため、彼らの目の前でウルトラマンエースに変身する。
そして超獣を倒したウルトラマンエースは、子供たちに優しさを忘れないようにと、胸を打つ最後の言葉をかける。
ぼくはウルトラマンエースの最終回に、あまりに感動して、感涙した!
ウルトラマンエースの最終回は、ほんとうにすばらしい!
僕の中でウルトラマンエースの最終回は、ウルトラシリーズの最終回史上でも最高の名作なのだ!
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ウルトラマンエースの魅力:超獣
敵となる「超獣」の存在感は、ウルトラマンエースの魅力だ。
それまでのウルトラシリーズの敵役は、宇宙人をのぞけば怪獣が主だった。
超獣は、怪獣よりもはるかに強い。
その証拠に帰ってきたウルトラマンに登場した怪獣ムルチの二代目を、超獣ドラゴリーは簡単に倒している。
超獣とは、異次元人ヤプールが地球の生物と宇宙怪獣を超獣製造機を使ってミックスした「合成生物兵器」。
異なるもの同士をミックスさせて新しい生物を作るなんて、漫画的な発想法ではないか!
ウルトラマンエースの敵役・異次元人ヤプールは、ショッカー首領のようにエースを通じてずっと出てくるのかと思ったら、以外にも第23話で全滅する。
ヤプール没後に出てくる超獣は、他の宇宙人の仲間だったり、自然な流れで誕生したりする。
ヤプールの体はウルトラマンエースに負けて、こなごなになった。
しかしヤプールの体の細胞が、復讐に燃える怨念となり、さまざまなものに憑依して超獣を作っているようだ。
例えば動物や物体、霊などに作用して、超獣が誕生する。
ヤプールが死んだ時点で、すでに作られた超獣がたくさんいることを示すセリフもある。
ヤプールに関係する敵はウルトラマンエースの最終回まで、ちょくちょく登場していた。
そして次回作となったウルトラマンタロウの第1話でも、超獣は登場するのだ。
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ウルトラマンエースの魅力:opと挿入曲
ウルトラマンエースのop主題歌は、この作品の魅力だ!
昭和のウルトラシリーズは、初代ウルトラマンからウルトラマンレオまで、opはあってもedはない。
ウルトラシリーズのopは、どれもとてもかっこいい!
opがかっこいい!というのは、非常にうれしいものだ。
僕はウルトラシリーズでは「帰ってきたウルトラマン」のopが一番好きだけど、その次くらいにウルトラマンエースのopがかっこいいと思う!
ウルトラマンエースのopは前半部は緊迫した危機迫る曲調だけど、途中から曲が明るい方向に転調する。
「たたかえ~たたかえ~ウルトラマンエースー」と開放感へ向かう曲調がすごく好きだ!
ウルトラマンエースまでは、op映像にウルトラシリーズの有名怪獣がシルエットで映る映像となっている。
シルエットだから「今度はどんな怪獣がみられるんだろう?」という好奇心が湧いて、とてもわくわくする。
以後のウルトラマンタロウではopにひたすらメカニックな基地の映像が流れるが、僕はエースまでの映像の方が好きだった。
ウルトラシリーズは、ドラマの挿入曲も魅力がある!
特に「帰ってきたウルトラマン」と「ウルトラマンエース」の挿入曲は、最高に好きだ!
ウルトラマンエースでは、超獣とTACが戦う時によく流れる「TACの歌」が本当にかっこいい!
ウルトラマンエースがピンチになった時に流れるBGMも好きだ!
ベートーベンの交響曲第5番「運命」のような、「ダダダダン、ダーダーン」のあの旋律が良いのだ!
そしてウルトラマンエースが有利になった時に流れる明るいBGM…あれを聴くと筆者は心から感動をおぼえる!
これらBGMは、幼い頃に観たウルトラマンエースの記憶を鮮明によみがえらせてくれるのだ。
作中に流れる音楽は、一瞬でそれを観ていた当時を思い出させてくれるので、とても大切なものだと思う。
ウルトラマンエースの魅力:南夕子の重要性!
ウルトラマンエースを心から愛する理由をあげよと言われたら、この人を抜きには語れない!
南夕子隊員!
南夕子隊員は、ウルトラマンエースのまぎれもない魅力である!
南夕子は、北斗星司と一緒にウルトラリングで変身する相方の女性隊員だ。
南夕子の誕生日は7月7日で、血液型はO型。
本編では19歳、広島県福山市にある病院で看護婦をしている設定だ。
ぼくは幼いころ初めて南夕子隊員をみて、とても心惹かれるものを感じた。
南夕子隊員は、僕の初恋の人だったのだ!
敬愛する漫画家の手塚治虫氏は、昔テレビ番組で「自分の初恋の人の名前が”みなみゆうこ”(全くの別人物)だと語ってたことがあり、親近感を感じた。
幼いころに体験することは、その後の人生に影響を与える。
そのためか後年僕が好きになる女性は、たいがい南夕子隊員に似ていた。
意識しない内にも僕の描く漫画の女性には、南夕子の面影がどことなく入っているのだ。
以下の筆者が描いたイラストには、南夕子隊員の面影が残ってる。
おかっぱ頭で物静か、神秘的な雰囲気の女性。
幼いころに印象を受けた南夕子の存在が、筆者の創作に今も影響を与えていたのだ。
南夕子隊員は作中でもあまりしゃべらず、主役になるエピソードも少ないのに、なぜかすごく存在感があった。
南夕子隊員は、他のどんなウルトラヒロインよりも魅力的だと思う!
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ウルトラマンエースが粕川に与えた絶大な影響!
5才くらいの少年にとって、生まれて初めて観たウルトラマンエースは、その後の生涯に続く影響を与えた。
僕は人生の転機となる節々で、ウルトラマンエースを観ることがある。
ウルトラマンエースを観て、幼い頃の自分という原点に戻っているのだ。
原点に戻ると、本当に自分がやりたかったことが明確になり、周りに流されない心が持てるようになる。
僕にとってウルトラマンエースは間違いなく、創作の原点と呼べる作品だ。
筆者がSF好きで、SF系の漫画を描くようになったのも、ウルトラマンエースの影響だと言える。
その証拠に僕は2011年に、南夕子隊員をモデルにした女性キャラクターを使って、以下の漫画「ムーンブライダル」を描いた。
ムーンブライダルは、月で結婚式をあげるという内容の漫画だ。
「ムーンブライダル」に出てくる「宇宙人にさらわれて宇宙で結婚式を強要される女性」のモデルになったのが、南夕子隊員である(以下画像赤枠の女性)。
上の漫画は女性が宇宙人に惚れられ、月で結婚式を挙げることを告げられるシーン。
宇宙人は、南夕子をモデルにした女性を好きになった。
これはまさに「粕川にとって南夕子が初恋の人だった」という事を、漫画で表現しているのだ。
漫画の中でさりげなく自分の思いをちりばめることで、「漫画による自己表現」ができる。
自分の思いを敵役の宇宙人にたくして、月で結婚式を挙げる発想で、南夕子への思いを表現したのだ。
僕は幼い頃ウルトラマンエースと、出会うべくして出会った。
ウルトラマンエースが、粕川の創作の核心部分に影響を与えたのだ。
南夕子隊員がモデルの女性が登場する漫画「ムーンブライダル」は、以下の記事から読めるので興味のある方はどうぞ♪
ウルトラマンエースの魅力:北斗星司のキャラクター
北斗星司は、かわいい男の子のようなやんちゃさと正義感を持つキャラクターだ。
北斗星司の誕生日は7月7日で、血液型はB型。
本編では20歳の設定だ。
北斗星司は勇敢だけど、たまに見せる無謀さが面白い!
1話で街を破壊したベロクロンに怒り、タンクローリーで突っ込んで自滅するシーンは本気で笑った!
北斗星司はウルトラマンの特殊能力があり、やや短気な性格をしてるので、仲間内で勘違いされて謹慎処分を受ける展開が多々ある。
北斗星司は、生まれて間もなく父親を亡くしている。
9歳になるまで寝小便をしていた北斗星司は、中学生のときに友達と雪山で遭難したことがあった。
また子供のころの北斗星司は、不良になりかけたこともあったようだ。
このように、ウルトラマンエースでは北斗星司の過去が語られる興味深いエピソードが多い。
僕の印象で北斗星司は、エピソードの前半と後半で微妙にキャラクター性が違って見えた。
南夕子がいる前半部では、お調子者の要素がややあった。
しかし後半に入るにつれて、真面目な熱血漢のTAC隊員という印象が強くなってくる。
僕は南夕子のいた前半部の、ソフトな感じの北斗が好きだ。
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ウルトラマンエースの魅力:北斗と南の淡い関係性
僕はウルトラマンエースの北斗星司と南夕子の関係性が、とても気になっていた。
北斗と南は同じ広島出身で、誕生日も同じ7月7日。
2人でデートをしたこともある。
南夕子は積極的なところもあり、デートにさそうのは彼女の方からだった。
南夕子が北斗を慕っていることが分かる、以下のようなシーンが存在する。
●北斗が女子大生にヘラヘラしているところを南がみたとき、嫉妬したような怒り方をしている
●北斗は南の好意に気づかない様に描かれている。
しかし北斗がTAC隊員全員から疑われたとき、南にだけは目で合図を送っていた。
2人の信頼関係が感じられる。
●七夕の夜、北斗と南が夜空を見上げている時、彦星と織姫が年に一度だけ会うという話をした。
このとき南夕子は「私達は一体何なのかしらね」と印象的なセリフを言う。
ウルトラマンに合体変身できる秘密を共有した2人を考えれば、どうしても関係性が気になってしまう!
しかし作中では、北斗と南のあいだに、明確な恋愛感情は描かれない。
北斗を慕う南夕子と、南の好意に気づかない鈍感な北斗星司という関係性だ。
しかし僕は思う。
この淡い関係性が良いのだと!
恋愛までは踏みこまない淡い感情が南夕子にあって、それが物語に切なさや美しさを生んでいるのだ!
密かに好意を寄せる南とそれに気づかない北斗の構図は、「人造人間キカイダー」のミツ子とジローを思わせる。
北斗を慕う南、2人の淡い関係性…これはウルトラマンエース最大の魅力だ!
南夕子が降板した理由とは?
南夕子隊員は第28話「さようなら夕子よ、月の妹よ」でとつぜん月に帰り、番組から姿を消してしまう。
南夕子を演じていた星光子氏は、降板することになったのだ。
南夕子は月に住む、月星人という設定だった。
かつて月星人種は、ルナチクスという超獣によって全滅した。
高度な文明種族の血をひく、生き残りの月星人が南夕子だった。
南夕子は、ルナチクスを倒すために月星人の代表者として地球にやってきていたのだ。
ウルトラマンエースの28話で、ルナチクスを倒した南夕子は、自分の正体を北斗に打ち明ける。
そしてウルトラリングを北斗に預け、月へ帰っていった。
この物語を知って、ぼくはとても残念だった。
筆者にとって南夕子は、ウルトラマンエースの象徴的存在だったから。
僕は南夕子がいなくなったウルトラマンエースが、何か物寂しく、心に空白を感じるものになった。
番組制作は予算がかかるので、視聴率を取るためには様々なテコ入れが行われる。
南夕子を演じていた星光子氏のとつぜんの降板には、様々な理由があった。
1:男女の合体変身だと、ヒーローとして弱そう
子供から見たら、ウルトラマンエースはヒーローだ。
ウルトラマンエースに変身するのが女性だと、弱そうな印象を与えてしまうという評判があったという。
子供からすれば、女性が変身に関わるウルトラマンエースは、弱そうに見えるのかもしれない。
弱そうに見える女性はとりのぞき、北斗一人で変身するウルトラマンにした方がいいのでは?
これが南夕子が降板した理由の一つと言われている。
今後の視聴率のためにも、リスク要因は取り除く必要があったのだろう。
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2:合体変身だと子供がマネするのが難しい
当時、人気特撮ヒーローのマネをして遊ぶ子供たちがたくさんいた。
仮面ライダーのライダーキックをマネした子供が、ケガをする事件なども起きていた。
仮面ライダーの変身ポーズなら子供がマネできる。
しかしウルトラマンエースのウルトラタッチによる合体変身は、子供が再現するのは難しい。
ターゲット視聴者である子供達がマネできるような、分かりやすい変身の仕方が良いという意見があったようだ。
こうして北斗星司が両手を合わせて変身するポーズに変わった。
3:脚本を書く上での制約が多い
南夕子が降板した理由に、脚本を書く上で制約が多かったことが挙げられる。
ウルトラマンエースは30分番組で、後半はウルトラマンと怪獣との戦いで尺が使われる。
そんな短い放送時間のなかで、北斗と南両方の物語を描くのは、難しいという脚本側の要求があったといわれている。
確かに合体変身の場合、2人が一緒にいる必要があり、北斗と南のストーリーを描かねばならない。
これら番組製作上の理由に、視聴率向上のためのテコ入れ策として、やむを得ない降板だったのだろう。
南夕子なき後のウルトラマンエースは、少年・梅津ダンが登場する。
北斗と少年の交流を描くホームドラマのような展開となったのだ。
この梅津ダンも43話以降登場しなくなるので、制作側は番組の方向性をめぐり迷走していた様子がうかがえる。
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ウルトラマンエースの魅力は南夕子がいた時にこそあり!
僕は、確信して言えることがある。
ウルトラマンエースは、南夕子在籍中と降板後では、物語の魅力に変化が生じてるということだ!
南夕子のいなくなったウルトラマンエースは、心に空白ができたように寂しさを感じる。
ウルトラマンエースの内容自体は、南夕子がいなくなった後も面白い。
しかし南夕子の存在は、ウルトラマンエースを象徴する大切な何かなのだ!
南夕子がいなくなった後のウルトラマンエースは、どんなに面白くても、どことないむなしさが残る。
これが、僕の正直な感想だ。
南夕子隊員にウルトラマンエースの最後までいてほしかった。
北斗との関係性をもっと描いて欲しかった。
本当にウルトラマンエースが魅力的なのは、南夕子がいた時だ!
それ以降も、面白さは変わらない。
しかし南夕子という要素を失ったウルトラマンエースには、どうしても不完全さを感じてしまう。
北斗星司と南夕子は、2人で1つ。
ウルトラマンエースの魅力は、北斗星司と南夕子の存在にあるのだ!
ウルトラマンエースの魅力の最期に
ウルトラマンエースは僕にとって特別なウルトラマンだ。
物心がついたころ、初めて観たビデオがウルトラマンエースだった。
保育園に通っていた当時、僕は生涯で最も幻想的な時代を生きていた。
その思い出が、ウルトラマンエースの音楽や映像と混じって、今でも夢のような感動を持って記憶されている。
ウルトラマンエースは男女合体変身などの新機軸を活かしきれず、路線変更が行われた。
初代ウルトラマンやウルトラセブンを知っている人が見たら、ウルトラマンエースは「迷走」しているように映るかもしれない。
しかしそんな条件下にも関わらず、ウルトラマンエースは僕のなかで最高のウルトラマンだ!
●北斗星司と南夕子のキャラクター
●南夕子の北斗に寄せる淡い思いと、二人の関係性…
これがウルトラマンエースの決定的な魅力なのだ!
もちろん超獣と戦うTAC隊員やウルトラマンエースの姿もかっこいい!
エピソード後半の、重厚になった人間ドラマも面白い!
何より「人間の心の闇」を物語に絡めてくるテーマ性に、ものすごく感銘を受ける!
細かい点を上げればウルトラマンエースの魅力は、たくさんある。
しかし、他のウルトラマンとエースを分ける決定的な違い。
それは南夕子の存在であり、北斗と南の関係性から生まれる切なく淡いドラマ展開なのだ!
南夕子がいなくなったウルトラマンエースはどんなに面白くても、僕から見ると寂しい…
南夕子というキャラクターを最後まで活かしきれなかった展開に、切なさが残る…
ウルトラマンエースには南夕子在籍時の最もエースらしい面白さと、降板後のむなしさに満ちた面白さという、2つの要素があると感じてる。
これが粕川の主観から見た、ウルトラマンエースだ。
落差の激しい、しかし永遠の印象に残るウルトラマンを観たいと思う人は、是非ウルトラマンエースを観てほしい。
そこには心の琴線に触れる、何らかの感動があるに違いないからだ!
帰ってきたウルトラマンの「悪魔と天使の間に」の素晴らしさを語った記事は以下の記事に書きました♪