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グリム童話の赤ずきんはペロー童話のおかげで生まれた?物語の成立過程を紹介!

投稿日:2017年9月30日 更新日:

赤ずきんの像がある画像

赤ずきんってどういう経緯で出来た童話なのかしら?

グリム童話やペロー童話集で有名な赤ずきん。

筆者も赤ずきんが好きで、2017年に漫画で描きました。

実は赤ずきんの童話が今の形で成立するまでには、ペローやグリム兄弟たちが関わっています。

この記事では赤ずきんの童話ができる過程を、ペロー以前からペロー童話集、グリム童話の流れを通してみていきます。

最後にはグリム童話版「赤ずきん」の漫画を制作した流れも紹介していますので、どうぞ最後までご覧ください♪

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赤ずきんとは?

赤ずきんと狼の像がある画像
赤ずきんと狼の像がある画像

赤ずきんといえばいまやアニメや漫画、小説や映画など、いろんなメディアで使われる童話ですね。

そんな有名な赤ずきんですが、初めは民話として伝わる物語でした。

民話を元に創作を加えて赤ずきんを作ったのが、シャルル・ペローです。

ペロー童話の赤ずきんに手を加えて今の形にしたのが、グリム兄弟でした。

ペロー童話集やグリム童話(KHM 26)には、赤ずきんが収録されています。

グリム童話の赤ずきんのあらすじ概要

赤ずきんがオオカミといる画像
赤ずきんがオオカミといる画像

ここでは今知られているグリム童話版赤ずきんの、物語概要を書いてみます。

あるところに赤ずきんと呼ばれる少女がいました。

赤ずきんは、おばあさんの元へワインやお菓子をもってお見舞いに行くことになりました。

 

おばあさんの家へ行く途中、赤ずきんはオオカミと出会います。

 

オオカミは、赤ずきんからおばあさんの家へお使いに行くことを聞きます。

オオカミは、おばあさんと赤ずきんを食べる計画を立てました。

 

オオカミの口車にのせられて、赤ずきんは寄り道をして花を摘みます。

そのあいだに、おばあさんの家へ先回りするオオカミ。

 

家に到着したオオカミは、おばあさんを食べてしまいました。

 

オオカミはおばあさんの格好をして、やってきた赤ずきんをだまします。

そして、赤ずきんまでがオオカミに食べられてしまったのです。

 

近くにいた猟師が異変に気付いて、おばあさんの家にやってきます。

おばあさんの家では、オオカミがいびきをかいて寝ていました。

 

オオカミの腹が大きいので、猟師は不振に思いました。

猟師は大きなハサミでオオカミの腹を切って、赤ずきんとおばあさんを救出しています。

 

おばあさんは赤ずきんに、オオカミの腹へ大きな石を入れるように頼みました。

オオカミの腹のなかに、大きな石をつめこむ赤ずきん。

 

目覚めたオオカミは、体が重いのが不思議でした。

水を飲むため、川にやってきたオオカミ。

水を飲もうと口を近づけた時、石の重さのためにバランスを崩し、川のなかに落ちてしまいました。

こうして悪いオオカミを退治することができたのです。

 

赤ずきんはおばあさんにワインやお菓子をあげて、無事にお見舞いをすることができました。

赤ずきんはオオカミの口車にのせられて、寄り道をしたことを反省し、良い子になれました。

以上が、グリム童話版赤ずきんのあらすじ概要です。

赤ずきんは童話を通して、言いつけを守らず寄り道をしてしまったことを反省しています。

赤ずきんはこの体験によって、以前よりもいい子になれたというお話です。

赤ずきんの起源とペロー童話の赤ずきん

赤ずきんと狼がいる画像
赤ずきんと狼がいる画像

童話赤ずきんの物語ができるまでには、過程がありました。

もともと赤ずきんは、フランスの民話(メルヘン)として語り継がれた物語です。

フランス版の日本昔話みたいなものでしょうか。

スウェーデンに伝わる「黒い森の乙女」という民話も、赤ずきんに似た話だったとされています。

赤ずきんの民話の起源をたどると、諸説あるようです。

●11世紀に書かれたベルギーの詩が起源

●中国など、東アジアに伝わる話が起源

上の2点が、赤ずきんの民話の起源として有力視されています。

フランスの民話の赤ずきんを取り上げたのが、シャルル・ペローです。

ペローはフランスの詩人であり、ペロー童話集を作った作者。

ペローは赤ずきんの民話に、手を加えて改変しています。

例えば民話を詩で書いたり、教訓を入れたり、ペローの時代の世俗的な要素を交えて童話集を作りました。

このためペロー童話集に入ってる赤ずきんは、原型の民話とは違う内容になっています。

音楽でいうと原曲をコピーするときに、オリジナル要素を加えて作品にするようなことをしていたのです。

ペロー童話集が出版されたのは、1697年のフランスでした。

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ペロー童話の赤ずきんと民話の違いとは?

ペローは、赤ずきんの物語の重要な部分を決定しています。

赤ずきんが赤いずきんをかぶる設定にしたのは、ペローです。

童話のタイトルである「赤ずきん」を少女にかぶせる案を出したので、ペローは赤ずきんの立役者といえるでしょう。

民話ではオオカミが、おばあさんの血と肉片を「ワインや干し肉」とウソをついて、赤ずきんに食べさせます。

残酷なシーンだな…

ペローは、この残酷なシーンを取り除きました。

民話ではオオカミが赤ずきんに「針の道」か「ピン(留め針のこと)の道」のうち、どちらへ行くか尋ねるシーンがあります。

ペローはこのシーンを削除し、オオカミが最短ルートでおばあさんの家へ向かったことにしています。

民話では、赤ずきんが服を脱いでいく場面がありましたが、ペローはこのシーンを消しました。

ペローは最終的に教訓を入れることで、赤ずきんの話をまとめています。

なぜペローが民話を脚色したかというと、ターゲット読者のためでした。

ペローはサロンに出入りする詩人なので、そこにいる女性たちに読んでもらうための童話集を作りたかったのです。

そのため性的な部分や残酷な場面を民話から消して、柔らかい表現に置き換えたといえます。

ペロー童話集の赤ずきんでは、オオカミが赤ずきんを食べるところで物語が終了します。

グリム童話の赤ずきんのように、猟師はでてこないのです。

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ドイツでできた赤ずきんとは?

赤ずきんは、ドイツでも作品として登場しました。

ドイツで赤ずきんを書いたのが、ルートヴィヒ・ティークです。

ルートヴィヒは、「小さな赤ずきんの生と死(原題:Tragödie vom Leben und Tod des kleinen Rothkäppchens)」という戯曲作品を1800年に出しています。

ルートヴィヒは赤ずきんの物語に、猟師を登場させました。

ペロー童話集ではいなかった猟師をつけくわえたのは、ルートヴィヒ・ティークだったのね♪

「赤ずきんやおばあさんを食べたオオカミが、猟師の銃で殺される展開」を、ルートヴィヒが作ったのです。

しかしこの時点でも、赤ずきんはオオカミに食べられたままでした。

グリム童話の赤ずきんが登場!

赤ずきんと狼のいる画像
グリム童話の赤ずきんが登場!

グリム兄弟が編纂したグリム童話によって、今に伝わる赤ずきんの物語ができました。

グリム兄弟はヨーロッパに存在した昔話を収集して、手を加えてグリム童話を作っています。

グリム兄弟は、アンデルセンのような創作童話作者ではありません。

グリム童話が初めて出版されたのは、1812年です。

初め赤ずきんは、当時ドイツにいた文字が読めない農家のおばあさんが、口伝えで教えてくれた話を、そのまま書いた話だとされていました。

しかしこのエピソードは作り話だったようです。

赤ずきんの話をグリム兄弟に提供したのは、ヘッセン選帝侯国で働く地位の高い官僚の娘たちだとされています。

裕福な家庭の女性たちなので、文章を書いたり読むことができたでしょう。

そのためペローの童話集を読んでいたかもしれません。

グリム兄弟に赤ずきんの話をしてくれたのは、高級官僚の娘さんたちだったのか

グリム兄弟は、グリム童話集の改訂版を何度も出しています。

1857年に出版された第7改訂版が、グリム童話の決定版とされています。

グリム兄弟はグリム童話の版をあらためるごとに、少しずつ内容を修正していました。

オオカミの腹のなかから、赤ずきんとおばあさんが救出される話を作ったのは、グリム兄弟だったのです。

現代の赤ずきんは?

赤ずきんは有名な童話なので、いろいろなメディアでパロディ作品が作られていますね。

シャルル・ギュオーとデ・ラ・メアという人も、赤ずきんの話を改変した作品を出しています。

ヨアヒム・リンゲルナッツの書いた「クッテル・ダッデルドゥが子どもたちに赤ずきんのお話を聞かせる」では、オオカミと赤ずきんがおばあさんに食べられてしまいます。

ジェームズ・サーバーの書いた「少女と狼」では、オオカミがおばあさんに変装していることが、赤ずきんにばれてしまいます。

赤ずきんはすぐに銃を持ち出して、オオカミを殺してしまう物語が描かれました。

いろんな赤ずきんの物語があるんだな~

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赤ずきんの物語的な解釈とは?

赤ずきんの像がある画像
赤ずきんの像がある画像

赤ずきんにはオオカミが登場したり、赤いずきんをかぶった少女が登場するので、いろいろな解釈がされてきました。

少女が外をあてもなく歩いてると、人食いオオカミに食べられるという、しつけ的な意味の解釈がされたこともありました。

精神分析学者が赤ずきんの物語について、解釈をしたことがあります。

民話や民俗学など古い伝承を、精神分析的に解明しようとしたのです。

例えば赤ずきんがかぶる赤いずきんは「月経をあらわす赤」と、エーリヒ・ハイムは解釈しています。

赤いずきんを「激しい性の衝動」と解釈したのは、ベッテルハイムという人です。

しかしこれらは、的外れな解釈が多いとされています。

赤ずきんの多くの設定は、ペローが作ったものだからです。

主人公に赤いずきんをかぶらせたのも、ペローです。

そのため赤いずきんに込められた民俗学的な意味を探っても、答えは出ない状況にありました。

ペローの書いた赤ずきんでは、オオカミのことを「オオカミのおじさん」と書いています。

このためペロー童話集に登場するオオカミは動物ではなく、オオカミのような荒々しいおじさんだったといえるでしょう。

そうなると、オオカミみたいなおじさんと出会った赤ずきんが食べられそうになる物語という、変わった解釈にもとれますね。

なぜグリム童話の赤ずきんを漫画にするのか?

漫画描いてる

ぼくがグリム童話版赤ずきんを、漫画で描く理由は何か?

「原点に立ち戻り、自分らしい作品スタイルを見出す」という目的があります。

作品スタイルとは、絵や漫画の特徴的な表現法や様式のことです。

ぼくは昔からグリム童話が好きだったので、赤ずきんは自分の原点といえる作品です。

原点となる童話にたち帰り、その作品から学ぶのです。

好きな作品から要素を吸収し、そこに自分のオリジナリティを交えて漫画アートを作りたいと考えています。

そんな思いから、グリム童話の赤ずきんを漫画で描くことにしました。

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赤ずきんを漫画化する時にしたこととは?

僕がグリム童話の赤ずきんを漫画化する際にしたことは、以下です。

●グリム童話の翻訳版「赤ずきん」を読む

●アニメの赤ずきんをいろいろ観る

●オーディオブックの「赤ずきん」を購入し、夜寝ている時も赤ずきんの物語を流す

このようにして僕は、グリム童話「赤ずきん」の物語を漫画にしました。

原作の本やオーディオブックを聴きこんだ上で、今度は自分の絵で赤ずきんや他のキャラクターの絵を描きました。

赤ずきんのラフ画
赤ずきんを描いたラフ画
赤ずきんを描いたラフ画
赤ずきんを描いたラフ画
赤ずきんのおばあさんを描いたラフ画
赤ずきんのおばあさんを描いたラフ画
赤ずきんの母親を描いたラフ画
赤ずきんの母親を描いたラフ画

グリム童話の「赤ずきん」を読んだ理由は、純粋なかたちの赤ずきんの物語が知りたかったからです。

アニメなどで作られる赤ずきんは、他の制作者の解釈が入っているので、原作を元にしたいと思いました。

ぼくは萌え系の絵で描かれる赤ずきん作品は、好きではありません。

グリム童話やペローなどが作った原作の雰囲気とは、相いれない絵柄だと思うからです。

僕はペローやグリム童話から感じられる、古く懐かしい空気感を漫画で描きたいのです。

なので古い絵本や挿絵の絵を参考に、キャラクターの絵を描きました。

グリム童話「赤ずきん」の感覚が絵に出てるかは疑問ですが、意識の上ではそれを取り入れようと思ったのです。

赤ずきんのネームを作る時は、グリム童話の「赤ずきん」に忠実に従い、コマや構図など漫画でどう演出するかを考えました。

文字の物語を漫画でどう見せるかを考えてネームを作るのは、漫画演出の勉強になると感じています。

1年半以上押し入れで眠っていた赤ずきんの漫画

筆者が漫画「赤ずきん」を構想したのは、2015年の年末。

なので、上で紹介したキャラのラフ画は、2015年に描いたものです。

構想、プロット、ネーム、ペン入れの途中までを、2016年2月ころに行いました。

その後、わけありで赤ずきんの原稿は押し入れの中にしまっています。

2017年9月に、1年半以上押し入れで寝かせていた原稿を取り出して、赤ずきんの制作を再開しました。

漫画アート芸術家が描いたグリム童話の赤ずきんを描いた漫画は、以下のリンクから閲覧できます♪

 

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