「Gペンや丸ペンの違いが分からない、使い分けが分からないよ~」という方がいるかもしれません。
漫画のつけペンでGペンと丸ペンといえば有名ですね。
今どきは漫画をパソコンで描く人も多いでしょうが、まだまだつけペンを用いて描く人もいるはず。
手描きのGペンや丸ペンには絵を描く人の生命感を込めることが出来ます。
パソコンで絵を描くのでは生み出せないライブ感が、手描きのつけペンにはあるのです。
ここではGペンと丸ペンの違いや使い分け方、つけペンによる線の生命感について書いていくのでどうぞ最後までご覧になっていって下さい!
Contents
Gペンと丸ペンの違いの前につけペンとは
漫画のつけペンとは、ペン軸にペン先を装着してインクや墨につけて描画する画材のこと。
つけペンは以下の種類があります。
・Gペン
・丸ペン
・スクールペン
・カブラペン⇒スプーンペン、サジペン、タマペン
・日本字ペン
これ以外にもつけペンはあるみたいですが、上の5種類があれば漫画を描くのにこと足ります。
カブラペンは販売されているブランドによって名前が異なるだけで、3つとも同じペン先です。
ここでは特にGペンと丸ペンについて取り上げていきましょう!
【Gペンと丸ペンの違い】Gペンとは
Gペンはペンの真ん中に割れ目が入っており、他のペン先に比べて柔らかいことが特徴。
Gペンは力の入れ具合でペン先が開くので、線に強弱をつけることが出来ます。
Gペンは線の抑揚をつけやすいつけペンなのです。
線に抑揚をつけるとは無味乾燥な線に対して、作家の個性を与えられるということ!
人間の手から生まれる作家独特の線は、個性と言えるのです。
Gペンでなくても線の抑揚を出せるペンはあります。
しかしGペンの場合、その他つけペンよりも線に表情をつけやすい。
漫画を描くその瞬間の鼓動を線に込めやすいペン、それがGペンだといえます。
Gペンは、線に魂を込めやすいペン先なのです。
またGペンは描き慣れることでいろんな線が引けるようになるので、細かいとこから太いとこまでGペン一本で描きこなす漫画家もいます。
Gペンは線の勢いを出しやすいことから劇画作品で多く使われてきてた歴史があり、現代では少年漫画などで使われることが多いです。
Gペンの線
こちらはGペンで描いた線。
イリとヌキって何だ?
ペンを紙において描き始める部分をイリ、ペンが紙から離れる最後の部分をヌキというんだ。
イリで入ったら筆圧をこめて線を引きつつ、徐々に筆圧をゆるめて紙から離すとヌキが描ける。
Gペンは使っていると段々細い線が描けなくなり、線のキレが悪くなってきます。
なのでもう限界かなと思ったら新しいGペンに変えましょう。
Gペンの寿命が1本につきどのくらい持つかは、ペン先によって違います。
すぐに先が太くなるものもあれば、長い期間キレイな線が引けるGペンもある。
たくさん入ってるGペンの中にも当たり外れがあるのです。
以下はタチカワのGペンだけを使って僕が描いたイラスト。
タチカワのGペンは堅い感じの描き味ですね。
筆圧の強い人にはちょうど良いGペンかも。
【Gペンと丸ペンの違い】丸ペンとは
丸ペンは細くて繊細な線が描けるペン。
丸ペンは本来マッピングペンと言われており、地図の等高線を描く時に使用されていたペンです。
だから線が細いのか~、丸ペン!
丸ペンも力の入れ具合でペン先が開くので、線に強弱をつけることが出来ます。
Gペンが力強い線なら、丸ペンは繊細な女の子のような線なのね!
少女漫画の線の細い絵は、丸ペンで描かれていることが多いですね。
丸ペンは繊細な線が引けるので背景や、ものの質感、効果などに使うと最適。
もちろん人物の主線に使うのもあり!
僕は人物など主要キャラクターをGペンで描き、その他背景、効果、質感などは丸ペンで描くことが多いですね。
僕の感覚では丸ペンはもとから線が細いので、使い続けて線が太くなっても十分使えます。
Gペンは線が太くなったら新しいのに変えるけど、丸ペンは結構長いこと細い線をキープできるペンだと思います。
なので丸ペンの方が長持ちする印象があり。
丸ペンはつけペンの中で最も繊細な線が引けるペンであり、筆圧を入れると抑揚をつけられるので迫力のある線も十分描けます
丸ペンの線
こちらは丸ペンで描いた線。
ご覧になると分かるように丸ペンは細い線も描けるし、筆圧を入れるとGペンみたいに太い線でも描くことができます。
以下は日光の丸ペンだけを使って僕が描いたイラストです。
丸ペンは線が細いので、何本も線を重ねることで影や表面の質感を描きやすいです。
丸ペンもメーカーによって描き味は異なり、堅い描き味のA(硬質)と柔らかい描き味のE(軟質)という種類があります。
丸ペンは線は細いけど、Gペンと同じく強弱をつけやすいので使う場面は多いでしょう。
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Gペンと丸ペンの使い分け
ここではGペンと丸ペンを使い分けて絵を描くことについて見ていきましょう。
Gペンと丸ペンの最大の違いは線の太さにあります。
・Gペンは筆圧が線にこもり、勢いのある線が描けるペン。
・丸ペンは繊細な線が特徴。
それぞれの特質を生かして絵を描くのです。
例えばキャラクターを描くのなら、輪郭などの主線はGペンで描く。髪の毛や影、質感などは丸ペンで描く。
という風に、描く場所によって使い分ける方法が良いでしょう。
瞳の繊細な部分に丸ペンを使うとか、手前に突き出ているものはGペンを使って線を太くするとか、描く部位によって使い分けるのです。
キャラクターと背景が同じ太さの線だと、キャラが埋もれてしまいますよね。
そんな時はキャラクターをGペンで描いて、繊細な丸ペンで背景を描くことでメリハリを付けられます。
以下にGペンと丸ペンを使い分けて僕が描いたイラストをのせておきます。
僕はふだんキャラクターはほぼGペンのみで描いていますが、このイラストでは細かい部分を丸ペンで描きました。
Gペンと丸ペンの割合をどのくらいにするかは人によるし、ミリペンなど他のペンを使って描く方もいるでしょう。
自分の描きやすいやり方でいくのが一番です。
やっぱり髪の毛の細かい部分や影などを描くときは丸ペンが役立ちますね。
Gペンと丸ペンを使い分ける時ははじめにGペンで描けるものは全部描き、後から丸ペンでまとめて描くようにすると効率が良いです。
描いてるときに何度もGペンと丸ペンを持ち換えてたらめんどくさいですから。
線を太くして目立たせたいものはGペン、繊細な描き込みの必要なものは丸ペンという使い分けがベストです。
Gペンと丸ペンの違いと使い分けの注意点
Gペンと丸ペンを使い分けていると、ペンを持ちかえることがありますね。
そんな時、生乾きのインクに手がこするとこんなことになります。
アナログで漫画を描いていると、まだ乾いてないインクに擦って汚れるというのはあるあるネタ!
これを避けるためにも、Gペンと丸ペンを使い分ける時は、墨やインクに手が擦らないようにしましょう!
Gペンと丸ペンの違いや使い分けの最後に
Gペンと丸ペンの違いや使い分けを見てきました。
Gペンと丸ペンの違いは描く線の太さにあります。
Gペンは筆圧を込めることで線に作家の生命感をのせられるペン。
丸ペンはとにかく繊細でシャープな線が引けます。
Gペンと丸ペンは線の個性が違うので、絵を描く際は使い分けてみましょう。
僕はつけペンというのは作家が線に生命を込めるための道具だと思っています。
漫画の絵は全て線から出来ている。
線に魂を込めることで、絵にそれが宿ります。
パソコンで描いていたら、線の生命感は捉えずらい。
あくまで人間の手から生み出される生の線、これがつけペンの魅力です!
特にGペンは筆圧によって線に抑揚がつくので、最も生命感を込められるペンです。
丸ペンもこれに続きます。
今度漫画を読むときは絵を構成する線の一本一本に注目して下さい。
そこには作家それぞれのその人にしか出せない線があるでしょう。
あえてつけペンで漫画を描くというのは、漫画の絵に作家のライブ感を吹き込むようなもの。
今のようなデジタル全盛の時代にこそ、Gペンや丸ペンによる線に価値が出るのです!