アナログで漫画を描きたい初心者の人がそろえておくと良い道具は何か?
今はデジタルで漫画制作する人も多いですが、手描きのアナログで制作する人もまだまだいるでしょう。
漫画を描く道具はたくさんありますが、必ずしも全部揃えなくても漫画は描けます。
この記事では漫画を描きたいと思う初心者の人が最低限揃えておくと便利な道具の紹介をしていきます。
あくまでこの記事で挙げる漫画道具は僕が使っているものであって、この道具でなければいけないというわけではありません。
漫画道具は色々使ってみて、自分に合ったものを選ぶのが一番です。
僕はこの記事に書く道具をそろえて漫画を描きだしたのは25歳の頃でした。
それまでも漫画を描いていたんですが、コピー用紙にボールペンで描いたりなど漫画専用の道具を使っていなかったんですね。
やっぱり漫画は専用の道具で描いた方が気持ち良いし、それっぽい感じになります。
「これからアナログで漫画を描きたい!でもどんな道具を使えばいいの?」
って方はどうぞ最後までご覧になっていってください!
Contents
アナログで漫画を描く時に最低限あると便利な道具
1.鉛筆とシャーペン
まずは鉛筆とシャーペン。
漫画のネームや下描きを描くときに使います。
鉛筆とシャーペンはどちらもあった方が良いですね。
シャーペンはずっと細い線が引けるので、これ一本あれば十分ではあるんです。
しかし下描きをする際にシャーペンの線が重なって主線が分かりづらくなった時、2Bなど濃いめの鉛筆を使うことで他の線と区別しやすくなります。
シャーペンの線と鉛筆の線は線質が違います。
漫画制作では下描きをもとにペン入れをしていくので、どれがメインの下描き線か分かるように描いておくと後で助かります。
僕は下描きをするときは基本的にシャーペンで描きつつ、必要に応じて鉛筆を使って線を補強する感じで描いています。
鉛筆やシャーペンの芯は濃いめのものが良いですね。
漫画の下描きで描いた線は、最後に消すことになります。
濃いめの芯は消しゴムで消しやすい傾向があります。
2Hなど薄い芯だと濃く描こうとして筆圧が入り、原稿用紙に「描いた跡」が残ってしまうこともあります。
原稿用紙に描いた跡が残るとミゾに汚れが入ったり、その後の作業で跡として残ってしまうこともありえます。
なので弱い力でも濃く描くことのできる濃いめの芯のシャーペンや鉛筆が適しています。
僕は鉛筆では2B~5B、シャーペンでは2Bの芯を使っていますね。
水色のシャーペンで下描きを描く人もいるようです。
水色の芯は黒のシャーペンと違い印刷しても残らないので、下描きの線を消さなくてすむというメリットがあります。
ただし水色のシャーペンでもゴリゴリ強く描いたら印刷に残ってしまう可能性があるので気をつけましょう。
2.消しゴム
消しゴムは下描きやネームを描いてる時や、ペン入れ後に下描き線を消すときなどに使います。
漫画のペン入れが終わり、さあ下描き線を消そうと消しゴムかけに入ると分かることがあります。
消しゴムかけは結構労力を使うんです!
描いた下描きを紙を傷めないように、かつ下描き線が残らないようにきれいに消しゴムをかけていくんですね。
描いた漫画のページ数にもよりますが、消しゴムかけを終えた後は大量の消しゴムのカスが出ています。
たくさんページを描いていれば、その下描き線を消すわけなので消しゴム自体も大量消費していることが多いです。
なので消しゴムは、消しカスがあまり出ないものが良いですね。
また消しゴムをかけていてすぐ欠けてしまうような消しゴムはやっかいです。
ぶっちゃけ消しゴムなんて消せれば何でもいいですが、消しカスがまとまりやすく砕けにくい点で以下の消しゴムは優秀です。
3.ペン軸とペン先
漫画のペン入れをする時に使われるのがペン軸とペン先。
ペン入れをつけペンでしなければいけないわけではなく、ミリペンなどでも十分描けます。
つけペンは筆圧の加減で線に強弱がつけられたり、いかにも漫画を描いてる感が出るのでアナログ派の人は一度は試してみてはいかがでしょう?
ペン軸にはプラスチック製から木製まで色々あり、ゴムやコルクのグリップがついているものなどあります。
どのペン軸が自分に合うかは実際に使ってみないと分からないので、とりあえず色々なペン軸を使ってみましょう。
僕はシンプルですが軽くて使いやすい、こちらのペン軸をいまだに使っています。
こちらのペン軸は丸ペンもGペンもカブラペンもスクールペンも装着することが出来ます。
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丸ペン専用のペン軸もあるので注意!
漫画のペン軸には丸ペン専用のペン軸と、丸ペンもGペンもカブラペンもスクールペンも装着できるペン軸とがあります。
丸ペン専用のペン軸は装着口が小さいので、丸ペン以外のつけペンをつけることが出来ません。
見分け方はつけペンの装着口を見ることです。
丸ペン専用のペン軸は丸ペンが収まるだけの小さな装着口しかありません。
上の写真が丸ペン専用のペン軸。丸ペン用の装着口一つだけですね。
一方丸ペンも含めて他のつけペンも装着できるペン軸の装着口は以下画像。
ペン軸の装着口に二重の丸があります。
小さいほうの丸が丸ペン用で、大きい方の丸がGペン、カブラペン、スクールペンの装着口になっています。
ペン軸を購入する時はつけペンの装着口を見て、何のつけペンが装着できるかを確認してからにしましょう。
つけペン先
漫画を描くためのペン先はペン軸に装着し、墨やインクなどをつけて描いていきます。
ペン先にはざっくり分けると以下の種類があります。
・Gペン
・丸ペン
・カブラペン(さじペン)
・スクールペン
またつけペンの有名なメーカーとして
・ゼブラ
・タチカワ
・日光
があり、それぞれのペン先で描き味は異なります。
つけペンは使ってると線の描き味が鈍くなってくる消耗品なので、必要なペン先は複数用意しておくと助かります。
つけペンは4本セットのものから、10本入りのもの、100本くらい入っているものなどあります。
まだ漫画制作初心者の方は、色々なペン先を使ってみて自分が使いやすいものを知ることが先決です。
つけペン初心者の方はGペンと丸ペンだけ揃えておけば大丈夫でしょう。
Gペンは少年漫画などで使われることの多いペン先で、筆圧による線の強弱のつけやすいペンです。
丸ペンは繊細な、細い線を引くのに向いたペン先で少女漫画の絵で使われることも多いペンです。
カブラペンとスクールペンは一定した均一な線を引くのに向いています。
初めて使う人にとって漫画のつけペンは難しく感じるかもしれません。
つけペンで絵を描くためにはペンで絵や線を描くこと自体に慣れる必要があるので、たくさん描いて練習しましょう。
つけペンのメーカーによっても描き味は違いますが、僕は主に以下のつけペンを使って制作しています。
4.インクや墨
つけペンで漫画を描く時、黒いインクか墨につけて描いていきます。
色が黒であればインクでも墨、どちらでもOKです。
墨やインクと言えば絵を描くだけでなく、所定の場所を塗りつぶすベタにも使われます。
ベタについては以下の記事に書いてありますので、興味のある方はご覧ください!
僕は以前100円均一の墨を使って漫画を描いていた時があります。
100円ショップの墨で漫画を描いた具合について書いた記事は以下をどうぞ!
僕はインクも墨も使ってきましたが、開明墨汁が一番描き心地が良かったですね。
開明墨汁は漫画の神様、手塚治虫氏も使用されていたといいます。
インクを使うならパイロット証券用インクがおすすめ!
パイロットの証券用インクは速乾性があり、乾くと耐水性になるのでカラー原稿で主線を描くのにも向いています。
また証券用パイロットインクは、ドラゴンボールを描いたあの鳥山明氏が愛用していたインクとしても有名です。
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5.ホワイト
ホワイトは漫画のペン入れをした後はみ出した部分や、間違えて描いてしまった部分を修正する時などに使います。
また白で絵に効果をつけたい時にもホワイトは利用できます。
絵を修正するだけなら修正ペンでも大丈夫なのですが、ホワイトをペン先につけて絵や効果を描くとなると以下の商品が使いやすいです。
ドクターマーチンのペンホワイトは水で溶く必要がないのでペンにそのままつけて使えます。
ホワイトによる描画に最適なホワイトですね。
ただしお値段はほかのホワイトに比べてやや高め。
修正専用のホワイトとして修正ペンや他のホワイトと併用して、ドクターマーチンペンホワイトを使うのも良いかもしれません。
僕はホワイトでは以下の商品も使っていました。
6.漫画専用原稿用紙
漫画専用原稿用紙にはアイシーやデリータなどから販売されており、メーカーによって描き味は異なります。
漫画を描くときに必ずしも漫画専用原稿用紙を使わなければいけないわけではありません。
その気になれば画用紙でもコピー用紙にでも描けますが、これまでの僕の経験上やはり漫画専用原稿用紙の方が描きやすいですね。
漫画原稿用紙には110㎏と135㎏があります。
110㎏は紙が薄いので、初心者であれば厚みのある紙の135㎏が良いでしょう。
漫画原稿用紙でおすすめなのは以下の商品です。
7.直線定規
定規は漫画の背景や建物、効果線などを描くときに必須で使う道具です。
定規はいくつか長さの違うものを持っていると便利!
僕は細かい部分に使う用の20㎝定規と、長いところで使う用の40㎝定規の2つを主に利用しています。
場合によってはもっと長い定規が必要になることもあるかもしれませんが、40㎝定規があれば大体ことたります。
ペン入れで定規を使う時の注意点
漫画のペン入れで定規を使う時は、注意が必要です。
普通に定規を使ってつけペンで線を引くと、こんなことになってしまうことがあります。
びぃぃぃぃっと線を引いて~
あれま!何だこりゃ!
普通に定規を使ってつけペンで線を引くと、インクが定規の下に入りこんで原稿を汚してしまうことがあるのです。
これを防ぐには定規の裏側を上にして線を引くといいです。
定規の裏側を上にして使ってもいいんですが、もう一つ定規の上手い使い方があります。
それが定規の裏面左右に1円玉を張りつけて使うこと!
おろろ、定規に一円玉がくっついてるでござる!
定規の裏面に1円玉をテープで張りつけておくことで原稿と定規のあいだに空間が出来るので、インクが定規の下にしみ込むのを防ぐことが出来ます。
1円玉を貼りつけるのは定規の裏面の方が良いです。
僕は以前1円玉を定規の表面につけていたんですが、この場合インクが下にたまって原稿に落ちる可能性があるからです。
また定規に1円玉を張りつけておくと、ペン入れをしてまだ乾いてない線の上に定規を当てても原稿が汚れないですみます。
この写真の定規は10円玉をつけていますが、生渇きの線と定規の間に空間があるのでインクがこすれません(10円玉の部分が生渇きの線にこすると汚れるけど)。
定規の裏面につけるのは1円玉でも10円玉でも薄く厚みのあるものなら大丈夫。
ただ下描きの線が定規を通して見えるようにテープは透明なものの方が良いし、10円玉よりは面積が小さい1円玉の方が良いでしょう。
定規の裏面に1円玉をつけるとペン入れする時に作業が助かるので、気が向いたら試してみてください!
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8 .雲形定規
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雲形定規は漫画の中で曲線を描きたいときに使う定規です。
雲形定規は様々な曲線が一つの定規に詰め込まれており、それぞれの部分を使って曲線を描いていきます。
ブーメランみたいな形状をしている雲形定規ですが、これで曲線をうまいこと描くのは慣れが必要かもしれません。
漫画の中に出てくる曲線も色々な角度のものがあるので、自分が望む曲線に雲形定規を合わせて描いていきます。
望みの曲線を描けるよう雲形定規を使ってたくさん練習をしてみましょう!
9.筆ペン
筆ペンは漫画制作の際ベタを塗るときに使ったり、キャラクターの髪の毛を描くときに役立ちます。
インクや墨に筆をつけてベタ塗りなども出来ますが、筆ペンはペン先が細くなっているので細かい描画がしやすいです。
先の細い筆ペンは繊細な線のみでなく筆圧を入れることで力強い描画が出来るので、表現力のあるペンだと言えます。
僕は筆ペン自体のインクがなくなったら、そのままインクや墨につけて使用しています。
筆ペンの先がダメになるまで結構長く使えるので、筆ペン自体のインクがなくなったから捨てるというのはもったいないですね。
10.ミリペン
上の写真はコピックライナーと呼ばれるミリペンです。
ミリペンは一定した線を引くのに向いたペンです。
ミリペンのペン先は固めで筆圧によって線に強弱が付くようなペンではないので、均一な線が引けます。
このためミリペンは漫画のコマ枠を描いたり、背景や建物など無機質な対象を描くのに適しています。
もちろんミリペンでキャラクターを描くというのもあり。
ミリペンの太さは色々あって、極細の0.03㎜から1㎜くらいの種類があります。
漫画のコマ枠を描くのであれば0.8㎜がイイですね。
僕は以前極細(0.03㎜)のミリペンを購入して使用していたのですが、どうもペン先がすぐに乾いてしまうことがありました。
細かい線を描きたいなら極細ミリペンよりも丸ペンの方が僕は使いやすいですね。
11.スクリーントーン
漫画でインクなどで描かれたわけではない、灰色の濃淡がついている部分はスクリーントーンが使われています。
スクリーントーンはシール状の濃淡がついた画材で、カッターなどで切り取って原稿用紙に張りつけて使用します。
スクリーントーンを出している有名なメーカーにはアイシーやデリータなどがあり、スクリーントーンの種類はたくさんあります。
それこそ全部のスクリーントーンを集めたら膨大なお金がかかるので、必要なトーンを見極めて購入していくようにしましょう。
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12.トーンナイフやトーンヘラ
スクリーントーンを切るときに使えるのがトーンナイフです。
ただスクリーントーンを切るのにトーンナイフを使わなければいけないわけではなく、普通のカッターでも十分使いやすかったりします!
トーンナイフは普通のカッターよりもソリッドな刃がついているので、トーンカットするときに小回りが利いて切りやすいですね。
トーンヘラ
トーンヘラはスクリーントーンを原稿用紙に張りつけた時に、上からこすって貼り付けを強化する時に使います。
直にトーンの上からトーンヘラでこするとトーンが汚れることがあるので、上に紙などを挟んでこすると良いでしょう。
またトーンヘラはトーンナイフでスクリーントーンを切る際に、「トーンを押さえておく」ときにも役立ちます。
細かい部分のトーンカットは、トーンヘラの角を使って抑えながら切るという使い方もあるのです。
13.羽ぼうき
下描きの線を消しゴムで消した時などに大量の消しカスが出ますが、これを払うときに羽ぼうきが役立ちます。
漫画制作をすると分かりますが、例えば数ページ分の下描きを消しゴムで消すと凄い量の消しカスが発生するのです。
消しカスを手で払ってもいいんですが、手には汗やインクなどの汚れがついていることがあります。
そんな汚れた手で原稿用紙に触ると、後になって消えない汚れがついてしまったりする。
漫画原稿をキレイに仕上げるのも漫画描きの役目だとすれば、羽ぼうきは重宝する道具になります。
アナログで漫画を描くために必要な道具まとめ
ここまでアナログで漫画を描くために必要な道具について書いてきましたが、まとめると以下の道具になります。
1.鉛筆とシャーペン
2.消しゴム
3.ペン軸とペン先
4.インクや墨
5.ホワイト
6.漫画専用原稿用紙
7.直線定規
8.雲形定規
9.筆ペン
10.ミリペン
11.スクリーントーン
12.トーンナイフやトーンヘラ
13.羽ぼうき
究極紙とペンがあれば漫画の世界は生み出すことが出来ます。
なのでいきなり全部そろえようとするのではなく、少しずつ道具を試していきながら必要なものを揃えていくのが良いでしょう。
漫画を描く道具にしても使っていく中で自分なりに描きやすい使用法を編み出していくのがベストだ。
漫画の道具だけを買って満足して、結局漫画は描かずじまいという話もあります。
これでは意味がないわけですね。
漫画を描く人に一番必要な道具は、「漫画を描きたい!」という欲求です。
その漫画を描くために必要な道具を順次そろえていけばいい。
そして色々ある漫画道具を使ってみて、一番自分の手に合う道具を探していきましょう。
僕は色々漫画道具を使ってきましたが、手になじむものは値段や品質に関係なかったりします。
「なんかこれ使いやすいな!」と思ったら、その道具を大切に末永く使っていきましょう!
以下の記事ではスクールペンやカブラペンについて書いていますので、興味のある方はどうぞご覧ください!
以下記事では筆者がデジタル漫画制作で愛用する板タブレットのレビューをしています!