絵の具って何で出来てるのかな?
油絵、アクリル、水彩画…色々絵画はありますが、これらを分ける物は何か?
それは絵の具なのです!
絵の具と言えば絵画を描くために必須…
だけど絵の具って何で出来てるの?
そんな疑問に漫画アート芸術家の筆者がお答えします。
それでは絵画を構成する絵の具の謎に、迫っていきましょう~!
Contents
絵の具って何で出来てるの?
絵の具とは絵画、工芸品等の着色に使う道具のこと。
絵の具を構成するものは3つあります。
①顕色剤→色の元である顔料など
②展色材→顔料を画面に定着させる糊(のり)の役目を果たす。固着剤と溶剤から成る。
●固着剤→顔料を定着させる物質
●溶剤→物質を溶かして均一な溶液を作るもの
③助剤→顔料の乾燥を早めたり、腐らないようにする溶剤
僕たちが目にするチューブ入りの絵の具は、上のものが混ざったものなのです!
絵の具の色の元である顔料
色の元となる素材を、顔料といいます。
顔料は着色するときに使う色のついた粉のことで、水にも油にも溶けません。
同じ顔料でも、水や油に溶けるものを染料といいます。
何で絵の具には色がついてるのかな~?
もともと色がついた物体なのかな~と思っていたあなた。
絵の具は目に見えないレベルで、細かく粉砕された色の粉だったのです!
水彩、アクリル、油彩絵の具を分けるものは?
絵具の中でも水彩、アクリル、油彩を分ける物は何か?
その答えが、展色材に含まれる固着剤の種類にあります。
固着剤は、色の元である顔料を画面(キャンバス、紙、板、壁など)に貼り付ける糊の役目があります。
固着剤がないと色を付けたはいいものの、触れたりすると顔料が取れてしまいます。
固着剤は、絵の具を定着させるうえで必要不可欠なものなのです。
水彩絵の具
水彩絵の具の固着剤は、アカシア樹脂(アラビアゴム)が使われています。
アラビアゴムとは、北アフリカのスーダンに生えているアカシア科の樹木の樹脂のこと。
水彩絵の具は水が溶剤なので、水が乾燥すると紙に定着します。
ただ水彩絵の具は、乾燥した後も水に濡らすと溶けてしまいます。
水彩絵の具は乾いても、水にぬらすと溶けて塗った色に影響が出てしまうのです。
だから水彩画は完成したら水に濡らさないようにしましょうね。
アクリル絵の具
アクリル絵具は、顔料とアクリル樹脂エマルションという固着剤で練られています。
水彩絵の具のように水で溶けるけど、乾燥すると耐水性になります。
乾燥したアクリル絵の具は、水に塗れても絵の具に影響はないんだな
アクリル絵の具は接着力が高いので紙やキャンバスだけでなく、金属、ガラス、コンクリートなどにも描けます。
またアクリル絵具は乾くのが早いので、油絵と違い制作がサクサク進みます。
アクリル絵の具は透明水彩のようにも使えるし、油絵のようなこってりした画面を作ることもできます。
たくさん水をつければ水彩絵の具のようになり、水を余りつけなければ濃い色で塗ることができます。
メディウムを別途で購入すれば厚塗りや光沢、粘度を調整したり、様々な表現ができるのです。
そんなことでアクリル絵の具は、使いやすさで断トツな人気があります。
油絵の具
油絵具は、顔料に乾性油などを混ぜて作られた絵の具のこと。
乾性油は、空気に長時間触れると酸化して固くなります。
このため油絵の具は、絵の具を物体のように使って盛り上げたり、ごつごつした絵肌にすることができます。
水彩やアクリル絵具は描いてまもない内と乾いた後で、色の見せ方が変わります。
水分が蒸発することで、顔料が支持体に張りつき、発色が変わるのです。
油絵の具は、油が酸化すると固くなります。
しかし絵の具自体の体積は変わらないので、塗ったままの色つや状態が維持されます。
油彩絵の具は、油を溶くのも筆を洗うのも石油などを使った溶剤を使用します。
そのため油絵の具を使うと、匂いが強烈。
最近では水で描ける次世代油絵の具も販売されており、水彩絵の具のような感覚で使えて便利です。
日本画の岩絵の具は?
日本画で使われる絵の具は、岩絵の具といいます。
岩絵の具には展色材が含まれていないので、顔料単体だと画面に定着しません。
ここに膠(にかわ)という固着剤を入れて練ることで、日本画の絵の具として使えるようになります。
岩絵の具の顔料は粉砕された時の粒子の細かさで分けられていて、番号で分別されています。
岩絵の具の顔料は細かくなるほど粒子表面が乱反射するので、白っぽい画面となります。
また岩野絵の具の顔料が荒くなるほど、色が暗くなる性質があります。
スポンサードリンク
チューブ入りの絵具は割と最近登場した?
画材屋さんに行くとたくさんチューブ入りの絵の具が置いてありますよね。
チューブ入り絵の具は、いつ頃から使われ出したのでしょうか?
現在のようなチューブ入りの絵の具は、19世紀になって開発されました。
中世やルネサンスの時代、絵画は職人たちの共同作業で作られるものもありました。
絵の具造りは、弟子になりたての人が担当して作っていたようです。
18世紀中頃になると、絵だけでは生活できない画家たちが絵の具造りの商売を始めます。
この流れで19世紀に、チューブ入りの絵の具が発明されました。
チューブ入り絵の具は、持ち運びしやすいというメリットがあります。
それまで室内で描いていた画家はチューブ入り絵の具を持って、外での制作に繰り出しました。
こうしてカミーユ・コローなどバルビゾン派の画家が、自然を前にして絵を描くようになります。
外で絵を描く流れは、モネなどの印象派の誕生につながっていきます。
絵の具は何で出来てる?の最後に
ここまで絵の具は何で出来てるのかについて、見てきました。
絵の具は「顔料+展色材+助成材」で出来ています。
展色材の中に含まれる固着剤の違いが、水彩、アクリル、油彩の違いを生んでいます。
絵の具はいろいろな種類がありますが、どれが自分に合うかは使ってみないとわかりません。
筆者は油絵の具も水彩絵の具もアクリル絵の具も使ったことがあります。
中でも一番好きなのは油絵の具です。
なぜなら色合いの美しさ、艶、表面のマチエール、色味の深さが、飛びぬけて魅力的だからです。
以下に筆者が油絵の具とアクリル絵の具と水彩絵の具で描いた絵を載せてみます。
下の画像は筆者が油彩で描いた「幻想の木」という絵。
アクリル絵の具で描いた絵は以下。
アクリル絵具は乾くのが早いから、うかうかしてるとすぐ固まってしまいます。
ちょっと食事で間を空けてる間も乾燥しちゃうので、使う時は必要量だけを出して使いきるようにすると良いです。
以下は、筆者が透明水彩絵の具で描いた絵。
透明水彩はほんのり淡く、うっすらした空気感が描きやすい絵の具です。
幻想的な感じが出したい時に、ぼくは使うことが多いです。
様々な色が取り揃えられている絵の具たち。
絵の具が何で出来てるかが分かると絵の見方、描きかたが変わってくるかもしれません。