ホラーとスペンスの違いって何かな?この2つって似てる気がするのよね~
ホラーは、人に恐怖を与えて楽しませることを目的に作られたジャンル。
ホラーに近い概念に、サスペンスがある。
果たしてホラーとサスペンスの違いとは何なのか?
筆者はホラーやサスペンス作品が好きで、ホラー系漫画も描く漫画アート芸術家。
ホラーやサスペンス作品を描くためには、これら要素の違いを把握している必要がある。
そんなホラー&サスペンスを愛する筆者がホラーやサスペンスについて、ホラーとサスペンスの違いなどを解説していこう。
Contents
ホラーの恐怖とは?
ホラーは、人に恐怖を感じさせるジャンルの創作だ。
恐怖とは、人間や動物が持つ感情の一つ。
自分に危険な事態が起こり、それに対処することができないときに起こる感情が、恐怖と言われている。
僕たちは「怖い」という言葉を使うけど、怖さとは一体何か?
人が恐怖を感じると、以下の症状が起こるようだ。
●その状況から退避しようとする
●心拍数が増える
●血の気が引く
●発汗、震えやマヒ状態が起こる
怖さの起こる仕組みが分かれば、それを漫画などの創作に取り入れてホラーを生み出すことができる。
そんなこともあり僕は「恐怖」について調べてみた。
人は以下の状況の時に、恐怖を感じるという。
1:未知なものに対する恐怖
2:闇に対する恐怖
3:死の恐怖
4:強大な存在に対する恐怖
以下から、一つ一つホラーの要素をみていこう。
ホラーの要素1:未知なものに対する恐怖
人が恐怖を感じる要素に「未知なものに対する恐怖」がある。
例えばホラーの代表格と言える幽霊。
人通りの少ない夜道を車で走っている時、ふとバックミラーに映った後部座席に座る女の姿。
振り返ると誰もいない…
この状況は…怖い。
なぜ怖いかと言えば、「女がバックミラーに見えた理由が分からない(未知)」からだろう。
バックミラーから後部座席に女が見えたのに、後ろに誰もいないのはなぜなのか?
この場合、バックミラーに映った女は未知な存在である。
未知な存在に対して、人は恐怖を感じる。
もう一つ例を挙げよう。
夜道を一人で歩いているとする。
向こうから人影のようなものが、こちらへ向かってくる。
近づく内に影は大きくなり、見上げるような大きな影が目の前に立っていた…。
この場合、目の前にいる大きな影に恐怖を感じるだろう。
でも相手が何なのかは分からない。
このように対象が何だか分からず気味の悪い現象に対して、人は恐怖する。
夜道で出くわした謎な影が、となりに住んでるおばさんだとしたら、怖くない。
となりに住んでるおばさんは、知っているからだ。
その対象が何者か分からないから、人は恐怖を感じるのだろう。
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ホラーの要素2:闇に対する恐怖
人は暗いところを、怖いと感じる。
例えば電灯一つない夜の墓場、真夜中の学校、真夜中の山深い湖…などはホラー作品で使われやすい。
暗さが恐怖を感じさせる理由は、まわりの状況を把握できないからだ。
同じ学校でも人がたくさんいる昼間では、怖さを感じない。
これは明るいために、遠くまで見えて安心感が持てるためといえるだろう。
しかし真っ暗で薄気味悪い場所に自分1人だったら、怖い。
深い闇は、恐怖を生むかっこうの題材である。
場面を暗くするだけで、何かしら怖さを感じさせられる。
だからホラー映画は、暗い場所が舞台になることが多いのだろう。
3ホラーの要素:死の恐怖
人は、死を恐れる。
なぜなら死という状況が、どんなものか分からないから。
死んだら人はどうなるのか?経験した人はそういないだろう。
臨死体験は本や人づてに聞くことはあるけど、確認しようがない。
死を体験したことがないので、想像できない…
死は、未知に対する恐怖なのだ。
痛いのか、安らかなのか、諦めなのか、人によって感じ方は違うだろう。
しかし厳然と存在する死。
死を扱うことで、恐怖を表現できるのがホラーだ。
死んだ後はどうなるかわからないから、「未知に対する恐怖」が存在する。
ホラーの要素4:強大な存在の恐怖
人は自分からみて強大な存在に対して恐怖を感じる。
例えば
●人気のない山奥で一人のとき、巨大なクマに襲われる
●乗っている飛行機がテロリストにハイジャックされる
●山奥で猟奇殺人鬼の怪物と遭遇し、ナタを振り回される
上の様に自分の力で相手をコントロールできない危機的状況の時、人は恐怖を感じる。
自分の命は、相手にゆだねられているという状況だ。
恐怖を感じる対象に抵抗できないと、怖さを感じる。
自分が恐怖の状況に陥るのは、多くの方が嫌がるだろう。
しかし誰かが恐怖の状況に陥る様子を、安全な場所から鑑賞するなら、ホラー作品として楽しめる。
「自分が安全な場所から鑑賞」できれば、怖さはエンターテインメントになるのだ。
映画や漫画、小説などなら、客観的に恐怖が楽しめる。
自分に危険は及ばないという安心感があるから、恐怖をみたい欲求にかられる。
今はいろいろなメディアがあるから、自分が危険にさらされなくても、恐怖を体感することができる。
だからホラーという創作ジャンルは栄えたのだろう。
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サスペンスとは?
サスペンスとは不安感や緊張感など、宙づりにされたような不安定な心理状態を描いた作品のこと。
「観客の心を宙づりにする」ことからサスペンスの語源は、ズボンのサスペンダーから来ていると言われる。
サスペンスでは観客の心を緊張させ、不安にさせる。
不安や緊張感を持たせるから、話の続きが気になり、思わず作品を観てしまう。
このような形態の作品は、サスペンスといえる。
視聴者の心理を不安にさせることで、物語の最後や続きに関心を持たせる作品全体を、サスペンスと呼ぶこともある。
「この先どうなるかな?」とハラハラさせる緊張感が主題にあれば、それがアクションや西部劇でもサスペンスといえるだろう。
例えば絶海の孤島に閉じ込められた8人の男女が、毎日1人ずつ消えていく。
どうやら恐るべき殺人鬼が潜んでいるらしい…
これはサスペンスに含まれる。
●目の前に危機が迫っている、生き残れるのか?
●密室に閉じ込められた、この先どうなる?
●得体のしれない存在から追跡される、この後どうなっちゃうの?
…など観客に対して、不安やドキドキをフックにして続きに関心をもたせるものがサスペンスだ。
サスペンスといえば、イギリスの映画監督ヒッチコックが有名。
サスペンスとは何かを知りたい人は、ヒッチコックの名作映画を観ると良いだろう。
以下の記事では筆者が感じるホラー&サスペンス系映画のベスト10を書いている。
なかにはサスペンスの巨匠ヒッチコックの映画も入っているよ!
僕はサスペンスの手法が好きで、漫画に取り入れることがある。
不安感やドキドキ感は非日常的で、物語の続きを読みたくさせる誘惑があると思うからだ。
不安を感じるような場所、ヤバい状況、先行き不透明な状態に主人公を置く。
その主人公は、これからどうなるのか?
作者も主人公と同じ心境になると、主人公が次にとる行動が見えてくる。
そんなサスペンスの要素は、物語を面白く感じさせる大切な要素だ。
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ホラーとサスペンスの違い
ホラーとサスペンスの違いは「超自然的な恐怖」か、「現実的に直面した恐怖」かにあるだろう。
ホラーが超自然現象的で未知な存在に対する恐怖なら、サスペンスは現実的な状況で体験する不安感による恐怖と言えるかもしれない。
例えば人が落とし穴に落ちて、悪霊に襲われる物語なら、それはホラー。
落とし穴に落ちたら地下世界を発見し、生きて戻れるか不安感を感じさせる要素が主題なら、サスペンスだ。
ホラーにあるのは、人間ではない未知な存在。
「13日の金曜日」のジェイソンや「オーメン」のダミアンなど、人知を越えた不可解な存在が登場する。
幽霊もその正体が分からないために人間に恐怖を起こさせるから、ホラーに属する。
ホラーは、視聴者に恐怖そのものを感じさせることが目的のジャンルといえる。
サスペンスは人間心理の不安や緊張、ドキドキな状況を感じさせて、先を見たいと思わせるジャンルだ。
なのでサスペンスは、恐怖の対象が人間であることが多い。
あらかじめ殺人鬼が誰かを視聴者に知らせておいて、主人公と絡ませることによりハラハラさせるような展開が、サスペンス作品にはある。
「刑事コロンボ」は、典型的なサスペンスドラマだ。
ホラーとサスペンスが合体した、ホラーサスペンスというジャンルもある。
超常現象的な恐怖があり、かつ緊張感を刺激して先を見たいと思わせる作品だ。
サスペンスホラーは、ホラーとサスペンスの要素が同時に存在するジャンルといえる。
サスペンスホラーは、ホラーとサスペンスのどちらの要素が大きいかで、作品の方向性も決まるだろう。
未知の超常現象による恐怖が優位にあれば、ホラー要素の強いサスペンスになる。
主人公が死ぬピンチを何度も切り抜け、ドキドキさせることに注目させるなら、サスペンス要素の強いホラーとなる。
ホラーとサスペンスを知ることで、物語作りが面白くなる
僕はこれまでたくさんのホラー、サスペンス系の作品に接してきた。
人間には「怖いものが見たい」という好奇心があり、ホラーに惹かれる人が大勢いる。
サスペンスの要素は、物語を最後まで読んでもらうために必要なスパイスだ。
主人公に共感を持たせた上で、サスペンスを仕掛けるのだ。
すると「この先どうなるだろう?」という心理が、物語の先行きに関心をもたせる原動力になる。
サスペンスやホラーの要素は、いろいろな物語で使われている。
今度サスペンスやホラー系作品に接する時は、両者の違いを意識してみると面白いかもしれない。
ホラーとサスペンスの違いのまとめ
ホラーとサスペンスの違いや、性質についてみてきた。
ホラーは、超自然的な存在に対する恐怖。
例えば幽霊やジェイソン、悪魔やゾンビなどが、ホラーの恐怖を象徴する存在だ。
サスペンスはこの先どうなるか分からない不安感をあおり、緊張させることによって物語の続きに関心を持たせるジャンルだ。
ホラーでは未知な存在が登場するが、サスペンスでは人間世界が描かれることが多いという違いがある。
サスペンスの目的は観客の心を宙吊りにし、不安や緊張を感じさせることによって、関心を持続させようとするもの。
ホラーは、恐怖そのものを楽しんでもらうジャンルといえる。
恐怖を楽しんでもらうためなら、現実離れした展開も登場するホラー。
「恐怖」は、人間だれもが持つ感情。
危険な事態が起きて、それに対して対策がとれないとき、人は恐怖を感じる。
人が恐怖を感じる4つの要素は、以下だ。
●闇に対する恐怖
●死の恐怖
●自分にとって強大な存在に対する恐怖
ホラーとサスペンスの違いや見分け方は~
●サスペンス⇒ある状況から生まれる緊張や不安定な心理状態が作品の核にあり、それによって先の展開が気になりだしたらサスペンス
●ホラー⇒人知を超えた不可思議な現象があり、恐怖を感じさせることに作品の目的がある場合はホラー
またサスペンスとホラーの要素が同時にある場合は、サスペンスホラーとなる。
以下の記事ではホラー映画が好きな人の心理や特徴について書いているので、興味のある方はあわせてどうぞ♪