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キュビズムとは何?ピカソ達が生み出した20世紀の革命的表現に迫る

投稿日:2016年12月12日 更新日:

ピカソ,キュビズム

あなたはキュビズムという言葉を聞いたことがあるだろうか?

20世紀の美術史上を革命した絵画運動である。

 

キュビズムの創始者の一人がスペイン生まれの芸術家パブロ・ピカソ。

 

ピカソはフランスの画家ジョルジュ・ブラックと手を組んでキュビズムの手法を開拓していった。

 

キュビズムを切り開いた記念すべき作品が、ピカソによって発表された油彩画「アヴィニョンの娘たち」。

 

ここからピカソたちのキュビズム革命が始まっていく。

 

ここではピカソとブラックが創始した20世紀の革命的表現、キュビズムについて迫っていこう!

 

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仲間からも否定されたアヴィニョンの娘たち

ピカソ,キュビズム

 

ピカソは1907年アヴィニョンの娘たちによってキュビズム革命を行った。

ピカソはアヴィニョンの娘たちを描いたとき、すぐには発表しなかった。

 

あまりにもこれまでの美術とかけ離れているために、理解されるのが難しいと思っていたのかもしれない。

 

実際、画家仲間のなかには「ピカソはいつかアヴィニョンの娘たちの裏で首を吊るだろう」なんて陰口をたたいたものまでいた。

 

それくらいアヴィニョンの娘たちは革命的な表現だったのだ。

 

しかしブラックはピカソが描いた絵画の革新性に気がついていた。

そのためブラック自身もキュビズムの手法を使って絵を描きだすようになる。

 

キュビズムが生まれる前の美術状況

キュビズムが起こる以前の美術といえば、モネやルノワールなどの印象派の画家たちがいた。

 

その後印象派の流れをくんだ画家たちが活躍する、後期印象派が登場する。

後期印象派といえばゴッホやゴーギャン、セザンヌやスーラなたちのこと。

 

他にはゴーギャンの影響を受けたナビ派という絵画運動も誕生している。

 

ゴッホやムンクから形態や色彩を自由に使って表現することを学んだ画家たちは、20世紀初頭にフォーヴィズム(野獣派)という絵画運動を始めた。

 

フォーヴィズムの代表者はマティス、アンドレ・ドラン、ヴラマンクなどがいる。

 

原色を使い、対象は激しく歪み、自己表現の極致と言えるような大胆な表現で描かれるフォーヴィズム。

 

その一方でフォーヴィズムの感情的すぎる表現に対抗するような勢力が生まれた。

 

それがキュビズムである。

 

キュビズムは感情を抑止したような、幾何学的な形態の作品が多い。

 

フォービズムが色の面で絵画を革命をしたとすれば、キュビズムは形態の革命したといわれることもあるようだ。

 

キュビズムはどんな絵画?

キュビズムとは一体どんな絵画だろうか?

一見するとわけの分からない形の集まりのように見えるキュビズムの絵画。

 

しかしそこにはキュビズム独自の絵画様式がある。

以下からキュビズムの絵画様式について見ていこう。

 

1.キュビズムは遠近法を無視している

まずキュビズムは単一焦点の遠近法を無視している。

 

遠近法といえばルネサンスの時代から続いてきた、遠くの方へ行くほどモノが小さく見えてくるという描きかたのこと。

漫画の背景でも遠くにあるものほど小さく描かれるので、距離感を感じさせることができる。

 

ルネサンスからピカソの時代まで約500年近くつづいてきた遠近法を使った絵画。

絵を描くうえで当たり前だった遠近法を、ピカソ達は無視して絵を描いたことになる。

 

これは大いなる絵画の革命と呼べるだろう。

 

2.キュビズムは複数の視点を絵画に入れて画面を再構成した

キュビズムの絵画には複数の視点が入っている。

 

ふつう人は1つの視点から絵を描くだろう。

 

例えばリンゴを描くとすれば、リンゴの正面から描いたらそこから見えた視点で絵を描ききる。

リンゴを真正面から描いていたら、リンゴの裏面は見えないだろう。

 

でもキュビズムの絵画では一つの画面に複数の視点が存在する。

真正面から見えるリンゴと同時に、斜め上から見えるリンゴが描かれてもおかしくないということだ。

 

そしてキュビズムでは画面に複数の視点を入れて、画面を再構成している。

複数の視点が一つの絵に入ることで奇妙な歪みが生じ、画面自体を新しく構築しなおしているということ。

 

目に見える風景をただ写すのではなく、複数の視点を入れて画面の見え方を変えるという描き方だろう。

 

多視点から対象を描くことで、新しい見えかたに再構築してキュビズムの画家は表現を行ったのだ。

 

ピカソの「泣く女」など顔が奇妙に歪んで描かれているのは、キュビズムのこのような理由による。

 

3.キュビズムは形態を分解する

ピカソ,キュビズム

 

キュビズムの絵画は形態を分解して、それぞれの要素を単純化したり抽象的に描いたりする。

 

例えば車を描くとしたら車の本体、タイヤ、ハンドルと形態をバラバラにする。

そのうえで車の本体は単純な形にして、タイヤは三角形にして、ハンドルは奇妙な線にして、パズルのように再構築して絵を描くような感じといえるだろう。

 

もはやキュビズムでは描く対象の形が、元の姿をとどめていない。

 

キュビズムの画家たちは、対象の外見を描き写したいわけではなかった。

対象の持つ要素を分解し、変形し、組み立て直すという、子供がおもちゃで遊ぶように斬新な絵画の創作法だったのだ。

 

4.キュビズムは色々な分野の表現に影響を与えた

ピカソ達が創始したキュビズムは絵画だけにとどまらず、いろいろなジャンルの表現にも影響を与えた。

 

彫刻やデザイン、写真や建築などへもキュビズムは波及していく。

 

20世紀の美術運動のなかでも、ロシア構成主義や未来派、抽象絵画は特にキュビズムの強い影響を受けていた。

このキュビズムの流れがパピエ・コレやコラージュ、アッサンブラージュなどの表現へもつながっていった。

 

キュビズムがしたかったこと

ピカソ,キュビズム

 

キュビズムの絵画は批評家たちから「キューブの集まりのようだ」と言われたことがある。

それもそのはず、キュビズムは幾何学的な形が寄せ集まって奇妙な画面を作り出しているのだから。

 

では、キュビズムは一体何をしたかったのか?

 

キュビズムは現実にある対象を、絵画という二次元の世界に再構成して表現する絵画手法だった。

 

後期印象派のゴッホやゴーギャンたちは、対象の色や形を極端に主張して描いた。

しかしピカソたちは形態を解体して、組み立て直すという方法に出る。

 

まるで子供がおもちゃをバラバラにして、別の何かに組み立て直すような創作法だ。

そしてそこには画家の意図した表現がある。

 

キュビズムで描く場合、対象は画家が創作を行うきっかけに過ぎないのかもしれない。

対象は形態を崩され、形は変形されて、画家の意図に沿った形で絵画になっていく。

 

キュビズムはなんと革新的な描き方だろうか!

 

ピカソやブラックにとって絵画は現実を写すものではなく絵画それ自体の世界観を追求していくものとなったのだ。

 

キュビズムが生まれるきっかけとなった画家とは?

ではキュビズムに影響を与えたものは何だったのだろうか?

 

それが19世紀フランスの後期印象派の画家、ポール・セザンヌだった。

 

ポール・セザンヌ

ポール・セザンヌの肖像

セザンヌは「自然を円錐、円筒、球体によって処理する」という言葉を残している。

 

印象派の絵画は光の移り変りをキャンバスにとどめようとする絵画様式だった。

セザンヌからしたら印象派の描き方は、単なる自然のコピーに映ったのかもしれない。

 

セザンヌは自然の模倣から抜け出し、絶対不変な自分の感覚による絵画を作ることを目指した。

 

その結果、セザンヌは以下のような斬新な絵画表現をおこなう。

 

・一枚の絵に複数の視点を入れて絵を描く

・対象を丸や三角や四角など幾何学形態としてとらえた

・対象の一瞬のうつろいを描くのではなく、絶対不変な存在感を描こうとした

 

 

これを見るとまるでキュビズムの絵画のようだ。

 

まさにピカソ達はセザンヌの革新的表現に影響を受けて、キュビズムを生み出した。

 

ピカソが「近代絵画の父」と呼んだように、20世紀美術を代表する美術運動に影響を与えていたのがセザンヌだった。

 

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キュビズムに影響を与えた彫刻とは?

もうひとつキュビズムの誕生に影響を与えたものがある。

 

アフリカ彫刻である。

 

ピカソ,キュビズム

 

どことなくキュビズムを思わせるような形態感を感じさせるアフリカ彫刻。

 

実際アヴィニョンの娘たちにはアフリカやオセアニアの彫刻にインスピレーションを得て描かれたあとが見つかっている。

 

ピカソはアフリカ彫刻のような原始的な美術に惹かれる傾向があった。

物事の本質を表現しようとするとき、原点に戻ることが必要になるのかもしれない。

 

原始的なアフリカ彫刻といえば、ピカソの時代よりはるかに以前のこと。

そんな原始的彫刻からも発想を得るあたりに、プリミティブ(原始的)芸術の奥の深さを感じる。

 

 

原始的美術とセザンヌの影響、この二つが融合して創造されたのがキュビズムなのである。

 

 

キュビズム絵画の時代的変貌

ピカソ,キュビズム

キュビズムにも時代によって様式の違いがある。

 

一番初めのキュビズムは「セザンヌ的キュビズム」と呼ばれる。

セザンヌ的キュビズムは後の分析的キュビズムといっしょくたにされることもある。

 

セザンヌ的キュビズムでは描く対象が、立方体みたいに単純化されていった。

人間でも風景でも動物でも、描く対象は単純な幾何学模様に変換されて描かれていく。

 

次に来るのが1909年頃から始まる「分析的キュビズム」である。

ピカソは画面の3次元の対象をいかに2次元に映していったのか?

 

ピカソがたどり着いたのは対象を幾何学的な細かい断面に分解して、モザイクのように重ね合わせていく手法だった。

 

描かれる対象はバラバラに破壊、分解されて組み立て直されていく。

 

色や光を抑制し、線と面による画面の構築に主眼がおかれた表現法が分析的キュビズムだ。

 

 

しかしこのように描かれる分析的キュビズムの画面は何が描かれているのか分からないものになっていく。

 

ピカソもブラックもキュビズムで奇妙な絵を作るようにはなったけど、完全な抽象画には生涯いかなかった。

 

あくまで現実にある対象をもとにして絵を描く画家だった。

 

例えばシャガールならば幻想的なイメージを絵に描いている。

空想の世界を描いているような感じで。

 

でもピカソはキュビズムで対象の形態は破壊しつつも、あくまで現実の対象の痕跡をとどめている。

 

ピカソは現実を描く画家だったのだ。

 

実はファン・ゴッホも同じである。

ゴッホも現実にある対象物を描く画家であった。

 

この点でピカソとゴッホは現実に基礎を置くレアリストであったと言える。

 

総合的キュビズムとロココ的キュビズム

ピカソ,キュビズム

 

1912年頃になるとキュビズムにも変化が現れる。

この時期を「総合的キュビズム」と呼ぶ。

 

総合的キュビズムの時代ピカソはパピエやコラージュという表現も始めている。

パピエ・コレでは作品のなかに、新聞紙や雑誌などの紙、壁紙、木片などをはりつけたりする。

 

新聞紙や壁紙などを現実にあるものを絵画のなかに持ち込んで、画面に現実との接点を維持した。

 

ピカソ,キュビズム

 

絵の中に文字を書いたり、糊で紙をはりつけたりなど、従来の絵画とはより異なる方向性に向かっていった。

 

さらに総合的キュビズムの時代には、画面の中に色彩も復活した。

 

それまでのキュビズム絵画は光や色味をおさえたような描き方が多かった。

 

しかし総合的キュビズムの時代になると、色による主張も始まったのである。

 

1914年頃になると「ロココ的キュビズム」の時代が来る。

 

ピカソはロココ的キュビズム時代、緑を多く使用して飾り物のように優美な作品を作るようになる。

この時代のピカソ作品がロココ時代の絵画のように優美なことから、ロココ的キュビズムと呼ばれるようになった。

 

 

 

キュビズムは対象を知覚でとらえて再構成した絵画

キュビズムは感覚に訴えるフォーヴィズムと対極に位置し、知覚に訴えることを意図した絵画といえるかもしれない。

 

キュビズムによって画家は目で見た世界を描くものではなくなった。

画家が見る対象を、知覚を通してとらえた世界を描くようになったのだ。

 

ピカソの時代、絵画は対象を模倣するのではなく、自立した絵画独自の存在価値を見出し始めたのだ。

キュビズムでは対象に似ているからとか、美しいとか、上手く描けているからという絵画の評価基準ではなくなったといえる。

 

ピカソたちのキュビズムはあくまで現実にあるものを発端にして創作がすすめられた。

しかしそれによってできた絵画は、現実とは結び付かない奇妙な画面になっていた。

 

このとき、絵画はそれ自体の存在意義を主張するようになったのだ。

 

最後に

ここまでピカソ達が創始したキュビズムについて見てきた。

 

20世紀モダンアートを決定づけた記念碑的作品、アヴィニョンの娘たち。

この作品からキュビズムの革新は始まった。

 

「アヴィニョンの娘たち」は現代においても解釈や論争が絶えないが、いつまでも新鮮な感動を与えてくれる。

 

ピカソとブラックが切り開いたキュビズムはのちの画家たちに大きな影響を与え、多くの追随者を生み出した。

 

フェルナン・レジェ、ファン・グリス、ピカビアなどがピカソたちの後に続いた。

そこからピュリスム、イタリアの未来派、ダダイズムや新造形主義にまでキュビズムの影響は発展していく。

 

キュビズムの影響は絵画の分野だけにとどまらない。

その後の彫刻、広告、ロックンロール、漫画といった20世紀を代表する表現媒体にまで何らかの痕跡を残している。

 

ここを見るとき、キュビズムでピカソたちがいかにすごい発明をしたかが分かる。

 

アヴィニョンの娘たちでキュビスムが切り開かれる2年前、アインシュタインが世界を変える発明をした。

1905年の特殊相対性理論の発表である。

 

歴史を変える発明は、ある一個人の天才によって生まれている。

僕はこの不思議な創造性にいつも尽きない興味をそそられる。

 

 

絵画の歴史を変えたピカソの自己表現、その考え方とは!

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