画家が習作を重ねるのは、自分らしい絵のスタイルを見つけるためなのではないか?
ふとそんなことを思った。
僕は画家活動をすることもあり、この時期(2017年8月頃)たくさん習作となる絵を描いていた。
そして上の結論にいたったのだ。
画家は習作を通して自分らしい絵のスタイルを見つけるのではないかと。
この記事では筆者が自分らしい絵の作風を生み出すために行っている活動を紹介していこう。
Contents
何の画家なのか?
僕は絵の中でも油絵が好きなので、油絵を描いていることが多い。
これまで水彩画、アクリル画、パステル、色鉛筆など様々な画材を試してきた末に、最も好きな画材が油絵だと判明した。
僕は18歳の頃に油絵を始めたけど、ずっと油絵だけを描いていたわけではない。
僕は小学校一年生の頃から漫画を描きだし、14歳の頃には音楽に目覚めギターや歌の練習をするようになる。
18歳の時絵画を知り油絵を始めた後も、デザイン、詩やイラストなど様々な表現を試してきた。
自分に本当に向いた表現は何なのか?を知る為に興味のある表現には全て手を出していたのだ。
色々な表現に手を出して、最終的に残ったのが漫画と絵画(油絵)だった。
絵画と言っても油絵を描いたのは20代前半頃で、その後は主にアクリルや水彩絵の具を使って絵画制作をしていた。
そして5~6年くらいの長いブランクを経て2016年3月頃に油絵を再開した。
それまでアクリルや水彩で絵を描いていたけど、油絵はそれらの画材とは違うので、使いこなせるようになる為の練習が必要だった。
絵や漫画を独学で学んだ芸術家
僕はこれまで漫画も絵画も誰かに教わることはなかった。
絵画や漫画などの表現は人から教わるものではないと思っている。
もちろん技術的な事は人から教わった方が効率が良いけど、技術だけを学ぶなら他にもたくさん方法はある。
絵を描く為の技術というのは深く探求して作品制作を積み重ねる中で、自然についてくるものなのだ。
表現者において最も大切な事は自らの内にある真実を知り、それを作品として表現出来るようになること。
この表現者にとって核となる重要な事は学校も他の人も誰も教えてくれない。
自分が何を表現すれば良いかが分かるのは他ならぬ自分のみである。
そんな事から僕は絵の師を持つ事はなく、もっぱら独学で絵や漫画を学んできた。
いや、あえて僕の師を上げるとすればファン・ゴッホ、セザンヌ、ピカソ、ミケランジェロ、モーツァルト、ジョン・レノン。
彼らの生き方や作品に心底共鳴するし、素晴らしいと思う!
この感動が絵や漫画の創作活動にかりたたせてくれる。
ダイソーの小さいキャンバスボードで油彩画を描く
ダイソーという100円均一のお店に14㎝×18cmの0号キャンバスボードが3枚セット100円で売っている。
僕はこれを使って絵画の実験を行っている。
小さいサイズのキャンバスボードなら試したい表現がピンポイントで練習出来るからだ。
また絵画表現の実験をする時は、完成を意識して細部まで描写すると時間がかかるので、望みの部分さえ描けたらそこで作品は完了する。
絵画の実験を行う目的は、様々な描き方を試す中で自分独自の描き方を見つける事にある。
なので一枚の絵の完成度にはこだわらず、個々の絵はオリジナルスタイルを築くための練習台として描いていく。
ピカソはゲルニカやアヴィニョンの娘達という独自の絵の作風を生み出す前、大量の習作を重ねていた。
ピカソがアフリカ彫刻のデッサンや形をねじ曲げた人間を描いたドローイングなどが大量に残されている。
これらは全てキュビスムという絵のスタイルを誕生させる為に必要な土台と言える習作なのだ。
ファン・ゴッホもフランスで印象派や浮世絵の影響を受けたくさんの習作を重ねたからこそ、アルルにてファン・ゴッホ様式の絵画を生み出す事が出来た。
オリジナルな絵の作風は一朝一夕で出来るものではない。
長い間の試行錯誤の末にようやく手に入るものなのだろう。
だから僕は小さなキャンバスボードを使って、油彩の習作を重ねている。
こうしてたくさんの習作を重ねながら自分らしいスタイルの絵を模索しているのだ。
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画家は習作を重ねながら自分らしい絵の作風を見つける
画家はどうやって独自の絵の作風を築いていくのか?
それは人それぞれ違うだろう。
しかし僕が美術史上に残る巨人達を研究する中で分かった事は、たくさんの習作を重ねながら徐々にオリジナルスタイルの絵画を生み出していたということ。
オリジナルな絵の作風を築きたければ、様々な絵画を描く実験期間が必要になるだろう。
ここから自分らしい作風を生み出すためにやってみるとよいことについて書いていこう!
1:可能な限り様々な表現を試してみる
出来る限り様々な表現方法で絵を描いてみる、これが先決。
というのはオリジナルな絵画様式を生み出す為には「自分がどんな描き方が出来るのか?」を把握しておく必要があるからだ。
様々な絵を試す中で、自分にはどんな描き方が向いているのかが分かってくる。
●細密描写が得意なのか?
●人の顔を描くのが得意なのか?
●風景を描くのが得意なのか?
●抽象画を描くのが得意なのか?
自分という表現者が持つ特性を知り、それを最大限生かしていく為にもどのような絵を描く事が得意なのかを把握することが大切。
だから僕は風景でも人の顔でも花でも色々描いている。
様々な絵の表現法を試すことで、自分の向かう絵の方向性を見定めていくのだ。
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2:自分には出来ない事をやる
かつてパブロ・ピカソは言った。
「私はいつも自分が出来ない事をしている。そうすればそのやり方が学べるからだ」
これは大切な言葉だ。
なぜなら自分が描ける絵だけ描いていたら、そこで成長は止まってしまう。
真の芸術家は常に進歩している。
これまでの自分には出来なかった事に挑戦する事により、不可能だった表現を手にできるだろう。
芸術の未知に挑戦することで新しい何かが生まれてくるのかもしれない。
ピカソはそんな冒険的な精神を持っていたから、キュビズムという美術の革命を行う事こと出来たのだ。
これは弱点をカバーせよという事ではない。
弱点をカバーしてその他大勢と同じレベルになっても、芸術においては何の意味もない。
芸術において重要なのは、誰も追随する事の出来ない鋭い牙となる個性を持つ事だ。
だから徹底的に長所を伸ばすべきなのだ。
自分の長所を最大限に伸ばし、より先にある未知な領域へも足を踏み込める冒険心を持てという事をピカソは言っている。
3:巨匠から学び自作に取り入れる
僕は自分らしい絵を描くために、良いなと思う巨匠の描き方を吸収している。
具体的には模写を行ったり、好きな画家の描き方を取り入れて絵を描いたりする。
これら巨匠の描き方を学ぶメリットは、自分の中に様々な画家の表現法をインプット出来る点にある。
僕は美術の巨匠達を研究する中で、オリジナルな絵画スタイルは沢山の習作や模写の上に成り立っているという事を知った。
例えばセザンヌはセザンヌ様式に行きつくまでにドラクロワやルーブル美術館での模写を行い古典絵画を勉強していた。
ファン・ゴッホは生涯に渡り敬愛するミレーやレンブラント、ドラクロワ、浮世絵などの模写を行い、それを自作の絵画に生かしている。
ピカソが初めてのピカソ様式である「青の時代」を完成させるまでにベラスケス、エル・グレコ、ロートレック、シャヴァンヌ、ゴッホ、ゴーギャンなど様々な画家の要素を反映させた絵を描き、それらを統合するようにして自分のスタイルを生み出している。
ゼロからポンっとオリジナルスタイルの絵画が生まれてくるのではない。
自分様式のスタイルはこれまで吸収してきた様々な作家の要素に自分の表現や体験が混ぜ合わされ、化学変化を起こした末に生まれる。
好き嫌いを問わず様々な作家の作品に接し、研究する。
そこに自分独自の解釈を混ぜることで、オリジナルなアートや漫画の様式は生み出されるのだ。
全ては日々の小さな習作の積み重ねにかかっている。
一枚一枚の習作は絵画のオリジナルスタイルを構成する為に必要不可欠な土台であり、作品なのだ。
最後に
画家の作風はひらめきでパッと浮かぶというより、模写や習作の積み重ねという地道な活動から生まれる。
誰が見てもあの人だ!と感じられる作風の裏には画家の試行錯誤が存在するのだ。
僕も今自分の絵の作風を生み出そうと取り組んでいる。
ブログはある人間の活動をリアルタイムで届けられる素晴らしいツール。
一人の表現者がいかにして作風を生み出し、絵画と漫画を組み合わせた新しい創造を行うのか?
そんな流れをブログに残していきたい。