2016年10月15日 東京にある上野の森美術館にて「デトロイト美術館展」をみてきた。
上野のデトロイト美術館でひときわ印象に残ったのが、ドイツ表現主義の部屋だった。
ここでは上野の森美術館で見てきたデトロイト美術館展ドイツ表現主義絵画をみた感想を書こう!
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上野の森美術館でみたデトロイト美術館展の感想!
上野の森美術館は東京上野にある美術館で、僕ははじめてこの美術館に訪問する。
デトロイト美術館とはアメリカのミシガン州デトロイトにある美術館のこと。
デトロイト美術館に収容されている貴重な絵画のいくつかが、上野の森美術館にきたわけだ。
デトロイト美術館展の展示作品は、印象派から20世紀初頭までの近代絵画が並んでいる。
見どころは以下の、ファン・ゴッホ自画像だろう!
僕は2002年頃アートと運命的な出会いを果たしたとき、このゴッホの自画像を模写していたので、とても思い出深い作品なのだ。
このファン・ゴッホの自画像を生で見て、思わず見入ってしまった。
ゴッホの自画像のキャンバスサイズは意外と小さい。
細かく配慮の行きとどいた、色彩の魅力にあふれていた。
デトロイト美術館展に入ると印象派、後期印象派、ドイツ表現主義、フランス表現主義の部屋と続く。
ルノワール、モネ、セザンヌ、ゴーギャン、ピカソなど近代絵画を代表する画家の名品が飾られていた。
デトロイト美術館展で印象深かったドイツ表現主義の部屋!
今回デトロイト展を観てきて印象に残った部屋を紹介しよう。
それが「ドイツ表現主義の部屋」!
ドイツ表現主義とは20世紀初頭のドイツで起こった芸術運動である。
ドイツ表現主義を代表する画家としてはエルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー、パウル・クレー、エミール・ノルデなどがいる。
ドイツ表現主義の流れは、やがてヨーロッパからアメリカの様々な芸術運動へ広がっていく。
ドイツ表現主義絵画の起源は、ファン・ゴッホにさかのぼる。
自らの思いを色彩や線にたくして絵に表現したゴッホ。
ゴッホ様式の絵画の影響はドイツ、フランスに広がり、マティスやヴラマンクなどの画家にも影響をあたえた。
デトロイト展では、マティスの素晴らしい作品も飾られていた!
フランス表現主義とドイツ表現主義の違い
マティスたちが属するのが、フランス表現主義だ。
ドイツ表現主義とフランス表現主義は何が違うのか?
ドイツ表現主義では、社会や人間生活の矛盾に、作品のテーマがある。
フランス表現主義は、色彩や形態の激しい主張による、それ自体で自立した絵画を生み出した。
ドイツ表現主義は激しい色と形の主張はあっても、社会生活の矛盾などテーマがある。
ドイツ表現主義の絵には、メッセージ性があるのだ。
20世紀初頭のヨーロッパは激動の時代で、第一次世界大戦を目前に控えていた。
そういう不安な人々の心情が、ドイツ表現主義を生み出したのではないかと思う。
デトロイト美術館展のドイツ表現主義絵画から感じた現代アート
現代アートは政治や社会に対するメッセージを作品に含ませる傾向がある気がする。
今という時代と向き合うアーティストが何を発信し、表現するかという部分が評価されるのだろう。
「今という時代と向き合うなかで生み出されるアート」こそが現代アートといえる。
イマイチ分かりづらい作品の多い現代アートだが、実はその作品を通して鑑賞者に何らかのメッセージを発しているのだろう。
表現者は作品によって鑑賞者に問いかける。
絵画を見て、作家のメッセージを受けとった鑑賞者が答えを出す。
芸術家が問いを投げかけ鑑賞者がそれについて思いをめぐらせる、この循環を含めて作品としている。
現代アートは鑑賞者があって初めて完成するのだろう。
そんな現代アートを思わせる芸術家の激しい主張がキャンバスに展開されているのがドイツ表現主義の部屋だった。
どうしてだろう、僕はアートと聞くと浮かぶイメージはドイツ表現主義に代表されるような具象と抽象を融合した感情表現による絵画なのだ。
ドイツ表現主義は絵画の主題を外界から解き放ち、画家の心が感じたことを描こうとした。
ドイツ表現主義の絵画は景色や人などを描くけど、最終的に描かれるのは作家自身なのだと感じた。
芸術が自己表現に軸足を映した記念すべき芸術運動、それがドイツ表現主義だと思う。
そしてドイツ表現主義の起源となったのがファン・ゴッホであるというのは納得がいく。
いま僕たちが生きるこの社会のなかで、あなたは何を感じるだろうか?
アートは常に今という時代と関わっている。
古代エジプト芸術もレンブラントの絵画も、いま我々の心を打つから意味がある。
リアルな今の時代を表現することが、絵描きに課せられた使命なのかもしれない。