ゴッホといえばイエロー(黄色)。
ゴッホはクロームイエローを使って幾多の傑作を描いた。
僕もイエロー(黄色)の絵の具が好きなので、ゴッホがイエローを使いたくなる気持ちが分かる。
イエローは明るく、無邪気で、活発的な色だ。
太陽やひまわりをイメージさせ、見るだけで心がウキウキする黄色。
この記事ではゴッホが愛したイエローに関する感動的な手紙の言葉と、イエローの魅力について書いていこう!
ゴッホの手紙に書かれたイエローの魅力!
ゴッホはその生涯で700通以上の手紙を残している。
ゴッホの手紙のなかで、彼が使ったイエローに関する印象深い言葉があるので、以下に記しておこう。
「この太陽、この光、どう言ったらいいのか良い言葉が見つからないから、ただ黄色、薄い硫黄の黄色、薄い金色のレモンという他はない。
この黄色が実に素晴らしい。
ああテオ(弟)、君がいつの日か南フランスの太陽を見て僕と同じように感じてくれたらいいと思う」
~ファン・ゴッホ
僕はゴッホのイエローに関する手紙を読むとき、いつもすさまじい感動を受けるのだ!
ゴッホがイエローに対して持っていた感動、魅力が言葉にあふれていて、胸を打つのだ!
上に挙げたイエローに関する手紙は、ゴッホが弟に当てて書いたもの。
上の手紙は1888年、ゴッホが南フランスのアルルに滞在していたときに書かれた。
ゴッホはアルルで自分の表現を見出し、黄色をふんだんに使った油絵を量産するようになる。
イエローを使った絵を描く喜びにあふれている手紙だ。
ではゴッホが愛したイエローとは、どのような色なのだろうか?
色の三原色におけるイエロー
絵の具で全ての色を作るための基本となる色が三つある。
赤、青、黄。
この3つの色を、色の三原色という。
赤と青を混ぜると紫、赤と黄色でオレンジ、青と黄色で緑が出来る。
ここに明度色である黒と白を加えると、あらゆる色が再現される。
赤、青、黄という他の色と混ぜても作れない色を一次色という。
紫、オレンジ、緑という色を混ぜて生まれる色を二次色という。
人には、好きな色があるだろう。
色にはそれぞれイメージがある。
青なら落ち着いた色、赤なら情熱的な色など、それぞれの色から感じられる印象があるのだ。
ゴッホも「色彩はそれ自体で何かを表現する」といったように、色はそれぞれの意味を持つ。
色には彩度を持つ有彩色(赤、青、黄など)と彩度を持たない無彩色(黒、グレー、白)がある。
彩度にも幅があり、ゼロに近づくと無彩色調になり、彩度が高くなると強烈な色となる。
彩度が強いとは、鮮やかな色ということだ。
色それぞれにも彩度の幅があり、紫の最高彩度は低い。
そして一番彩度の強い色が黄色である。
黄色は派手な色といえる。
道路で黄色の車を見かけると非常に目立つが、黄色は視認性の高い色なのだ。
黄色といっても、様々な諧調の黄色がある。
渋いイエローオーカーから、オーレオリン、ネープルスイエローやレモンイエローなどいろいろある。
僕は一番明るくて彩度が最高に強い黄色が好きだ。
黄色を見ると心がワクワクするし、何より黄色からは無邪気さを感じる。
ぼくにとって黄色はやんちゃで、子供っぽい無邪気な色なのだ。
黄色は人に元気を与えてくれる色だと僕は思っている。
ゴッホが好んだ黄色。
きっとゴッホにもイエローに象徴されるような性格的特性があったのだろう。
やんちゃで無邪気、明るく派手なイエロー的素質が!
スポンサードリンク
ゴッホが愛したクロームイエロー
後期印象派に属する画家フィンセント・ファン・ゴッホはイエローが好きで、絵でもたくさん使っている。
有名な夜のカフェテラス、ひまわり、太陽のある種まく人など、その印象的な黄色の使い方はご存知の方も多いだろう。
ファン・ゴッホは気難しそうな変わり者というイメージがあるけど、実際は黄色が意味するように無邪気で純粋、明るい人柄だったというのを、伝記で読んだことがある。
ゴッホの心の中心には、黄色のような明るい開放性があったのだろう。
ゴッホは絵画によってありのままの自分を表現し、あのような強烈な黄色が生まれたのだと思う。
ゴッホは黄色の使い方にこだわった。
ゴッホは彩度の高い強烈な黄色が好きで、いかに黄色の色味を強調しようか考えていたらしい。
ゴッホはひまわりをクロームイエローの絵の具を使って描いていた。
クロームイエローは人体にとって毒性があり、現在では製造中止になっている絵の具だ。
しかしゴッホの時代、クロームイエローはとても強い黄色みをもつ絵の具だった。
損保ジャパンにあるひまわりは初め白を塗って、その上からクロームイエローを塗り描かれたという。
上の塗り方によって、黄色の色味を強調することに成功している。
ゴッホは色彩に自分の魂を込めていたから、色を鮮烈に表現することをかなり意識していただろう。
今一番強力なイエローは何か?
ではいまの時代で着色力の強い黄色は何かというと、カドミウムイエローである。
カドミウムイエローは色味がとても強い。
カドミウムイエローを他の色と混ぜると、相手の色を食ってしまうほどだ。
僕はこのカドミウムイエローが好きで、油絵を描くときでもよく使用する。
カドミウムイエローにもライトやディープなど、色見の微妙に異なる絵の具がある。
カドミウムイエローを構成する顔料のカドミウムは、人体に有害なのでうかつに触ることは出来ない。
カドミウムイエローは顔料自体が高価だから、一つのチューブもそれなりの値段はする。
しかし価格をまかなう魅力をカドミウムイエローは持っており、その表現力は強い。
ゴッホの時代にはカドミウムイエローはなかった。
だからゴッホは、クロームイエローを使ってひまわりを描いたのだ。
黄色みの強いイエローを好んだゴッホ。
もしゴッホの時代にカドミウムがあったら、彼はカドミウムイエローを使っていたかもしれない。
ゴッホのイエローの最後に
ゴッホが愛したイエローについて書いてきた。
ゴッホの絵画を見ても分かるけど、色彩はシンプルな配色でいいのだ。
ただ黄色を置くだけでも、十分に何かを語れる。
黄色の隣に別の色を置くと、色の対比により何かを表現できる。
表現を難しく考えてはいけない。
表現はシンプルだ。
自分に従うだけでいい。
色彩は音楽に似ている。
色の調和がハーモニーを生み出す。
ゴッホは弟に当てて書いた手紙に、イエローに関する魅力を語っていた。
そしてイエローはゴッホ自身を象徴する色だったのだ!