あなたはデザインとアートの違いは何だと思うだろうか?
一見似ているようで違う、アートとデザイン。
筆者は漫画アートを創作する表現者だが、昔デザイン系の専門学校に通っていたことがある。
デザイン系専門学校で学んだときに感じたのは、アートとデザインは違うということだった!
ぼくという表現者はデザイナーではなくアートを作る人だと、その時に感じたのだ。
そんな漫画アート芸術家が、アートとデザインの違いについて書こう!
アートとデザインの違いは誰のために作るかが分かれ目
アートとデザインを分ける最大の違いは、誰に対して作るかにある。
これは筆者の意見だが、アートは自分自身を強烈に表現するための創作だ。
一方デザインは、誰かの目的のために作られる販促物の一部。
アートとしての要素があるデザインも存在する。
しかし一般的に、デザインは媒体を構成する一要素であることが多い。
以下より、アートとデザインの違いを見ていこう。
デザインは他者や媒体の目的のために作られる
デザインは誰かのためや、掲載される媒体のために作られることが多い。
デザインが使われる機会は広告、チラシ、Webサイト、看板などいろいろある。
デザインが使われる場所で大切なのは、媒体に注目してもらうこと。
大衆の意識をデザインやキャッチコピーの力でこちらに向けさせて、伝えるべきことを伝えることにある。
だからデザインを発注するとき、クライアントはいろいろ指定をいれるはずだ。
デザイナーは、クライアントの希望を叶えるデザインを作ることになる。
デザインは、人のため目的のために、制作する。
デザインは媒体を魅力的にみせ、そこに大衆の目を向けさせるために作られるのだ。
まず媒体があって、デザインは成立する。
デザインには、良い悪いの基準があるともいえる。
明らかに人の目を引けないデザインは、良いデザインとはいえないだろう。
良い悪いの基準があるので、デザインはアートより分かりやすいかもしれない。
デザインは良い悪いの白黒が、はっきりしている制作物なのだ。
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アートは自分自身のために作る
アートは、誰のために作るのか?
筆者の見解では、アートは自分自身を強烈に表現するために作る。
デザインは誰かのために、媒体の目的のために作るという前提がある。
しかしアートは、他でもない自分のために作られる。
自分自身を表現するために作ったアートが、誰かの心に刺さり、結果的に人の役に立つことはあるだろう。
しかし大前提として、アートは作家の内なる何かを表現する場所なのだ。
自分のために作るか、他の目的のために作るかが、アートとデザインの違いだったのだ。
デザインは他者の目的に沿うという、目的があるので答えが見つけやすい。
しかしアートには、答えがない。
アートは何が良くて何が悪いかの基準がわかりづらい。
絵がうまいから、きれいだから価値があるわけではない。
大勢に理解されやすい絵は、認められやすいだろう。
だが理解者が多いから、絵として優れているわけではないのだ。
ある時代に全く理解されない絵でも、時代が変われば価値がつくことはある。
ゴッホがその典型だ。
写真のように正確な絵が描けたカラヴァッジョも、ある一時期(19世紀ころ)は美術界で忘れ去られていたことがある。
しかしカラヴァッジョの世界観や、描き方の革新性が、20世紀に再評価されて注目を浴びたのだ。
アートはなにが良くて悪いかの基準が分かりづらいから、制作が難しいかもしれない。
何だかわからないものを、何を基準に作ればいいのか?
海外では美術の歴史にある文脈を意識して、新たな作家の個性で描くようなアートに評価がつきやすいのかもしれない。
僕は言おう。
アートの面白さは、あいまいで基準がないところにあるのだ!
もし仮にアートを統一する基準があるとすれば、「作家自身を強烈に表現する」ことにある。
アートを確信を持って作る唯一の方法は、ありのままの自身を描くことにある。
基準の見えないアートの世界を切り開くのは、「自分」という確信だ。
この確信が、アートを作る意欲の源となる。
アート制作にも、マーケティングの意識は必要だ。
しかし、お菓子やドリンク商品などを作るのとは違う。
アートを作るとき頼りになるのは、自分自身を表現することにあるのだ。
例え多くの人に不可解でも、内的表現が実現できてたら肯定されてしまう世界が、アートである。
この圧倒的自由さが、アートの魅力なのである。
アートとデザインの違いのまとめ
アートとデザインの違いは、誰のために作るかにある。
●デザインは他者の、媒体の目的のために作る。
●アートは、自分自身を強烈に表現するために作る。
デザインは媒体の目的を達成するために作るので、制作の基準がはっきりしてる。
しかしアートにはこんなものを作るといいという、基準があいまいだ。
アートの制作にもし基準があるとすれば、それは自己を強烈に表現することにあるのだ!
もしデザインの制作で強烈な自己表現をしたら、おそらくそのデザインは失敗するだろう。
媒体の目的を無視したデザインに、人は振り向かないからだ。
一見似ているようで天地の違いがある、アートとデザイン。
この記事に書いたようなことを意識して、アートとデザインの違いを見ると面白いかもしれない。