あなたは天才と言われてどんな人物を思い浮かべるだろうか?
天才は強烈な個性の権化といわれる。
強烈な個性の持ち主は、一般人からすれば変わってると見えることもあるだろう。
僕は天才と狂気について昔から関心があったので、本を読んで調べてきた。
これから天才と狂気の不思議な関連性を、歴史上の人物にスポットを当てて見ていこうと思う。
この記事では歴史上の変わった天才たちの、強烈な特徴について紹介しよう!
Contents
天才は変わってる?強烈な個性の権化
20世紀を代表する芸術家の一人、サルヴァドール・ダリはこう言っている。
「天才になりたければ、天才を演じよ。さすれば天才になる」
〜ダリ
古来、天才とうたわれた人の中には強烈な性格の持ち主が多い。
セザンヌやゴッホやロダンは正統派の教育に適さなかったほど個性が強かったので、官展に落選したり、画塾を追われたり、美校の入試に落ちたりした。
しかし自信の強さと美術への熱望は美の本質にそって独自の技能をひらき、個性的な美術を生み出すことに成功したのだ。
芸術における教師の役割は、まことに面目なかったといわねばならない。
天才は一般人から見て変わってるところがある。
天才は思いっきり変わってる所が、個性になっているのだ。
天才は変わっているからこそ、普通の人には出来ないような業績を挙げられるのだと思う。
変わってる天才たち
ここでは日本や世界に散らばる、変わってる天才たちを見ていこう!
ニュートン
アイザック・ニュートンという人物を知っているだろうか?
17世紀イギリスに生まれた物理学者で、万有引力の法則やニュートン力学の確立、微積分法などを発見した歴史に残る天才物理学者である。
ニュートンは外にいる時、木になっていたリンゴが地面に落ちるのを見て、万有引力の法則を発見したという。
万有引力とは、重力が地球の中心へ向けて働いていること。
空から石を投げると下に向かって落ちていくのは万有引力が働いているため。
大発見をしたニュートンだが、実は人間不信で生涯独身、周りの人との論争、確執にまみれた人生を生きている。
ニュートンは少年の頃から、物頃に熱中する性質があった。
夕食が終わると二階に閉じこもって深夜まで工作する習慣をもち、やり始めると完成まで熱中した。
ひとつのことに疑問を持つと納得いくまで研究し、徹底的に調べたが、これが彼の人格の特徴であり個性でもあった。
ニュートンのこの個性は、幼少のとき父母と別れた心の寂しさを埋めるためのものであったという。
雪舟
涙でネズミの絵を描いたと言われる、室町時代の画家雪舟の場合もそうである。
個性が強烈で、親の強いる僧侶への関心は全くなかった。
明にわたり絵を勉強したが、ついに教えを受けるに足る偉大な師匠のいないことを知り、自然を師として学び、水墨画の中心人物となった人である。
このように歴史に残るような人物は個性が突出しているという共通点がある。
業績だけを見るとすごい人物に見えるが、その本性は一癖も二癖もある強いアクを持った人ばかり。
まさに天才は変わってる。
バルザック
19世紀フランスの小説家にバルザックがいる。
当時のフランス社会の人々を小説にし、一連の作品をまとめて「人間喜劇」という題でまとめた。
「ゴリオ爺さん」や「谷間の百合」などが代表作で、僕も大好きな作家の一人。
世界文学史上に残る大作家であるが、この人は浪費癖がハンパなかったという。
自分の作品の女性ファンと関係を持ったり、大きな借金をたびたび背負ってしまう癖があった。
しかしバルザックは借金を作っても自分の書いた小説で取り返せると信じてしまう。
借金しては小説を書きまくって返済していた。
バルザックは、生涯で長編短編含め90編に及ぶ小説を書いた。
創作意欲が大勢だった裏には、バルザックの借金癖があったのだ。
バルザックはコーヒーをがぶ飲みして目を覚まし、夜に集中して小説を書くスタイルをとっていた。
仕事が終れば社交界へ出かけ、人との交流や食事を楽しんだという。
バルザックは、大食いでも有名な人だった。
あまりの大食いのため、晩年は目が見えなくなり(糖尿病の影響もあり)、網膜炎を引き起こしたほどである。
バルザックは作家のサマセット・モームから「確実に天才と呼ぶにふさわしい人物」と、著作のなかで書かれている。
天才と言われるだけあって、さすがにバルザックは天才らしいエピソードの多い人物である。
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スタンダール
19世紀フランスの小説家 スタンダール。
僕は18歳で初めて文学を読みだしたとき、スタンダールの「赤と黒」という小説を読んだ。
それ以来、大好きな作家の一人。
スタンダールには「恋愛グセ」があった。
自身でも「生きた、書いた、愛した!」と豪語するほど様々な女性との遍歴を持っており、その経験を生かして歴史に残る恋愛小説を残している。
変わった天才は、なにかにとことん夢中になる性質があるのだろう。
スタンダールの場合は、異性との恋愛に没頭し、そこから創作のアイデアを得ていたのだと思う。
オスカー・ワイルド
変わってる天才の一人、オスカー・ワイルド!
僕はこの人も大好き!
オスカー・ワイルドは19世紀末に活躍したイギリスの詩人、作家、劇作家である。
当時イギリスの人気作家で、時代の寵児であり、その後の作家にも大きな影響を与えている。
オスカー・ワイルドの代表作といえば「ドリアングレイの肖像」や「サロメ」。
オスカー・ワイルドは、耽美的で詩的な作品を書いた。
またオスカー・ワイルドはイケメンだから女性からの人気も高った。
しかし彼は、当時としてはある致命的要素を持っていた。
オスカー・ワイルドはゲイだったのである。
当時のイギリス社会では同性愛は犯罪であり、処罰の対象であった。
人気絶頂のオスカー・ワイルドは、同性愛の罪で牢獄に入れられてしまう。
心も体もボロボロになったワイルドは、刑務所から出ると梅毒に侵されて、46歳で亡くなってしまう。
一時の人気ぶりとは打って変わり、葬儀の参列者は数人だけ。
このギャップに驚いてしまう。
オスカー・ワイルドは天国から地獄を鮮やかに体験した作家といえるだろう。
ボードレール
19世紀フランスの詩人にボードレールがいる。
ボードレールは、天才と狂気の本には必ずと言っていいほど顔を出す人物だ。
代表作「悪の華」という詩集は、当時のフランスに一大騒動を巻き起こした問題作。
悪の華はボードレールが生前に発表した唯一の詩集で、公序良俗に反するということで罰金刑まで受けたと言われる。
悪の華はそれほどまでに過激で、当時の社会からは受け入れがたい詩集だった。
しかし今ボードレールと言えば天才の代表格であり、後世の表現者に絶大な影響を与えているのだ。
その後の19世紀フランスを代表する詩人アルチュール・ランボーやマラルメ、ヴェルレーヌらが、ボードレールからの決定的影響があると言えば分かってもらえるだろうか。
そのボードレールの悪の華は発表当時、上のような扱いを受けていたのである。
ザ・ローリング・ストーンズのアルバム「メインストリートのならず者」が、最高の傑作であるにも関わらず、発表当時は駄作扱いだったことに似ている。
真の傑作は、同時代人には理解しずらいものなのかもしれない。
パブロ・ピカソ
パブロ・ピカソが西洋美術史上を革命した作品「アビニョンの娘たち」(1907年)が発表された時、誰もがピカソをさげすんだと言われる。
画家仲間は「ピカソは終わった、彼はいつかあの絵の裏で首を吊るだろう」と言うほど、誰も彼の作品を理解しなかった。
ピカソ自身あまりの不評ぶりに、キュビスムの手法を封印してまう程だった。
その後十年以上もの間「アビニョンの娘たち」は、画室の中にしまわれたまま埃をかぶっていたというから面白い。
「アビニョンの娘たち」といえば今では20世紀最大の美術革命として絶賛されているが、発表当時というのはこんなものなのである。
またピカソは生涯に色々な女性と関係を持った。
女性が変わる度に、ピカソの絵の作風も変わるところが面白い。
ピカソといえばめちゃめちゃな絵を描くので有名だ。
しかし実際は青の時代や新古典主義の時代など、作風はバラエティに富んでいる。
付き合う女性が変わるごとにピカソの作風に変化があった点が、変わってるのである。
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その他の変わってる天才たち
上に紹介した以外にも変わってる天才はたくさんいる。
ラファエロの純真性とミケランジェロの喧嘩ぐせ。
モーツァルトの快活性とベートーベンの苦悩性。
数え上げたらきりがない程だ。
これらは天才の個性であるとともに、その芸術の個性でもある。
このように天才たちには、どこか変わった性質を持つ人が多いのだ。
若くして精神疾患にかかり、孤塔に引きこもって一人詩作を行ったドイツの詩人、フリードリヒ・ヘルダーリン。
ヘルダーリンも、天才と狂気に関する本でよく登場する一人である!
「罪と罰」など世界文学史上に輝く傑作を残した、ロシアの小説家ドストエフスキーも、天才と狂気の本でよく登場する。
ドストエフスキーは癲癇(てんかん)の持病をもっており、癲癇特有の症状を作品内で表現していたりもする。
推理小説の元祖で、アメリカ文学史上で最高の天才の一人、エドガー・アラン・ポーも、天才と狂気の本でよく登場する。
天才と言えば20世紀絵画を切り開き、ピカソをして「近代絵画の父」といわしめたポール・セザンヌも、変わってる天才の代表格だ。
まだまだいるぞ!
天才と狂気の間で、ホラー小説の世界に革新をもたらした20世紀アメリカの作家H.Pラブクラフト!
僕はラブクラフトを知ったことで、ホラーに対する認識が激変するほど大きな影響を受けている!
天才と狂気は紙一重といわれる。
この言葉を最もよく象徴した、イタリアの天才画家がいる。
それがカラヴァッジョ!
カラヴァッジョは悪名高い男で、人を殺したこともある犯罪者。
でもその絵画はルネサンスからバロック美術を切り開き、比類ない崇高な芸術を生み出している!
変わってる天才といえば、この人!
ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーベン!
ベートーベンは後年耳が聞こえなくなり気難しい人柄になりましたが、幾多の名曲を残しました♪
天才と狂気といえば、この人抜きには語れない!
19世紀オランダの画家ヴァン・ゴッホ!
ゴッホは生涯でたった1枚の絵しか売れず、最後は精神を病んて自殺した画家。
そんなゴッホの人生や素晴らしさについて語った記事は、以下リンクからどうぞ♪
変わってる天才といえば、自分が感じた幻視で、「叫び」などの絵を描いたムンクも欠かせない。
ムンクは統合失調症だったといわれることもあり、絵にも幻覚的な雰囲気が漂っている。
「天才を演じよ。さすれば天才になる」と言ったスペインの画家サルヴァドール・ダリ。
筆者が天才ダリの展覧会に行った感想を書いた記事は、以下リンクから。
以下記事には天才の代名詞的存在であるモーツァルトについて書いてあるので、興味のある方はどうぞ!
アウトサイダーアートの代表的存在で、引きこもりの大芸術家、死後に有名になったヘンリーダーガーの劇的な人生は以下記事に!
これら天才たちは、それぞれの分野で輝かしい業績を挙げている。
しかしその裏には、変わってる性質を持っていたのだ。
変わってる天才たちの最後に
ここまで変わってる天才たちについて見てきた。
歴史を変えるような天才には共通する特徴がある。
彼らはその時代の人々の、理解の先を行っているということだ。
天才たちは周りと同じやり方に従うような表現者ではなかった。
変わってる天才は自己の感覚を信じ、それに忠実であった。
変わってる天才は、周りから異端とみられることを恐れなかった。
天才たちは変わってる要素を持つことが多い。
この変わってる要素こそ、歴史に残る業績を挙げるために必要な個性だとぼくは感じる。
天才たちが持つ変わってる要素とは、それ自体が芸術の個性である!
だから僕は言いたい。
芸術家は圧倒的な自分自身であれと!
芸術家として何かを表現する時、自己の感覚こそが答えであると!
天才には孤独な人が多いという、興味深い本の記事については以下のリンクからどうぞ!