「天才バカボン」と言えばギャグ漫画の金字塔!
赤塚不二夫氏が生み出した、不滅のナンセンスギャグ漫画です!
ではあなたは天才バカボンの言葉の意味を知っているでしょうか?
ナンセンスギャグ漫画のウリである「くだらない面白さ」「バカバカしい面白さ」を持つ天才バカボンは、実はふか~い哲学的なテーマ、意味を持っているのです!
僕は幼い頃に赤塚不二夫氏の「天才バカボン」に出会って以来、バカボンのアニメや漫画に触れて育ちました。
漫画とアートを組み合わせて創作活動を行う粕川の原点にあるのが天才バカボンなのです!
天才バカボンにはギャグ漫画としての面白さと哲学的な深みがあります!
天才バカボンを探っていくとそこには仏教の教えが隠されていました。
本日は天才バカボンを心から愛する粕川が、天才バカボンの意味、天才バカボンに隠された仏教の教え、レレレのおじさんやはじめちゃんに隠された意味などについて解説していくので、ぜひ最後までご覧ください!
Contents
天才バカボンとは?
天才バカボンとは1967~1978年にかけて週刊少年マガジンや週刊少年サンデーなどの雑誌で連載されていたギャグ漫画のこと。
天才バカボンは連載終了後もギャグ漫画というカテゴリーを越えてテレビ、CM、漫画など様々なメディアで展開されています。
天才バカボンは初期と後期で作風が異なるのが特徴。
初期の天才バカボンは、バカだけど純粋なバカボン&バカボンパパが繰り広げるホームコメディが主体でした。
しかし赤塚不二夫氏が天才バカボンの中で様々なギャグの実験を行い始めると、その作風は一変しました!
1コマだけを劇画風に描いたり、楽屋オチを連発したり、意図的に手抜き漫画を描いたりなど、これまでにない新しい視点の面白さを切り開いた漫画となったのです!
天才バカボンの意味の裏には仏教の真理があった?
天才バカボンには深い作品のテーマ、意味が含まれています。
それはインド思想、ヨガや仏教の真理です。
ここから天才バカボンの隠された意味を見ていきましょう。
【天才バカボンの意味:1】薄伽梵(ばぎゃぼん)
天才バカボンの「バカボン」の意味はサンスクリット語で「薄伽梵(ばぎゃぼん)」から来ているようです。
そして「薄伽梵(ばぎゃぼん)」はバカボンとも発音します。
「薄伽梵(ばぎゃぼん)」「Bhagavan(バガヴァン)」「Bhagavad(バガヴァッド)」とは「悟りを開いた者」を意味します。
「薄伽梵(ばぎゃぼん)」とは「悟りを開いた者」でありブッダ(Buddha)と同義語です。
悟りを開いた者と言えば、菩提樹のふもとで瞑想により真理を得た釈迦が有名ですね。
つまり天才バカボンの「バカボン」とはお釈迦様のような悟りを開いた者を意味していたというのです。
これはトリビアの泉と言うテレビ番組でも取り上げられていた内容です。
スポンサードリンク
【天才バカボンの意味:2】バカボンのパパが天上天下唯我独尊
これはまさに仏教の開祖の釈迦が行ったことです!
釈迦は摩耶(まや)夫人の右脇から生まれると、七歩歩いて右手を天に、左手を地にかざしてこう言いました。
「天上天下唯我独尊」と。
天上天下唯我独尊は勘違いされやすい言葉で、決して「世の中で自分が一番偉い」という傲慢な意味ではありません。
「この宇宙において自分という固有な存在はただ一人であり、それゆえにあるがままの姿で尊い」というのが天上天下唯我独尊の本当の意味です。
以下の記事には、筆者が天上天下唯我独尊のネタで描いた漫画が載っています♪
それにしてもバカボンのパパが生後すぐに歩きだして「天上天下唯我」を言うとは、やはりただ者ではない!
この点でも、天才バカボンと仏教との繋がりを感じさせます。
【天才バカボンの意味:3】これでいいのだの本当の意味
天才バカボンでバカボンのパパの決めセリフに「これでいいのだ!」があります。
「これでいいのだ」は、仏教でいう「悟りの境地」を表わしているというのです。
仏教には涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)という言葉があります。
人間は生きていると様々な煩悩に支配されるもの。
お金、学歴、仕事、外見、周りと比較したり、コンプレックスに悩んだり、過去や未来に思い悩んだり…
これら煩悩から完全に解放された境地、それが涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)。
「これでいいのだ」という言葉には、起こったことに対して問答無用で前向きに解釈し、肯定する姿勢があります。
何が起ころうと…全てはこれでいいのだ!
あるがままの姿を、ありのままの出来事を素直に受け止め、肯定する。
これは仏教における悟りの境地を感じさせます。
スポンサードリンク
「これでいいのだ」の意味~ヨガの教えを一言で表現
インドの哲学書に「バガヴァッド・ギータ―」というヨガの書があります。
バガヴァッド・ギータ―は「神の歌」という意味を表わし、インドを独立に導いたガンジーが好んでいた本でもあります。
「人間がありのままの、真実の世界を観ることは難しい。人間の多くは幻想の、作られた世界で生きている」~バガヴァッド・ギータ―より引用
ヨガでは、人間をこのように考えます。
ヨガの経典「バガヴァッド・ギータ―」には以下のようなことが書かれています。
●相手からの見返りを期待せず、今自分が行うべきことにのみ意識を集中すること
●人間は生きている上で苦しみや悲しみを避けることはできない。
しかし苦しみの根本を知り、真理の行動を行う事により、真の自由と心の豊かさを手に入れることができる
●あなたが宇宙において全体であり、真実である
これらインドで育まれてきた深い知恵を一言に要約しているのがバカボンパパの言う「これでいいのだ」なのではないでしょうか。
ちなみに天才バカボンに出てくるセリフ「タリラリラ~ン」はチベットにあるターラ菩薩の真言だとも言われています。
「これでいいのだ」が生まれた背景とは?
そのため赤塚不二夫氏は幼いころに周りの人が亡くなる姿を見ています。
戦争による人間の死に幼いころから直面してきた赤塚氏が、心にとどめていた言葉が以下です。
「メイファーズ(没法子)」。
この中国語は「しょうがない、しかたがない」という意味を指します。
自分の力ではどうにもならない戦争による惨事。
この現実を受け止めようとした赤塚不二夫氏が心に持ち続けた言葉が「メイファーズ」だったのです。
そして「しかたがない、しょうがない」を意味するメイファーズと言う言葉が「これでいいのだ」に通じてたのではないかと考えられます。
赤塚不二夫氏が幼い頃に体験した無常な人生体験が、天才バカボンの「これでいいのだ」につながっていたのです。
スポンサードリンク
【天才バカボンの意味:4】レレレのおじさんと仏教のつながり
天才バカボンにはレレレのおじさんという、いつも掃除をしているキャラクターが登場します。
レレレのおじさんは釈迦の弟子として本当に存在した「チューラパンタカ」(周利槃特 しゅりはんどく)という人物がモデルだと言われています。
天才バカボンでレレレのおじさんのモデルとなったチューラパンタカにはこんなエピソードがあります。
釈迦の弟子になったチューラパンタカは僧院の中で仏教の勉強が上手くいかず、自らの愚かさに悩んでいました。
そんなとき釈迦がやってきてチューラパンタカに勉強のかわりに、毎日ほうきで僧院を掃除するようにアドバイスしました。
チューラパンタカは釈迦に教えられたように掃除をしているうちに、こんな悟りを得たと言います。
「掃除において真にキレイにすべきは、自分の心の中に巣食うチリやゴミなのだ」と。
行為そのものに集中していれば行為の結果に対して執着が生まれず、悩むこともありません。
しかし行為そのものに集中せず結果に執着していると、欲望に支配されて心の平安を失う。
という意味の事がバガヴァッド・ギータ―に書かれています。
ひたすら掃除をするレレレのおじさんの裏には深い真理が隠されていたのかもしれません。
【天才バカボンの意味:5】はじめちゃんと仏教のつながり
天才バカボンにはじめちゃんという天才児のキャラクターがいます。
このはじめちゃんも仏教との関連性がうかがえます。
東京大学の名誉教授であり、有名なインド哲学、仏教学者に中村元(なかむらはじめ)という人がいます。
中村元氏はたくさんの本を出しており、サンスクリット語/パーリ語の経典も翻訳されている方です。
この中村元氏がはじめちゃんのモデルだという説があるのです。
中村元氏の「はじめ」という名前が、天才バカボンのはじめという名前につながっていたかもしれないのです。
スポンサードリンク
【天才バカボンの意味:6】赤塚不二夫の考え
赤塚不二夫氏は、天才バカボンの作品の意味をこのように考えていたようです。
バガボンドとは、放浪者という意味。
天才とは、はじめちゃんのこと。
バカとは「バカボンのパパとバカボン」のこと。
このことから赤塚不二夫氏は、天才はじめちゃんとバカ二人(バカボンパパとバカボン)を合わせて「天才バカボン」と名付けたという説があります。
また天才バカボンの第1巻では以下の説明がつけられています。
「バカボンとは、バカなボンボンのこと。天才バカボンとは、天才的なバカのボンボンのことだよ」
~天才バカボンのコミックス1巻より引用
天才バカボンには「TENSAI VAGABOND」というバカボンとバガボンド(放浪者)の意味を組み合わせた短編漫画も存在するので、仏教との関連性は後からつけられたという事も考えられるでしょう。
天才バカボンと仏教との関連性のお後に
天才バカボンの作品の意味には仏教の教えが関係していた!?ってことについて見てきました。
天才バカボンの作者赤塚不二夫氏が仏教の教えとの関連性を明言しているわけではありません。
しかし天才バカボンという作品を探っていくと、深遠な仏教の教えに通じるものがあるのです。
仏教の教えは2500年以上たった今も生き続けています。
つまり仏教の教えには永遠性を持つ真理が説かれているということ。
この永遠性を持つ漫画だから、天才バカボンが長く愛される作品になっているのではないかと僕は思います。
あの手塚治虫氏も釈迦を主人公にした漫画「ブッダ」を描いていますね。
永遠性とは仏教の教えだけではないですが。
漫画作品にはその時代の流行を含めつつも同時に、永遠性を持った要素を取り入れるべきだと僕は感じています!
「天才バカボン」のようにね!
天才バカボンを愛する筆者がおすすめする、漫画ランキングベスト10は以下の記事に書きました♪
天才バカボンがヒントになって生まれた、筆者が描いた漫画は、以下の記事に載っています。
アニメ「元祖天才バカボン」を見た感想を書いた記事は、以下に載っています。
筆者は天才バカボンの作者・赤塚不二夫氏の「まんが入門」という本を読んだことがきっかけで、7歳から漫画を描きだしました。
赤塚不二夫氏のまんが入門と出会った運命的なエピソードは、以下の記事に書いています♪
天才バカボンに関する記事は以下のリンクに載っています♪
最後までお読みいただきありがとうございました!