漫画アート芸術家

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特撮ヒーロー

人造人間キカイダーの最終回を観て感じた感動と漫画創作意欲の原点

投稿日:2017年9月28日 更新日:

僕は先日特撮テレビ番組「人造人間キカイダー」の最終回を観終え、キカイダーの全エピソードを知った。

そして人造人間キカイダーの最終回を観た時に自分が「漫画を描く原動力」「どうして漫画を描くのか?」の理由を明確に感じた。

今回は人造人間キカイダーの全エピソードを観た感想や最終回を観た時に感じた「漫画を描く為の原動力」について書いていこう。

キカイダーに興味のある人や仮面ライダーとキカイダーの違い、漫画を描く人がどのような理由から創作意欲が湧いてくるのか?という一例が知りたい方に向けてこの記事を書いていこう。

 

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人造人間キカイダーを全エピソード観た感想

 

僕は特撮テレビ番組「人造人間キカイダー」の全エピソードを観て、とても素晴らしい作品だと思った!

ここではキカイダーの全エピソードを観た上で感じた感想を書いていこう。

仮面ライダーとキカイダーの違い

特撮等身大ヒーローの代表作と言えば仮面ライダー。

キカイダーは仮面ライダーが大ヒットしていた1972年に仮面ライダーとの差別化を意識して制作された特撮ドラマだ。

これまで仮面ライダーは何度も観てきたけど、キカイダーをじっくりと見る機会は少なかった。
仮面ライダーと人造人間キカイダーは勧善懲悪を基本にした子供向けの番組である事は共通しているけど、よく観てみると別路線の作品だと言える。

 

僕が感じた仮面ライダーとは違うキカイダーの特徴を挙げていこう。

・キカイダーは父親探しの旅が主体の物語り
・キカイダーにはサイボーグに恋をするミツ子の片思いが描かれる
・仮面ライダー以上にサイボーグである自分に悩む主人公の姿が描かれている
・キカイダーが戦う時のポーズや必殺技が仮面ライダーとは明らかに違う
・ジローが登場する時高い所からギターを弾きながら現れる面白さ
・キカイダーは不完全な良心回路と言う弱点を持っており、ギルの笛で毎回苦しむ

 

などなど仮面ライダー好きな僕から見ると明確に差別化を意識して作られている事が分かる。

 

キカイダー01も含めて、キカイダーには明確な弱点が存在する点も漫画創作の勉強になった。

 

・キカイダーは不完全な良心回路を持つ為にギルの笛を聞くと悪と善の狭間で激痛に襲われるという弱点を持つ
・続編であるキカイダー01は太陽エネルギーがないとパワーが10分の1に下がってしまうという弱点を持つ

 

仮面ライダーもベルトに風力が得られないと力が発揮できないという弱味があったけど、キカイダー程弱点を攻められる機会は少なかった。

 

主人公がただ強いだけと言うのでは面白くない。
強さと同じくらいどこかに弱点を持たせる事で読者にハラハラさせて面白い主人公になるなとキカイダーを見ていて感じた。

 

キカイダーはサイボーグという設定を全面に見せてくる

キカイダーは仮面ライダーに比べて主人公が人造人間(サイボーグ)である事を全面に出している。

仮面ライダーでは本郷猛は改造人間という設定と、力や跳躍力が異常に高いという演出で人間との違いを際立たせていた。
しかし仮面ライダーの体内にあるサイボーグ描写を強調して見せる事はなかった。

しかしキカイダーでは主人公ジローの体内の機械の様子を頻繁に見せてくれる。

 

例えば
・ジローの体が故障したり、キズを追ったりすると体内部の機械が露出して、破壊された部分を直すことにより復帰する
・キカイダーがダークの敵ロボットを倒すとロボットの部品が転がり落ちる映像が流れる
・また遠くの音を聴き分ける時にもジローの目がアップに移され、心電図の波形のようなものが映されたり、体内の歯車がかみ合う映像が流れたりする
・エピソードの最後の方では赤地雷ガマの爆発攻撃を受けてキカイダーがバラバラになってしまう事もあった

キカイダー ハカイダー

(c)石ノ森章太郎/NET・東映

頭も胴体も足もバラバラなキカイダーをミツ子が組み立て、頭と胴体だけのテケテケ(お化け)みたいな格好でハカイダーと戦おうとする回もあった(笑)

 

このようにキカイダーはサイボーグであるという描写が強調されて演出される点が仮面ライダーとの違いでもある。

タイトルに「人造人間」とついているだけあって機械の体を視聴者に強調する事で仮面ライダーとの差別化を図っている。

 

敵と戦い傷つくと体内のサイボーグ部分が露出するキカイダーを見ていて僕は映画「ターミネータ」(1987年)を思い出してしまった。

キカイダーは初代ターミネーターに近いキャラクターだと思う。

 

ジローの優しさ

(c)石ノ森章太郎/NET・東映

 

僕は人造人間キカイダーを観ていて、主人公ジローの優しさにとても感動を受けた。

 

人造人間キカイダーの特徴に「不完全な良心回路に苦悩する主人公像」がある。
良心回路とは機械自ら善悪の判断をし、その時々で最善の行動を取らせてくれる回路の事。

この良心回路が不完全なために善と悪の間で苦悩するジローの姿がエピソードの後半になるほど増えていく。

 

それは脚本家が変わった事に由来している。

 

キカイダーの前半(第25話)までは主に伊上勝という人が脚本を書いていた。
しかし伊上氏が新番組仮面ライダーV3の仕事に移動する事になり、長坂秀佳という人がメインで脚本を書くようになる。

この長坂秀佳氏は石森章太郎氏の原作漫画の要素をより強く取り入れて、悩める主人公ジローを強調するような脚本を書いている。

 

自らの不完全な良心回路に苦悩するジローは見方によってはナイーブな印象を感じさせたようで、ターゲット視聴者層の子供たちからはやや不評であったらしい。

なので続編のキカイダー01からはよりヒーロー性を強調した主人公(イチロー)が作られた。

 

しかし悩めるジローの姿こそキカイダーを象徴する要素であり、僕は主人公の葛藤を強調したキカイダーのエピソードは素晴らしいと思う。

 

主人公のジローを演じた伴大介という方の持つどことない優しい雰囲気や、悩めるジローの姿が好きだしとても印象に残っている!

 

ハカイダーの感想

ハカイダー 正面

(c)石ノ森章太郎/NET・東映

キカイダーと言えば永遠のライバル・ハカイダーの存在が大きい。

僕はハカイダーというキャラクターをものすごく客観的に見ていて感じた事がある。

ハカイダーに関する感想を以下に書いていこう。

 

ハカイダーが登場するのはエピソードも最後の方

ハカイダーがどのように登場するのか楽しみにしていたら、実はエピソードもかなり最後の方になって登場してくる。

人造人間キカイダー全43話の内、第37話で初めてハカイダーは登場するのだ。

ハカイダーは知名度が高いからもっと早くから出てくるかと思ったら最後の方の登場だったので意外だった。

 

ハカイダーとはキカイダーを倒すことを目的として生まれてきた人造人間。
ハカイダーの脳にはキカイダーの生みの親・光明寺博士の脳が組み込まれており、活動する為には一定期間の間に脳の血液交換が必要になる。

 

ハカイダーはその人間態のサブローからして西部劇を感じさせるキャラクターだ。

サブローはナイフを投げを得意とし、ハカイダーになると西部劇の様に拳銃で攻撃を行う。

 

ハカイダーの独特なキャラクター

ハカイダーというキャラクターの立ち位置は特異だ。

味方のキカイダー、悪の組織ダーク、この両者の間に「キカイダーを倒す事を目的としたハカイダー」という位置づけで登場する。

 

ハカイダーはキカイダーを破壊する事が使命なので、ダークに従う訳ではない。

ハカイダーはキカイダーと対立しているけど、それは自らの意思で行っているのであり、ダークと手を組んでいるわけではないのだ。

その証拠にハカイダーはダークの敵ロボットの事を「俺はお前らのように命令通りに動く低能ロボットではない」と言っている。

バラバラ キカイダー

(c)石ノ森章太郎/NET・東映

キカイダーが赤地雷ガマによってバラバラにされた時、ハカイダーは「キカイダーを倒された」事にショックを受けて怒りに駆られる。

ハカイダーの存在理由の「キカイダーを倒す」という目的がなくなったハカイダーは暴走し、ダークの首領プロフェッサー・ギルを殺そうとする。

 

この時ハカイダーに襲撃されてうろたえるプロフェッサー・ギルを見ていて、どうしてこの人が首領なんだろう?という疑問を感じた。

簡単にハカイダーにやられてしまいそうなプロフェッサー・ギルを見ていてダーク破壊部隊を指揮する首領としての強みはどこにあったのだろう?という疑問だ。

例えば仮面ライダーの死神博士ならいざとなったらイカデビルに変身出来るという強みがある。

しかしプロフェッサー・ギルはハカイダーに対して抵抗しようがなく、ダークの中でどうしてそこまで恐れられているのかという事に僕は興味を感じた。
少なくともダーク破壊部隊よりは強かったのかもしれない。

 

ともかくハカイダーというキャラクターの革新性は「正義でも悪でもなく、自らの使命の為にキカイダーと戦う」という独特なキャラクターにある。

 

ドラゴンボールのあの有名キャラの元祖はハカイダー?

僕はハカイダーというキャラクターを見ていてドラゴンボールのベジータが真っ先に浮かんできた。

ベジータと言えば主人公・悟空の宿命のライバルである。

 

ハカイダーはキカイダーをしのぐ程強い。

しかしダークに手を貸して世界を侵略したいわけではない。

 

ハカイダーはキカイダーを倒すという自らの使命に従って戦っているのだ。

そして誰か他の奴にキカイダーを倒されると、自らの手でキカイダーを倒せなかった事にショックを受ける。

ハカイダー

(c)石ノ森章太郎/NET・東映

最後ハカイダーは白骨ムササビによって倒されるのだが、ジローの手の中で亡くなる時「どうせやられるなら俺はお前にやられたかったぜキカイダー…」という感動的な言葉を残している。

 

このようなハカイダーのキャラクター性は主人公に対する宿命のライバルキャラクターの元祖を感じさせる。

あのベジータというキャラクター性の元祖がハカイダーにあったのではないかという印象を僕は受けた。

 

キカイダーの最終回

ここでは人造人間キカイダーの最終回のエピソードについて書いていこう。

キカイダーはエピソードも後半になると

・ハカイダーの登場
・光明寺博士の発見
・ジローが仲間のマサルやハンペンから光明寺博士を殺したと疑われ、マサルはハカイダーの側につく
・ジローが殺人容疑をかけられ、警察から指名手配を受けて分解されそうになる
・ダークの敵ロボットとの戦いでキカイダーがバラバラにされる

などドラマ的に盛り上がりを見せてくる。

 

そしてダーク最後の破壊部隊・白骨ムササビによりハカイダーは倒され、バラバラな体を修理してもらったジローは変身が出来ないという事態に陥る。

キカイダーに変身出来ない状況の中で強敵・白骨ムササビと戦うジロー。

 

そんな中ダークの基地内でミツ子の脳手術を受けて生還した光明寺博士とミツ子とマサルの再会。
しかしまもなく三人はダークに捉えられ十字架にかけられてしまう。

 

キカイダーは白骨ムササビを倒すと光明寺親子を助ける為に、最後のギターの音を鳴らしながらダーク基地に登場する。

ダーク基地はキカイダーの手によりプロフェッサー・ギルもろとも爆破、ダークは全滅した。

 

僕がキカイダーの最終回で一番気になったのは「ダークを倒したのちのジローや仲間たちはどうなるのか?」という事だった。

犯罪の容疑をかけられていたジローの疑いは晴れた。

光明寺博士は静養をする為にミツ子とマサルを連れてスイスへ行くという決断をする。

ミツ子とマサルは当然ジローもスイスへ着いてくるだろうと思っていたが、ジローは光明寺博士にだけ自らの意思を告白した。

 

ジローは良心回路が不完全なままの欠点の多い人造人間のままで良い、完全な機械にはなりたくないと言う。

日本全国を回って不完全な良心回路に負けない強い精神を身につけてくるという目標をジローは宣言する。

 

そして一人サイドカーで光明寺博士宅を去っていく。

ラストシーンの光明寺親子とハンペンの空港でお別れをするシーンでジローがやってこない事にとまどうミツ子。

ミツ子は人造人間であるジローに恋する女性だ。

光明寺博士を載せた飛行機はサイドカーに乗るジローに見守られながら空を飛んでいく。

ミツ子

(c)石ノ森章太郎/NET・東映

子門正人氏のジローの歌が流れる中、ミツ子がジローとの別れを悲しんで名前を叫ぶシーンが心に残る。

切ない眼差しで飛行機を見送るジローの姿が胸に沁みる…

ジロー

(c)石ノ森章太郎/NET・東映

 

僕はウルトラマンAの最終回もこみあげる感動を覚えたけど、キカイダーの最終回はこれに匹敵する切なさと感動がある!

そうだ、感動があるのだ!!!

 

最終回 ジロー

(c)石ノ森章太郎/NET・東映

ジローが一人サイドカーで爆走していくラストシーンでこんなナレーションが流れる。

「プロフェッサー・ギルの率いる巨大な悪の組織ダークはキカイダーによって全滅した。光明寺博士の体は元に戻りミツ子マサルの姉弟と共に幸せな生活を送るべくスイスへ旅立った。
そしてジローは今日から明日へ、そして未来へ向かって力強く自分の道を進む。がんばれキカイダー、さようならジロー!」

このシーンの切なさは半端じゃない!

未来へ向かって進んでいくジローの視線が僕たちに勇気をくれる。

僕はまさか人造人間キカイダーがここまで胸に迫る感動をもたらしてくれるとは思っていなかった。

 

キカイダーは最後の最後で切なさという感動を教えてくれた!

 

キカイダーの最終回を観て感じた漫画創作意欲の原点

バカオ

僕は人造人間キカイダーの最終回を観る時、楽しみな気持ちと同時に寂しさも感じた。

キカイダーはとても面白かったし、キャラクター達も好きだったので、これで終わりなのかと思うと寂しさも同時に感じたのだ。

 

これまで小説、漫画、アニメ、映画、特撮など様々なジャンルの名作を観てきたけど、良い作品はそれが終了間際になると、楽しみと同時にもっと続きを観たいという気持ちが湧いてくる。

例えば僕はヴィクトル・ユゴーの長編小説「レ・ミゼラブル」、トーマス・マンの「魔の山」の最後の方の章を読んでいる時、物語がまだ終わってほしくないという切なさを感じた。

そして人造人間キカイダーの最終回を観ている時も、もっと続きが観たいのに、終わってしまう残念な気持ちがあった。

 

そして僕はこの感情こそが漫画を生み出す原動力なのだという事を悟った。

 

大好きな作品が終わってしまう寂しさ、もっと先の物語りを観たい欲求…

この思いが漫画を作り出す原動力なのだ。

 

自分の大好きな作品が終わってしまう⇒残念⇒もっと先の物語が知りたい⇒それなら自分で作ってしまうおう!

上のような思考回路が僕が漫画を作る時に明確に働いている事が分かった。

 

作品の続きを自分で作るというのは、好きな作品をコピーすると言うのではない。

例えばキカイダーに感動したから、キカイダーの続編を僕が作ると言うのではない。

 

人造人間キカイダーという作品から経験した感動を基にして、自分の物語を生み出し漫画にしていくという意味だ。

 

この時漫画が生まれるのはキカイダーや「夕日のガンマン」、「ターミネーター2」のような最高の感動を味あわせてくれる作品に触発されて、創作意欲が湧いている。

絵画だけでなく漫画においても他の誰かの作品からの絶大な感動がスイッチとなって創作意欲が湧いてくるのだ。

 

「大好きな作品が終わってしまって寂しい。それならその先を生み出せる人になりたい!」

これこそ僕が漫画を描き続けてきた原動力だとキカイダーの最終回を観た時に明確に感じた。

 

人の作品の中で満足するのではなく、感動を自らの手で生み出したい欲求だと言える。

「大好きな作品のその先」というのは、大好きな作品から受けた感動を基にした自分独自の物語という事。

 

キカイダーの最終回を観ていて僕は創作衝動の本質に気づけた。

大好きな作品に接しているとこのような予想外なサプライズをもたらしてくれる事もあるのだ。

 

最後に

人造人間キカイダーの全エピソードを観て僕は仮面ライダーとは差別化された独特の魅力を持つ特撮ドラマだと感じた。

それは

・子供達が実の父・光明寺博士を探す旅に出る「父を訪ねて三千里」という物語構成
・不完全な良心回路の中で善と悪の狭間で苦悩する主人公像
・機械の体を持つ主人公を強調して、機械に対して恋心を抱くミツ子
・ジローが登場する時、高い所からギターを弾いて突然現れる面白さ

などの形で表れている。

⇒人造人間キカイダーの面白さの秘密は父を訪ねて三千里?という事を書いた記事はこちら

 

仮面ライダーは好きで知っているけどキカイダーは観ていないという方は、キカイダーがハマる可能性は高い。

僕も仮面ライダーこそ等身大特撮作品の代表だと思っていたけど、キカイダーを観て並び立つ名作がもう一つある事を知った。

 

人造人間キカイダーの最終回は胸にこみあげてくる切なさを感じさせてくれる。

キカイダーを初めからじっくり観ていく事で感動の度合いはより大きくなるだろう。

 

これまで様々な特撮ヒーロー番組を見てきた僕が仮面ライダーに並ぶ最大級の感動を受けた作品がこの「人造人間キカイダー」なのだ。
人造人間キカイダー BOX [DVD]

⇒芸術家の視点から人造人間キカイダーの魅力について書いた記事はこちら!

すず
今日もブログをお読み頂きありがとうございました!

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粕川裕康/漫画アート芸術家。漫画描きと油絵描きをしており、二つ合わせて漫画アート芸術家!/漫画とアートを組み合わせた創作活動をしています。

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