「漫画の下描きの描き方ってあるの?」
「漫画の下描きの仕方がわからねえぜ!」
そんな方へ向けて、この記事では漫画の下描きの描き方を解説しよう。
漫画はまずアイデアやテーマをプロットに組み立て、その次にネームを描く。
そして描いたネームを原稿用紙に下描きするのだ。
下描きは漫画の次の工程、ペン入れをするときに役立ってくれる。
下描きは漫画のペン入れを支えてくれる、隠れた立役者だったのだ!
さあ、手描きで漫画を描くときの下描きの描き方について見ていこう!
Contents
漫画の下描きとは?
漫画の下描きとは、ペン入れをするために描いておくガイドラインのようなものだといえる。
下描きを描かない状態でいきなり原稿用紙にペン入れをすると、上手に絵を描くのが難しいだろう。
下描きがペン入れをするためのアウトラインになっているので、下描き線に合わせてペン入れをすると上手に絵が描ける。
漫画の下描きは、ペン入れをするための補助線的役割にあるのだ。
なかには下描きをしないでもうまくペン入れできる人はいるが、大抵の場合下描きした方がペン入れはしやすい。
漫画の下描きはネームを絵にうつしかえる作業!
漫画の下描きは、ネームの状態にある絵を完成原稿にちかい絵の状態にうつしかえる作業ともいえる。
ネームとは、完成原稿のもととなる設計図のようなもの。
漫画のネームはわりとざっくり描く人が多いだろう。
僕は以下のような感じでネームを描いている。
しかしこのネームの描き方だと、完成原稿の状態がイメージしづらいだろう。
なかにはもっと詳細にネームを描きこむ人もいる。
ネームをざっくり描こうと詳細に描こうと、どちらにせよ完成原稿に近い状態の絵にうつしていく作業は必要になる。
なかにはネームを丁寧な絵で描いて、下描きの役割を持たせて描く人もいるようだ。
ネームから完成原稿に近い絵にうつしかえていく工程にあたるのが、下描きだ。
下描きではネームをもとにして、ペン入れのアウトラインとなる線を描く。
例えば遠近法をつけて背景を描いてみたり、人物やアイテムなどをネームより丁寧に描いたりなどする。
下描きをする際は、必要であれば資料を参考に絵を描く。
漫画の擬音や効果線をどの辺に配置するかを決める必要もあるだろう。
このように下描きはネームでは描ききれていない、より完成に近い状態の絵に描きかえていく作業なのだ。
漫画の下描きをするときに必要な道具とは?
漫画の下描きをするときに必要な道具とは~
1.鉛筆かシャーペン
2.定規(長いものと短いもの計1本づつ)
3.原稿用紙
4.消しゴム
5.下敷き
6.ティッシュや紙など手の下にひくもの
以上があれば十分だろう。
漫画の下描きをするときは、鉛筆やシャーペンを使ってみよう。
芯の濃さは人にもよるけど、僕は2Bくらいがいいんじゃないかと思ってる。
僕は2B〜5Bくらいの濃さの鉛筆、シャーペンの芯で下描きをすることが多い。
なぜかというと、濃いめの芯だと消しゴムで消しやすい印象があるからだ。
また濃いめの芯だと、そんなに筆圧をかけなくても、濃い線が描きやすい。
F、HBなどの堅い鉛筆で下描きをしてもよいのだが、消しゴムで消すとき線の跡が残ったり消えづらかったりする。
固い芯の鉛筆だと紙に鉛筆の線の跡が残り、そこに汚れがたまったりすることもある。
そんなことからぼくは、ほどほどに濃い芯で下描きをしているのだ。
このへんは描く人の感度によるので一概に濃い芯のほうが良いとは言えない。
実際に漫画の下描きをしてみて、何が自分に合っているかを考えてみるといいだろう。
下描きをする時は下敷きを用意して、その上で下描きを描く
机などに直に原稿用紙をひいて下描きをすると、机上にあるカスなどが邪魔になってキレイな線がひけなかったり、原稿にカスのでこぼこがついてしまったりする。
下描きをするときは、下敷きをしいてその上で描くようにしよう。
僕は漫画制作をするとき、このようなボードを使用している。
ちなみに漫画の下描きをする時に必要な道具は以下の記事でも書いているのでご参考にどうぞ♪
以下から漫画の下描き描き方6つのコツについて書いていこう!
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1.漫画の下描きの描き方~うっすらと描く
漫画の下描きをするときは、うっすら分かるくらいにの濃さで描くと良い。
なぜかというと、漫画の下描きは最後には消すことになるからだ。
下描きはペン入れをするためのアウトライン的存在なので、ペン入れが完了したら消しゴムで消すことになる。
あんまり濃く下描きを描くと、消すときに力がいったり、原稿に下描き線が残ってしまうことにもなりかねない。
なので初めから消す用の線として、薄く下描きをするとよいのだ。
手描き漫画の制作で、下描きを消すための消しゴムかけは、ページ数が多いほど労力がかかる。
原稿用紙全体に描かれた下描きを消すことになるので、線の跡がのこらないように、かつ原稿を汚さないように消すので、けっこうエネルギーを使うのだ。
下描きしたページ数が多ければ、消しゴムのカスも大量にでる。
消しゴムかけの労力を減らすためにも、下描きを薄めに描くのは大切である。
別紙に下描きを描いてトレースでペン入れをする方法もあり
漫画の下描き線を消すのが面倒なときは、トレース台を使うと便利だ。
1.別紙に下描きを描き、トレース台に下描きを描いた紙をのせる
2.下描きを描いた紙の上に、原稿用紙をのせてペン入れをする
という方法。
トレース台は光るので、下描きの線が原稿用紙に透けてみえて、ペン入れができる。
この方法であれば下描き線を消す手間が省けるので、作業の効率化につながる。
しかも漫画の下描きの絵を消す必要がないので、下描きの絵を記念に保存しておくこともできるだろう。
これはうれしいメリットだ。
せっかく描いた下描きの絵なので、消すくらいなら残しておきたいもの。
なので下描きの絵をとっておきたかったり、下描きの線を消す労力が面倒くさい人は、トレース代を購入しておくのも一つの手なのだ。
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水色(青)の芯は印刷にでづらい
水色(青)の芯であれば印刷に写りづらいので、漫画の下描きに使える。
しかし水色の芯でもあまり濃く描けば印刷に出ることもあるので注意。
一説には漫画編集者の人は下描きをするとき水色の芯より、黄色の芯を使ってほしいという要望もあるようだ。
今は青の芯は印刷にうつってしまうようで、印刷所では水色で描かれた下描きをわざわざ消しているという話もある。
でも黄色の芯であれば水色よりは印刷に出にくいようなので、黄色の芯を使ってほしいという声があるとのこと。
たしかに黄色のほうが印刷に写りづらいだろうけど、下描きを描くときは見づらい線になりそうだ。
色付きの芯で下描きをするときも、うっすらと描くようにした方がよいだろう。
あくまで漫画の下描きはペン入れをスムーズに行うためのアウトラインなのだから。
2.下描きの描き方~手の下にティッシュ(紙など)をひく
漫画の下描きをするときに大切なことは、原稿用紙をきれいに扱うこと。
下描きをしていると、手に付着している汗や汚れが原稿にうつってしまうことがある。
そうすると原稿がよごれたり、汗がしみこんだりするのでよくないのだ。
なので下描きをするときは、手の下にティシュや紙などをしくと良いだろう。
上の画像にあるように僕は手の下にティッシュをひいて下描きをしている。
コピー用紙などを手の下にひいても良いだろう。
とにかく原稿用紙が汚れないように、対策をうっておくことが大切なのだ。
3.下描きの描き方~定規をキレイにして使う
漫画の下描きをするとき、定規を使う機会も多い。
背景のパースをつけるときや、効果線をひくときなどに定規は必要になる。
定規はアナログの漫画制作で必須な道具なので、いつもキレイにしておいた方がいい。
定規は汚れがたまりやすいので、表面をきれいにしておかないと原稿に汚れがうつってしまうこともある。
また定規は使っていると以下の画像の赤枠部分に汚れがたまってくる。
定規の先端が汚れていると、この部分が原稿にかすったときに汚れてしまうのだ。
なので、定規の先端もティッシュなどでふいて、キレイにしておこう。
僕は漫画の下描きをするとき、20㎝と40㎝の計2本を用意している。
定規は短いの1本と、長いのを1本用意しておくと、時々の状況に応じて使い分けられて便利だ。
漫画の背景を下描きするときは、パースをつけることもあり、長い定規が必要なこともあるのだ。
4.下描きの描き方~消しゴムを使いすぎない
漫画の下描きをするときはなるべく消しゴムを使わないようにしたほうがいい。
なぜなら消しゴムをたくさん使うと原稿がけばだち、そこに汚れが付着することにもなりかねない。
また消しゴムをつかいすぎると、後でペン入れをするときに線がにじんでしまうこともある。
なので下描きをするときは消しゴムを使いすぎないようにしよう。
下描きの線を描くとき、間違えて線を引いたときは線を重ねて描けばわざわざ消す必要もないだろう。
下描き線は最終的に消してしまうので、自分がペン入れをするアウトラインが分かればいいもの。
なので下描きは絵としての見栄えではなく、どこにペン入れをすればいいかが把握できるように線をひけばよいのだ。
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汚れた消しゴムは使わないこと!
漫画の下描きをするとき、汚れた消しゴムは使わないようにしよう。
消しゴム全体が黒ずんでいたり、色が付着しているようなもので消していると、原稿に汚れがうつってしまう。
汚れた消しゴムで消したときにつく汚れは、きれいに消えないことが多い。
消しゴムに色がついてたりしたら、その色が原稿についてしまい困ったことが僕もよくあった。
なので使用する消しゴムはキレイなものを用意しておこう。
もし愛用の消しゴムが汚れていたら、汚れてる部分をこすって汚れを落とすといい。
または汚れている部分をカッターで切り取ると、きれいな面で消しゴムを使える。
5.下描きの描き方~描きすぎないこと
漫画の下描きをするときは、描きすぎないようにしよう。
ぼくも経験があるのだが、下描きの絵の質にこだわりすぎて無駄に下描きを描きこむことがあった。
無駄に陰影を入れたり、細部まで詳細に下描きを描いてしまうことがあった。
それがペン入れをするときに必要な線ならば描いても大丈夫なんだけど、なんとなく下描きの絵の質にこだわって無駄に描きすぎてしまうことにもなりかねない。
また下描きでたくさん描き込みすぎると、どの線にペン入れをすればいいかが分かりづらくなる。
下描きの線はけっきょく最後は消してしまうもの。
消さなくても下描きの線は、ペン入れするときの目安となる線にすぎない。
下描きの絵が作品になるわけではないのだ。
なので下描きの絵は描きすぎず、シンプルに描くようにしよう。
こうすることで漫画制作の時間を短縮できる。
下描きの線をみて、どこにペン入れをしたらいいかが分かる程度に描き込めばOKなのだ。
6.下描きの描き方~漫画の下描きをしながらアイデアを考える
漫画の下描きをしながら、ペン入れをするときどんな風に描こうか考えておくのも良いだろう。
例えば下描きをしているときに、この車はどのペンで描こうかとか、背景の看板はどんなデザインにしてみようかとか考えてみる。
下描きをしながらキャラクターの服の模様を考えるとか、別の漫画のアイデアを考えてみたりとか。
漫画の下描きをしているとき、手は動かしてるけど、頭は自由に使える。
なので下描き中はペン入れするときに必要なアイデア、描き方などを考えておくことができる。
それで面白いアイデアがうかんできたら下描きに取り入れてみるのも良いし、メモしておき別の漫画でつかってみたらよいのだ。
漫画の絵を描くのは作業なので、同時に頭を使って先の作業をスムーズに運ぶためのアイデアを考えておくとよいだろう。
漫画の下描きのコツまとめ
漫画の下描きの描き方やコツについてみてきた。
漫画の下描きの描き方をまとめてみよう。
2.手の下にティッシュ(紙など)をひく
3.定規をキレイにして使う
4.消しゴムを使いすぎない
5.下描きは描きすぎない
6.下描きをしながらアイデアを考える
漫画の下描きをする理由は、ペン入れをしやすくすることにある。
なのでどこにペン入れしたらいいかが分かる程度に、うっすら描くのが良いのだ。
最終的に下描きは消すことになる(消す必要のないやり方もあるけど)ので、無駄に描きこまず、後のペン入れがスムーズにできる程度に描く。
下描きは簡潔に、かつ正確にが鉄則。
漫画の下描きはどこにペン入れをしたらいいかを記録する、道しるべ的役割を持っている。
下描きはそれ自体が作品ではないので、描きこみすぎないこと。
下描きを無駄に描きすぎないことで、漫画制作の時間を短縮できるのだ。
漫画制作はただでさえ手間がかかるので、できるかぎり効率化することが大切である。
もしあなたがプロの漫画家を目指すなら、とくに原稿はキレイに扱うようにしよう。
編集者さんは作品の面白さだけでなく、作家の原稿の扱いも見ている。
何よりプロ漫画家の原稿というのは、とてもキレイである。
下描きでもペン入れでも、描くほどに上達する。
真っ白い原稿用紙はあなたの下描きで埋められるのを待っているのだ!